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夫人達の笑い声、酒の匂いや管楽器の音色が消えたマルタン邸には、引き留められたテレンスがベンジャミンの執務室に呼ばれ嬉しい報せを聞いて歓喜していた。
「ゾルダークの君の姉が子を産んだろ?ミカエラは彼女より年上だ、別にいいかなって。ハンクは孫ができて喜んでいたし、僕も羨ましくなってさ。近日中に越しておいで、もう僕の目を盗んでミカエラに手を出さなくてもいい」
「ベンジャミン様、ミカエラが嫌がることはしていませんよ。顔を赤くして恥ずかしがってはいるけど、嫌とは一度も言われてないんです!」
そうか…何をどこまでしているのか詳しくは聞きたくないけど、ミカエラが嫌がってないのならいいさ。
「初夜まで我慢できるかい?」
悲しそうな顔をするなよ、さすがに王宮の夜会までに婚姻式の準備は無理だし、テレンスが暴走したと噂がたっても嫌だよ。
「あの…挿入はしません…ミカエラと共に寝てもいいですか?」
「テレンス、君ね我慢できないだろ?」
「ベンジャミン様、挿入しなくてもお互いを高めることは可能です。僕は上級まで読破してますから」
うーん…上級?指南書かな。ミカエラを快楽漬けにする気かな。悪いことではないがやりすぎは困るな。まぁ子ができなければいいか。全くディーターの閨教育はどうなってるんだ。
「上級を試すのはまだ早いからね。ミカエラが一言でも嫌と言ったら止めること。約束だよ?」
どうして十五の少年と閨の話をしなくてはならないんだ。
「もちろんです!ミカエラは知っているのですか?」
「いや、まだ言ってないよ。日取りも直ぐに決めよう。驚かせておいで」
走り出しそうなテレンスを見送り静かになった部屋で葉巻を咥え思考する。
どうもテレンスには甘くなってしまうな。あの天真爛漫さに癒されるのか、同じ婿入りの立場故か。
ふむ…ハンクは何を考えているんだろ。わざわざあいつが言いに来るなんて…違う意味があったのかな…まぁどうせ婚姻はするんだからいいんだけど。ジェイドがねぇ、亡くなった婚約者を想って…はただの噂だったわけだ。さて、ねずみはどうするか。放っておくかな。ミカエラとテレンスが共寝を始めたと聞いたら腹が立つだろうなぁ。もしかしたら動き出すか…そこまで馬鹿ではないか。警備の強化は継続しとこう。
花園の歩道をソーマがレオンを抱いて、ダントルが私の日傘を持って散歩している。
マルタンの夜会以降、他家の夜会には参加していない。私の体はまだ万全ではなかった。夜会の翌日に体がふらつき二日は寝台で休み、薬草まで飲んだ。ライアン様に無理は禁物と言われ、王宮の夜会も様子を見ることにしている。
四阿でレオンを抱いて子守唄を歌う。ディーターの色を少しも受け継がなかったわね。
「可愛いわねソーマ、閣下と同じ育て方はできないけれど参考にはしたいの。騎士に預けて体の鍛練はさせたい。優秀な者に教師を頼みたいわね」
まだまだ先の話だけど準備は必要だわ。誰を指導者にするかによってレオンの未来はかわるもの。
「旦那様はハロルドにレオン様を導くよう仰せです。ハロルドの後継も探し育てるよう命じておりました」
子には興味がないと思っていたのに、私のためかしらね。ハロルドなら安心だわ。
「そう。考えてくれているのね。ソーマ、素敵な名前をありがとう。閣下が面倒だからと押し付けてしまったわね」
「十の中から一番呼びやすい名を選ばれましたよ」
私が呼びにくいのは駄目と言ったのを覚えていたのね。レオンの頭に口を落とす。
「お嬢」
ダントルの声に格子から外を窺う。使用人が近寄りダントルに何かを告げている。
「ソーマさん」
「レオンは私が抱いていくわ」
ソーマは頭を下げ花園の近道を通り邸へ戻っていく。
「珍しいわね」
使用人がここまでソーマを呼びに来るほどの用なんて何かしら。
「倒れたそうだ」
ゾルダーク領から早馬が持ち込んだ報せはよくないものだった。大旦那様が倒れられた。
「ぼっちゃま、ならば私は戻ります。共に行きますか」
「何故オットーはまだいるんだ」
オットーさんは、ゾルダーク領へ戻るのが面倒だ、子が生まれてから戻るなどと言われ王都の邸に留まって使用人達の様子を見たり、レオン様の子守りをしたりと満喫していた。
「死んではいない、ライアンを呼べ」
主は執務室の窓から外を眺め、四阿からレオン様を抱いて歩くキャスリン様を見つめている。今、キャスリン様を動かすことはできるが、レオン様は生後三ヶ月の体だ、長時間馬車に乗せることは難しい。キャスリン様も離れるのはつらいだろう。
大旦那様は若くない。ライアン様の見立てでは不整脈という。心臓がよくない。
扉が叩かれカイラン様が顔を出す。
「父上、どうしました?」
「年寄が倒れた。ライアンと様子を見に行け」
カイラン様は戸惑っている。今からゾルダーク領へ向かえば王宮の夜会に間に合わない。
「あれは体調が悪い。夜会には俺が行けばいい」
キャスリン様を休ませるか、もうだいぶ体力も戻られているが、過保護になられてしまったな。
「死にそうなら早馬を出せ」
外を見ながらカイラン様に命じている。
「わかりました」
否は言えないだろう。カイラン様も大旦那様に会うのは気まずいだろうに。今回はライアン様がいる、ハロルドを同行させなくてもいいだろう。出立の準備をしなければならない。
「まだレオン様の成長をお側で見守れると思っておりましたが、残念ですな」
大旦那様より十は年が上のはずのオットーさんはどうしてこんなに元気なんだ。もう王都に来ることはないだろう。
「明日の朝に出立しろ」
カイラン様は頷き部屋から退室する。
夕食の後の紅茶の時に老公爵が倒れ、カイランがゾルダーク領へ向かうと聞いた。ハンクを横目で見ても黙して座っているだけ。
「王宮の夜会は父上が一人で参加すると言うから、衣装はもう届いてしまうけどね、今度着よう。キャスリンの参加は無しだって」
もう体は元に戻ったわ。でもハンクがそう言うなら参加はしなくてもいいわね。
「天気が良いといいわね、気をつけてね」
馬車の旅で雨に降られると日程が延び、整備されていない道を進むことは危険に繋がる。
「うん。お祖父様に会うのは憂鬱だけどね」
そうね、カイランを叱るかもしれないわね。
「仲良くね」
老公爵を刺激したくない。オットーが子飼いと話したと聞いたけど、安心はできないわ。
カイランはレオンに会っておくと言って食堂から出ていった。
私を愛していると言ったけど、落ち着いているし、リリアン様を見つめていた瞳は私に向けてこない。私が父親の子を授かり、情緒が不安定になっていたのかもしれない。子の部屋で話してからは触れようとも、近づこうともしてこなくなった。公爵家の夫婦として形だけでも夕食を共にと願っただけかもしれない。レオンを厭うこともせず可愛がっていると乳母からは聞いている。
「行くぞ」
ハンクの声に顔を上げ微笑む。ハンクの後ろに続き部屋へと向かうと、浴室にはすでに湯が張られ、特注の浴槽に裸にした私を浸からせ、自身も服を脱ぎ、足の間に私を置いて後ろから抱きしめる。
「体調は?」
体調を崩しても私はハンクの寝室で眠っていた。体を清めるのもハンクが手ずからやり、世話を焼いてくれた。
「もう元気よ。心配し過ぎだわ」
心配もする。諦めない年寄が何かしたかと子飼いを始末しようとまで動いていたんだ。ライアンから説明されても信じられずに側を離れられなかった。産後の疲れだと納得するまで時を要した。俺と違ってこれは弱い。
薄い茶に口を落とす。
「ハンク…」
空色は振り向き、俺の腰に跨がり秘所で陰茎に触れる。
「元気になったのよ…」
空色の瞳で見つめ俺の口に食らいつき舌を突き込み、腰を動かして陰茎を刺激する。
体調を崩してから触れてはいない。我慢していたか。
小さな頭を掴み、口を離すと悲しそうな顔をする。
「欲しいんだな?」
顔を赤くして頷く。
「入れてみろ」
滾り始めた陰茎を小さな手で掴み、湯の中でしごいている。赤くなった頂を摘み、柔らかい胸を揉んで楽しむ。硬くなった陰茎の上に自ら腰を落としていく。秘所には触れていない。湯ではない、ぬるついた液を陰茎で感じる。きつく狭くなっている。俺は動かず空色の好きなようにさせる。赤い口を開け快感の嬌声が浴室に響いている。
「ハンクっ突いてっ」
細い腰を持ち下へ押し込む。いきなりの衝撃に体を震わせ悦ぶ愛しい娘に見惚れる。
「突いたぞ」
「もっとっこすってっ」
こうか?と聞きながら軽い体を上下に揺らす。濡れた髪を振り回し、喘ぎながら俺の名を呼ぶ。
「口を寄越せ」
懸命に俺の口に吸い付き舌を絡め合わせ、奥を突く度甘えた声が頭に届く。泥濘は陰茎を締め付け収縮し、達しているのを俺に伝えるが止まれん。
「注ぐぞ」
我慢がきかず白い肩に噛みつく。歯を食い込ませると悦んで陰茎を締め付け、腕の中の体を強ばらせ激しく震えている。腰を何度も押し付け熱い子種を孕む場所へとかける。肩から口を離すと痕がつき色づいている。空色の瞳と見つめ合う。
「俺もお前が欲しかった」
快感に震える空色は嬉しそうに微笑み俺に抱きついてくる。回復したようだな。これなら王宮の夜会にも行けるだろうな。