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第三期 ギルド編


「高村さん、本当に救援に来てくれたんですか?」鋼谷は驚きながら、高村を見上げる。なにせ、彼は普段デスクワークが多い“クソ上司”だったはずだ。

高村は軽く肩をすくめて言う。「いや、実はついでに観光ってやつだよ。錆の都はなかなか来れない場所だからな」

鋼谷は拍子抜けし、苦笑する。「観光でわざわざ、ここですか? こんな幽霊だらけの街、普通なら怖がって近づかないでしょうに」

「何を言ってる、観光名所は盛りだくさんだぞ」高村は真顔で答えた。「あそこ、‘嘆きの壁’とかどうだ? 昔から幽霊たちが悔しそうに並んでるスポットでな、泣き声が響き渡る絶景だ」

鋼谷は思わず吹き出した。「観光名所って…幽霊の集まる場所ばかりじゃないですか! もっと普通の、歴史ある建物とかは?」

「ん、じゃあ‘亡者の市’はどうだ? あそこも賑わってて、亡者たちがいつもお土産を売ってるぞ。例えば、持ち主が呪われて消えた指輪とか、‘戻れない地図’とかがあるんだ」

鋼谷は困惑しながらも、少し楽しそうに聞いていた。「高村さん、本当は根っからのゴーストバスターですね…観光っていうより、仕事目線じゃないですか」

「まあ、血は争えないというか、ゴーストバスターの視点でしか見れんよ」と高村は大きく笑いながら答えた。

それからしばらく二人は冗談を交えながら錆の都を歩いた。だが、鋼谷の期待をよそに、高村は少し急ぎ気味に彼の肩を叩いた。「じゃ、俺はそろそろ帰るとするか」

「えっ、もう帰るんですか?」鋼谷は驚く。「救援と言いながら、本当に観光だけで来たんですか?」

高村は振り返り、にやりと笑った。「まあな。でも、ちゃんとお前が無事か確認したかったのさ。錆の都は危険だが、お前はやれる男だって信じてる。これからも頼んだぞ」

「…ありがとうございます、高村さん」と鋼谷は敬意を込めて頭を下げた。

高村は手を軽く振りながら、悠然と去って行く。その背中は確かに「クソ上司」かもしれないが、頼もしい存在でもあった。

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