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冷たい金属音で目を覚ました
目の前は無機質な壁
灰色の鉄
冷えた空気
手足に感じる束縛の重み
動かそうとした瞬間、音が鳴った
鉄鎖が揺れる微かな音
「……っ、ここは…」
暗闇になれてきた視界が空間の輪郭をつかみ始める
地下室
おそらく誰も知らない場所
窓はなくただ蛍光灯のような白い光が天井の一点で照らしている
「……やられた…」
拳を握りしめようとして、すぐに腕に鈍い痛みが走る
ぶるーくに撃たれた場所
あれは本気だった
(なにが俺のためにだ…ふざけるな)
だが同時に思い出す
あの夜、引き金を引こうとした自分も同じように本気だったことを
拒絶しながらも、2人だけが互いを撃てるという事実
「狂ってる…全部終わってる」
そう呟いたときだった
ギィ、と扉の開く音
沈黙の闇から近づく足音
見慣れた姿
ーーぶるーく
地下室の冷たい壁がきりやんの肌をじりじりと締め付けていた
暗闇の中、彼の瞳は鋭く光った
「離せ…狂喜の人形が……俺はお前の玩具なんかじゃない」
ぶるーくは薄笑いを浮かべながら、ひとつひとつの監禁の枷を外していく
「玩具?君は僕の全て。君の拒絶も愛してる」
きりやんは身を震わせながらも決して屈しなかった
だがぶるーくの執着は凄まじく、彼を縛り付ける想いは狂喜の深淵を覗かせる
「僕たちは終わらない君と僕の物語はここでしか続けられないんだ」
ぶるーくは静かに、きりやんの唇へ指を這わせる
その指がキスへと変わり、時間が止まったかのように2人だけの世界が広がる
きりやんはその唇を押し返しながらも心の奥底に冷たい熱が灯るのを感じた
「ーーお前なんか絶対に認めない」
その言葉とは裏腹にぶるーくは愛しく微笑み、再び唇が重なった
深く狂おしい執着の証
闇の中で2人の命運が絡まり合い、冷たい夜に静かに堕ちていった
ぶるーくが、きりやんの額にそっと触れ、囁いた
「逃げられないよ……もうどこにも」
きりやんの視線はそれでも冷たくぶるーくを拒み続ける
静寂を破ることなく、ただゆっくりと、ぶるーくの微笑みは深まる
「それが……僕の愛だからね」
ーー終