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気温がどんどん下がってきているのか、気がつくと息をする時に白い息が出始めていることに気づいた。あさは寒さで凍え、眠たそうにしていた。僕が抱き上げて、体温を分けていると、またあの揺れが来た。僕はあさをぎゅっと抱き締め、周りの状況を伺っていると、道が急にうねり始め、バランスを崩した。尻もちを着くと、前に人のような影が現れた。そいつは瞬間移動をしたように僕の目の前まで来た。体は霧のようで、人っぽくはないが、顔や体型は完全に人の子供っぽくそのものだった。僕はあさを抱きながらチャクラムを振ったが、そいつは霧となって、僕の後ろに回った。
次の瞬間、背中辺りに妙な温かさを感じた。
シャランという金属音と共に、地面に大量の体液が放たれた。僕は倒れた。あさは怪我をしているのに、僕の周りに近寄ってきた。僕の周りは鮮血が滲む溜まり場となり、あさの身体にも付着した。そいつは僕の前に来ると、鎌のようなものを僕の眼球目前に振りかざした。あさは怯えて、腰が抜け、立ち上がれなくなっていた。僕の背中からは止め処無く鮮血が流れ出る。人間は血液を無くしたら死ぬらしいけど、僕は人似類だ。血が無くても生きていける。鎌に刺される寸前の眼球を動かし、そいつの目を見た。そいつの目は、冷酷で、無慈悲だった。