冷酷伯爵が私を愛する理由

「……ッ、やめて、放して」

腕を突っぱねて逃れようとするエレノアの身体を抱きしめる。

すなまい。君のその願いは聞いてやれない。

「放さない。絶対に」

その瞬間、強張っていたエレノアの身体からゆっくりと力が抜けていく。

「……どうして……父は殺されなければならなかったの……？」
「その必要はなかった。君の父は罪など犯していない」

エレノアの声が震えている。感情を押し殺し、溢れそうな想いに蓋をするかのように。

「どうして母は私を……1人にしたの……ッ？」
「そうしたかったわけじゃない。最後まで君のことを想っていたはずだ」

この言葉たちはエレノアがこれまでずっと胸の内に抱えてきた叫びだ。誰にぶつければいいか分からない怒りや悲しみ＊＊＊＊＊＊＊＊＊

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