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にゃーにゃ
あの後すぐにマネージャーやメンバーが駆けつけてきた。メイク室の惨状はなかなか悲惨なものだったけど、幸いにも怪我人はいなかったみたいだ。
撮影は当然中止になって、佐久間くんが落ち着くのを待って警察の事情聴取やらマネージャーからの聴き取りなんかもあったけど。
単に巻き込まれただけの俺と佐久間くんは、さほど拘束されることもなく帰宅を許された。
聞いたところによると犯人はメイクスタッフの女性の交際相手で、仕事で会う時間が取れなかったのを浮気だと決めつけて現場に乗り込んできたらしい。
その交際相手も局のスタッフだったから、怪しまれずに潜り込めたってマネージャーが教えてくれた。
迷惑な話だし、しっかり反省して欲しい。
佐久間くんを泣かせた罪は俺の中では大きいから。
佐久間くんがいない間にそう言ったら、ラウールとふっかさんに「いや、泣かせたのは自分だろ」って突っ込まれた。
岩本くんにも「もう二度とすんな」って怒られたけど、「でも好きな相手を全力で守ろうとすんのは良い心意気だ」って肩をぽんぽん叩かれた。
嬉しかったけど、何でみんなして俺が佐久間くんのこと好きなの知ってるんだ。
「いや、だってめめ分かりやすいし」
「前にインタビューで自分でも『すぐバレる』って言ってたけど、本当にこんなに分かりやすいとはって思ったよ」
「だだ漏れ過ぎんだよ、お前」
阿部ちゃんと舘さんとしょっぴーにまでそう言われて、もはや立つ瀬もない。
佐久間くんにだけは気付かれてませんように。
事後処理も色々あって、最後に残ったのは俺と佐久間くんの2人だけ。マネージャーが送ってくれることになって、準備の間控室で待つことにした。
事情聴取から戻ってきた佐久間くんは、俺の隣にぴったりくっ付いたまま離れない。よっぽど怖かったんだろうな。
「…なぁ、蓮。お願いがあるんだけど」
それまで黙ったままだった佐久間くんが、小さな声で呟いた。
「うん、何?」
「…今日、このまま一緒にいて」
「……え?」
「1人になりたくない、から…俺んちに来て欲しい…です」
小さく小さく囁かれる言葉は、言外で『駄目なら大丈夫』って言ってるようだったけど。そんなの断るわけがない。
こんな佐久間くんをほっとけるわけがないじゃん。
「いいよ、行く。一緒にいよう」
「あ、でもさ…モコちゃん待ってるよな…?」
「今週は泊まりのロケとかあったから、実家に預けてる。今日はまだ迎えに行く予定じゃなかったから大丈夫だよ」
佐久間くんは俺の言葉にほっとしたような顔をする。
誰よりも優しくて動物が好きな佐久間くんらしい気遣い。そして俺がどれだけモコちゃんを大事にしてるかを考えてくれてるようで嬉しくなる。
そういうとこも好きなんだって、再確認してばかりだ。
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