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畝澄ヒナ
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(今度尊がお母さんに会いに行ったあと、話を聞くべきかな。俺と二人だと話しにくいかもしれないから、誰かに同席してもらったほうがいいかな)
そう思いながら、俺は父に別れを告げて帰路に着いた。
**
私――、上村朱里はいつものようにランチ時になって社食に向かい、恵と合流した。
「おっす」
「ちっす」
私たちはそんな挨拶をし、トレーを手にして列に並ぶ。
その時、私に声を掛けてくる人がいた。
「上村さん、偶然ですね。ランチですか? こんにちは」
「あ……」
振り向くと、そこには歓迎会の時に挨拶をした小鳥遊さんがいる。
「こんにちは。奇遇ですね」
「私も並んじゃおーっと」
小鳥遊さんは私の後ろに並び、ニコッと笑う。
恵が「どちらさん?」と言うので、先日の歓迎会の事をコソッと話したら、すぐ納得してくれた。
「良かったら一緒にランチしませんか? お二人の邪魔でなければ……ですが」
「私はいいですよ。恵は?」
「別にいいけど」
「やった」
そんな感じで、今日は三人でのランチとなった。
今日は和風きのこパスタを大盛りにし、サラダ、スープ付きセットだ。
恵は冷たい海老天蕎麦で、小鳥遊さんは普通盛りのカルボナーラ。
「いただきまーす」
手を合わせてパスタに取りかかると、小鳥遊さんはニコニコして言う。
「沢山食べて可愛いですね」
「えへへ」
私はモグモグしつつ、照れ笑いする。
ちなみに私と恵は向かい合わせに座り、小鳥遊さんは恵の隣だ。
「上村さんと副社長って、いつからお付き合いしているんですか?」
小鳥遊さんは小声だったけれど、いきなりぶっ込んだ質問をしてきた。
「え、えーと……。去年の年末ぐらいから……」
「副社長って上村さんみたいな女性がタイプなんですね。商品開発部の部長だった頃から、決まった人がいるって話は聞いていなかったので……」
「……あはは……」
彼が恋愛どころじゃなかった事は言うべきじゃないので、私は曖昧に相槌を打つ。
チラッと恵を見ると、モグモグと口を動かしつつ変な顔をしていた。
「副社長とのデートって、やっぱり高級店とか行きますか?」
「あぁー……、うん、まぁ」
「すごーい! 憧れます! 私、そういうレストランにはあまり縁がないので、テーブルマナーとか、ちゃんとできるか不安です。上村さんはそういうの完璧なんですよね? 凄いなぁ……」
「いや、完璧ってほどじゃないんですが……」
私ごときにわかが、テーブルマナー完璧と言ったら、どこぞのマナー講師に袋だたきに遭いそうだ。
「上村さんってスッとした美人と思って、声が掛けづらい高嶺の花みたいな印象があったんですけど、思いの外話しやすくて安心しています。……上村さんに憧れてる男性って、実は多いんじゃないですか? 噂では商品開発部でも、営業部でも、男性に迫られていたとか……」
「いやいや、ないです。全然です」
数名の男性が頭によぎったけれど、全力で否定する。
恵は目を細め、首を傾げていた。
そんな感じで、小鳥遊さんってちょっとミーハーなんだな~、という感想を抱いて社食を出ようとした時、彼女が私の服を褒めてくる。
「今日のワンピース素敵ですね。上村さんだからモデルみたいに着こなせるんですね。私だったら身長が足りないし、体のメリハリもないから駄目だなぁ」
「……ありがとうございます」
今日着ているのは、フレンチスリーブのIラインワンピースで、ウエストの高い位置に切り替えがあるけれど、くるぶしまで丈があるので、確かに着る人を選ぶ服かもしれない。
それに濃い目のグレー一色なので、ちょっと重たい感じに見える可能性もある。
「午後も頑張りましょうね」
小鳥遊さんはそう言って、ぐっと拳を握って笑い、去って行った。
彼女の姿が完全に見えなくなったあと、恵が尋ねてくる。
「あれが歓迎会で友好的に接してきた人?」
「うん。小鳥遊琴音ちゃんって言うの」
名前を教えると、恵はもう一度首を傾げてからボソッと言った。
「あんまり好きじゃないかな」
「え……、そう?」
私は少し驚き、しげしげと親友を見る。
コメント
1件
小鳥遊さん、めっちゃ話しかけてくるな〜って思ってたら、恵の「あんまり好きじゃないかな」で全部納得しちゃった。朱里さんがモグモグしながら照れてるのも可愛いし、この3人の空気感、今後の伏線っぽくてゾクゾクする。臣桜さんの作品はいつも心理描写がリアルで、読みながら無意識に頷いてました🥀次話、めっちゃ気になる!