俺――三木誉(みきほまれ)は、また新しい警察署に異動になった。
理由は、はっきり言わなくても察せる。
――「お前がやったんじゃないのか?」
あの言葉を、何度、何十回聞いただろう。
事件現場で凶器に触れた瞬間、犯人の視点、被害者の痛み、遺族の涙……それらが一気に頭に流れ込む。
吐き気とめまいに襲われ、視界が暗転する。
だが、その断片的な記憶が事件解決の糸口になる。
……だが、他人から見れば、気味が悪い以外の何物でもない。
今回の転勤先は、港町にある県警捜査一課・特別捜査係。
「未解決事件専門」という、あまり表には出ない部署だ。
署の廊下を歩くと、誰もが避けるように視線を逸らす。
ただ一人、廊下の奥――古びた木製のドアの向こうに、その男はいた。
この物語は三木と藤堂との出会いと2人は相棒になり未解決事件を解決していく物語である。