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ある日、長期に渡って潜入捜査をしていた、人身売買組織を一斉に叩くという通達が各事務所にされた。
「ここで待機ね。」
港の倉庫街の一角の物影に、緑谷と爆豪の事務所メンバーと潜み、逃げてくるヴィラン退治に備える。
「予定より来るの早いな。下っ端が警戒でもしにきたか??」
建物の中や周囲を物色するヴィラン達。やむを得ず見つかった時はステルスで拘束し。
「異常なしと言えよ。」
と脅す。続々と集まってくるヴィラン。そして、無線に取り引き開始の連絡が。
「始まったな。」
「そうね。」
喧騒に包まれ始めた倉庫街。突然、拘束していたヴィランが個性で拘束を解き、2人を襲う。
「厄介な爪だね!!」
氷らせたと思えばすぐに生えて鋭くなる爪。その戦闘を皮切りに緑谷や爆豪もヴィランと交戦する。
「ショート!!」
「氷雨!!」
いきなりヒーロー達の頭上からMt·レディ並みのヴィランが降ってきて、着地の衝撃で発生した地割れで2人は離れてしまった。
「まるでロキね!!」
爪ヴィランを倒し、巨人ヴィランの加勢に急ぐ。
そこに。
「おや。ショートのサイドキッカー君じゃないか??」
「そういうオジサンは逃げ損ねたの??」
幹部であろう、身なりの良いヴィランが現れた。
「大人しく捕まってよ。」
「そうはいかないな!!」
背中から無数の触手が伸びる。
「良いスーツが台無しだね!!」
つららで打ち消したりしながら近づくチャンスを伺う。
「君1人。屁でもないね。」
単調だった触手の動きが、複雑になる。やがて氷壁でも庇いきれなくなり、触手に巻き取られ窓に叩きつけられたと思えば、ヴィランの前で逆さに吊られる。
「やっぱり君。女だったんだ。」
身体中を動く触手に嫌悪感を表す涼。
「だったら何。売り飛ばす??」
「かなり高く売れるだろうが。ここは私のおもちゃに。」
「お断りします!!」
最大出力のつららを天に発射する。その勢いで開いた穴から光が差す。
「もう一発!!」
つららが光に反射し、ヴィランが目を細めたタイミングで、涼は触手から逃れる。
「残念だなぁ。」
氷壁やつららを弾きながら、涼との距離を縮める。最大出力を2回も出した涼の限界は近い。
「私のおもちゃになる覚悟はできたかい??」
「いいえ。」
「残念だ。」
伸びる触手だが、余裕の表情をしている涼に違和感を覚えたヴィラン。なぜなら、穴の開いた天井の真下にいたヴィランは、空から降りてきた轟の炎の的になったのだ。
「ショート!!」
「涼!!後は俺がやる!!」
焼け落ちた触手を再生させる暇も与えず、轟は例の如くぶっぱなし、完全氷結でヴィランの動きを止めた。
「涼!!」
「まだここでは氷雨だよ…。」
乱れた服を整えたり、傷を確認するなど慌ただしい轟を涼は抱きしめた。
「焦凍君なら来てくれるって信じてた。」「当たり前だろ…!!」
「おい。いちゃついてないでコイツどうにかしろや。」
突然の爆豪の声に、涼は驚いて轟を突き放した。邪魔が入ったことに不満な轟。
「氷雨さん、無事で良かった!!この人組織のボスなんだよ。」
「へ??ボス…??」
緑谷の言葉に気の抜けた声で応えたかと思えば。涼は気を失ってしまった。涼が病室で目覚めるまで轟はずっとそばにいた。