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【能力者名】 口裏痛見
【能力名】 とてもいたいいたがりたい
《タイプ:友好型》
【能力】 声をかけた能力者にタイマン
バトルを強制する能力、及び
痛みを感じる度身体を再生させる能力。
【以下、細菌達の記録】
《放課後、米津高校の影の中にて》
この日、痛見は、ロカ•タランティーナ先生に稽古をつけて貰うため影踏先生の作った
影の空間に入った。
「勝負ダァ!!!!ロカ先生ィィ!!!!!今日こそ俺が勝ぁぁぁぁつ!!!!!!」
そう言って痛見は、能力《とてもいたいいたがりたい》でロカ先生とのタイマンバトルを
強制した。
米津町最強の能力者ロカ先生でも、痛見の
能力を解除することはできない。
痛見は、この星の能力者すべてに声かけさえ
できればタイマンバトルを仕掛けることが
可能であった。
「相変わらず威勢がいいわね。ハンデをあげる。あたしはここから一歩も動かないわ。
好きに動きなさい。」
そう言ってロカ先生は手をぶらんと構えた。
「おっしゃぁ!!!!《唐紅》!!!!!」
痛見がそういうと痛見の身体に紅葉のような
紋様が浮かんだ。
理屈はわからない。
痛見が本能で生み出した戦闘能力をあげる
奥の手だった。
痛見はこれをどろりには使わなかった。
この技を使って打ち合うと、どろりを
ミンチにして殺してしまうからだ。
「オラァ!!!!!!!!!!」
痛見はロカ先生を攻撃し続けた。
速すぎて痛見の残像しか見えない。
しかしロカ先生はこれを手と足で巧く捌き
続けた。
痛見はバテた。
これは勝負あったかと思ったその時だった。
「もういっちょお!!!!《唐紅》!!!!!」
痛見は自らの心臓を手で抉りとりぽいっと
し、新たな心臓を生やした。
そして新鮮な心臓で再び大技を放った。
医学を学んだものならそうはならんやろと
突っ込みたくなるような状況だが
能力とはそう言う無法な力なのだ。
ロカ先生は痛見の猛攻を捌いて捌いて捌いて捌きまくった。
この女にはスタミナ切れという概念がないのか???
ある。ロカ先生の額から汗が垂れた。
「大分動きが良くなったわね。次は私から
行きます。」
「オッシャァ!!!!!お願いしまぁす!!!!!!」
「奥義《疾きこと風のごとし》。」
ロカ先生が痛見の視界から消えた。
気づくと、痛見はピクピク痙攣し倒れていた。
ロカ先生はヒールで痛見の後頭部を軽く
踏んだ。
「勝負ありよ、敗けを認めなさい。」
「 ……..俺の敗けだ…….。」
そうして痛見は能力を解除した。
ロカ先生はふぅ、と艶やかに溜め息を吐き、
純白のハンカチで汗を拭いた。
「では反省会です。」
「……オゥ。」
痛見には勝算があった。しかし瞬殺された。
何故痛見は瞬殺されたのか?
ロカ先生の動きが速すぎて読めなかったからか?いや違う。
「痛見くん、あの動きは痛見くんなら眼で
追えていたはずよ。何故避けなかったの?」
ロカ先生は冷ややかな口調で痛見に聞いた。
痛見はうーーーんとうなって単細胞の彼なり
に考えた。
「ロカ先生の攻撃を受けても死なないと
思って……..油断したから。」
「正解よ、痛見くん。君は自分が思ってるよりも賢いわ。」
痛見、照れた。
「今の技をなるべく分かりやすく伝えると
魚を活け締めする時のように痛みを与えず
神経を止める《神経殺し》です。」
「神経ってなんだ?」
痛見はきょとんとして言った。
「それは理科の影踏先生に聞いて頂戴。
ぶっちゃけ先生も良く分かってないわ。
大事なのは、この攻撃は相手に痛みを与えずに無力化できるということ。いい、痛見くん。敵の攻撃は基本即死攻撃だと思ってなるべく躱しなさい。能力にかまけてる内は、
あなたはド三流よ。」
淡々と、ロカ先生は言った。
痛見はロカ先生に聞いた。
「ロカ先生ェ、俺、どうやったらロカ先生
みたいに強くなれっかなァ…….。」
痛見の質問に、ロカ先生は答えた。
「私は別に強くもなんともないわ。私を殺せる能力者は、この国だけでも星の数ほどいるもの。」
ロカ先生はあえて大げさに言った。しかし、ロカ先生を殺せる能力者•あるいは非能力者がこの国にはゴロゴロいることをロカ先生は
第二次能力者大戦で痛いほど良く知っていた。
「そうなのか……..そうか……広ェんだな
世界って …….。」
痛見はカブトムシを見つけた少年のように
キラキラした目で言った。
「痛見くんはどうして強くなりたいの?」
ロカ先生はまっすぐ痛見を見つめていった。
痛見は即答した。
「わかんねぇ!!!!」
痛見の強さへの執着に、理由などなかった 。
ロカ先生は身体を屈めて痛見と目線を合わせ
ながら言った。
「たとえば痛見くん、世の中には指パッチン
しただけで人をおぞましい化物に変えれる能力者がいます。痛見くんはそんな力がほしいですか。」
痛見は言った。
「うーーーーん?強そうだけど俺の目指してる強さとはなんか違う……いや違うのか?」
そう言って痛見は頭を抱えた。
ロカ先生は続けて言った。
「世の中には簡単に国を滅ぼせる力や、
簡単に世界をめちゃくちゃにできる力が
日本のコンビニと同じぐらいあります。
そんな力がほしいですか?」
痛見は頭を抱えた。
「わっかんねぇ……。」
ロカ先生は痛見の頭を軽く小突いて言った。
「あなたの能力の本質を教えてあげる。
あなたの能力は、考え続ける限り死なない
能力なの。だから考え続けなさい。脳死で
動くのだけは辞めなさい。」
「……オゥ。」
痛見はロカ先生をまっすぐ見つめて言った。
ロカ先生は続けて言った。
「痛見くん。痛見くんが思っている以上に、
人間は弱いわ。能力者に襲われただけで一生車椅子生活を強いられる人もいる。男子トイレに連れられて眼を少し傷つけられただけで
学校に行けなくなった女の子だっている。」
痛見は先生の言っている意味がよくわからなかった。それでもロカ先生は続けた。
「先生は、簡単に人を傷つけれることを、
簡単に人を殺せることを、強さだとは思わないわ。人を守れる人になりなさい。人を助けることができる人になりなさい。あなたの
能力なら、それができるはずよ。」
「オウ!!!!!!!!!」
と痛見は分からないなりに返事をした。
そして痛見は考えた。
考えに考えてひらめいた。
「脳増やせばいいじゃん。 」
そして痛見は口の裏を思いっきり噛んで
イメージをした。
能力者は基本バカな方が早く進化する。
痛見の両手両足、そして丹田の下の部分に
脳と似通ったとても小さな器官が生えた。
「うおっ、なんかクラクラする……。」
痛見はふらついた。彼はバカだからその内
慣れるだろう。
ロカ先生は言った。
「あなたには無限の可能性があるわ。消防士にだってなれる。ライフセイバーにだってなれる。宇宙飛行士にだって、警察にだって
なれる。あなたのその不死身の身体はきっと、いろんな人を救う盾になるわ。」
痛見は言った。
「俺は先生になるよ。いつか、ロカ先生
みたいな強くて立派な先生になる。」
ロカ先生は冷ややかに言った。
「なら勉強もしっかりやりなさい。」
「オウッ!!!!!」
そして痛見はロカ先生から今週分の課題を
受け取り影の空間から去っていった。
ロカ先生は仕事に戻った。
(最後まで読んでくださりありがとうございました。)