テラーノベル
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第4話「なんで、気になるんだ」
――翌朝。
ピンポーン。
ya「……早」
昨日の約束通り。
なおきりさんが迎えに来た。
ドアを開ける。
no「おはようございます、ゆあんくん」
ya「……おはよ」
no「眠そうですね」
ya「昨日、あんまり寝てない」
no「僕もです」
ya「……なんで?」
no「昨日のメッセージを思い出していました」
ya「……っ」
no「『待ってる』って」
ya「……それは忘れて」
no「嫌です」
ya「なんでだよ」
no「嬉しかったので」
ya「……」
朝から。
この人は。
俺の心臓を何回鳴らせば気が済むんだ。
no「行きましょうか」
ya「……うん」
並んで歩く。
昨日までなら。
何も思わなかった距離。
でも今は。
少し肩が触れるだけで気になる。
ya「……」
no「どうしました?」
ya「何でもない」
no「そうですか?」
ya「……うん」
――撮影スタジオ。
今日は少し早めに到着した。
スタッフたちが準備をしている中。
知らない男性スタッフが、なおきりさんに話しかけている。
スタッフA「なおきりさん、昨日の演技すごく良かったですよ」
no「ありがとうございます」
スタッフA「今日もよろしくお願いします」
no「こちらこそ」
楽しそうに話している。
琥珀
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682
#からぴちBL
りと。@就寝中
2,226
ya「……」
なんだ。
別に。
普通に話してるだけだろ。
なのに。
なんで。
ya「……面白くない」
小さく呟く。
そのとき。
no「ゆあんくん?」
ya「……何?」
no「さっきからどうしました?」
ya「別に」
no「少し機嫌が悪そうですけど」
ya「……悪くない」
no「そうですか?」
ya「うん」
no「なら、よかったです」
そう言って笑う。
ya「……」
やっぱり。
なんか腹立つ。
――撮影開始。
監督「今日は二人が少し嫉妬するシーンです」
ya「……」
no「……」
監督「では、お願いします」
演技が始まる。
相手役が、なおきりさんに近づく。
ya「……」
胸の奥がざわつく。
もちろん演技だ。
分かってる。
でも。
近い。
近すぎる。
監督「カット!」
ya「……」
監督「ゆあんさん、もう少し相手を意識している感じを出してみましょう」
ya「……分かりました」
再び撮影。
相手役が、なおきりさんの肩に触れる。
その瞬間。
ya「……」
無意識に一歩近づいていた。
監督「カット!」
ya「……」
監督「いいですね。その感じです」
no「……」
なおきりさんがこちらを見る。
その目が。
なんだか楽しそうに見えた。
――休憩。
ya「……」
一人で自販機の前に立っていると。
no「ゆあんくん」
ya「……何?」
no「怒ってます?」
ya「怒ってない」
no「本当に?」
ya「……本当。」
no「では、どうしてあんな顔をしていたんですか?」
ya「……」
言えるわけない。
『他の人に触られるのが嫌だった』
なんて。
ya「……演技に集中してただけ」
no「そうですか」
なおきりさんが近づく。
no「じゃあ、これは?」
ya「え?」
なおきりさんが。
俺の袖を軽くつまむ。
no「今、僕がこうしても平気ですか?」
ya「……っ」
顔が熱くなる。
ya「……何してんの」
no「確認です」
ya「何の?」
no「ゆあんくんが、僕を避けているのかと思って」
ya「……避けてない」
no「本当に?」
ya「……うん」
no「なら、よかった」
袖から手が離れる。
それだけなのに。
少し寂しい。
ya「……」
no「ゆあんくん?」
ya「……何でもない」
――撮影終了。
帰り道。
今日は雨が降っていない。
二人並んで歩く。
ya「……ねえ」
no「はい?」
ya「今日の撮影」
no「はい」
ya「……楽しかった?」
no「楽しかったですよ」
ya「……そっか」
no「でも」
ya「?」
no「ゆあんくんが少し不機嫌だったのが、気になりました」
ya「……」
no「僕、何かしました?」
ya「……してない」
no「では、どうして?」
ya「……」
足を止める。
no「ゆあんくん?」
ya「……なんか」
言葉が出てこない。
でも。
今日は。
逃げたくなかった。
ya「……なおきりさんが、他の人と仲良くしてるの」
no「……はい」
ya「……なんか、嫌だった」
言ってしまった。
沈黙。
ya「……ごめん」
no「謝らなくていいですよ」
ya「でも……」
no「嬉しいです」
ya「……え?」
なおきりさんが笑う。
no「僕も、同じだったので」
ya「……同じ?」
no「はい」
no「昨日、ゆあんくんがスタッフさんと楽しそうに話していたとき」
ya「……」
no「少しだけ、嫌でした」
ya「……なおきりさんでも、そういうことあるんだ」
no「ありますよ」
ya「……なんか意外」
no「僕だって、人を好きになれば嫉妬します」
ya「…………」
その言葉。
胸に刺さる。
『人を好きになれば』。
ya「……好きって」
no「はい?」
ya「……誰のこと?」
聞いた瞬間。
しまったと思った。
でも。
なおきりさんは。
少しだけ目を細めて。
no「……秘密です」
ya「……は?」
no「僕たち、秘密を共有する仲でしょう?」
ya「……そうだけど」
no「だから、もう一つくらい秘密があってもいいかなって」
ya「……ずるい」
no「ふふ」
ya「……絶対、からかってるだろ」
no「どうでしょう?」
ya「……もう」
歩き出す。
なおきりさんも隣を歩く。
少しして。
no「でも」
ya「ん?」
no「いつか、ちゃんと伝えますね」
ya「……何を?」
no「秘密です」
ya「……」
まただ。
この人は。
俺を振り回して。
それなのに。
嫌じゃない。
むしろ。
もっと知りたくなる。
――マンション。
エレベーターを降りる。
いつものように隣同士の部屋。
no「今日はありがとうございました」
ya「……うん」
no「おやすみなさい」
ya「……おやすみ」
ドアを開ける。
その瞬間。
no「ゆあんくん」
ya「ん?」
no「明日も、迎えに行っていいですか?」
ya「……」
ya「……うん」
no「よかった」
笑顔。
その笑顔を見て。
また胸が鳴る。
部屋に入る。
ドアを閉める。
ya「……」
ベッドに倒れ込む。
ya「……俺、何やってんだ」
スマホを見る。
なおきりさんとのトーク画面。
『おやすみなさい』
たったそれだけ。
なのに。
何度も見てしまう。
ya「……好きって」
さっきの言葉を思い出す。
誰が好きなのか。
聞けなかった。
でも。
もし。
もし、その相手が。
俺だったら――。
ya「……いや、ないだろ」
そう思おうとする。
なのに。
胸の奥では。
期待してしまっている自分がいた。
――同じ頃。
なおきりの部屋。
no「……」
スマホを見る。
そこには。
ゆあんとのトーク画面。
no「……本当に、分かりやすいですね」
小さく笑う。
そして。
no「……早く気づいてくださいね」
誰にも聞こえない声で。
そう呟いた。
――第4話 END
もうほんとありがとうございます!
15話くらいで完結にしようと思ってます!
これからも、応援&♡よろしくお願いします🥺
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コメント
1件
もうもう…!!この2人の距離感がたまらなく良いですね😭💕 ゆあんくんが「他の人と仲良くしてるのが嫌だった」って素直に言えたのが本当にえらくて、胸がぎゅっとなりました。なおきりさんも「同じでした」って返すところ、ずるいなあ、もう…!「明日も迎えに行っていいですか」の問いかけが、何気ないのにとてつもなく甘くて。秘密の共有から始まった距離が、確かに恋に変わってきているのがひしひし伝わってきます。続き、楽しみにしていますね🤍