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あれから、3週間……


燈和野は相変わらず目を覚ます気配はなくて医者も本人が目覚めるのを待つしかないと匙を投げた

脈は弱まり呼吸も浅くなって、いつ息を引き取ってもおかしくないと言われた

もし、このまま、二度と目を覚まさなかったら……?

もし、本当に燈和野が、死んだら───?


『っ、!』


嫌だ

死なせてたまるか

こっちは保証人になって、馬鹿みてぇな治療費まで出してんだ、いきなりぶっ倒れてそのまま死ぬとか許さない

絶対に…起きなかったら許さない…


燈和野が死ぬ想像をすると息が引き攣るような感覚に陥り1度考えると不安がどんどんと押し寄せてきた


『…早く起きろよ、ちびすけ、』


毎日、毎日毎日燈和野の今にも死にそうな寝顔を見ながら、小さく声をかけ続けた


今日はこんなことがあった、何をした、誰が来たか、とにかく話しかけた

ふと、うるさいぞって、いつもの声が聞こえるんじゃないかと願いながら、何度も


でも望む声は聞こえなくて、聞こえてくるのは無機質なピッピッという心拍の音だけ

呼吸音は耳を近づけなければ聞こえないほど小さく弱い


『なぁ、今日はお前の生徒が来たんだぞ、すげぇ泣いてて……なぁ、早く起きてくれよ、』


最近、燈和野が倒れてから上手く寝付けなくなっていた

だから何度か燈和野の病室に泊まりもした

呼吸が浅くなって、脈も弱まって、いつ死んでもおかしくないように感じたから

目を離したらそのまま消えてしまうんじゃないか

二度と、その声を聞けなくなるんじゃないか


そう思うと寝れなくて、何度も何度も燈和野の呼吸を確認した


そのせいで、寝不足なんだ


『ひわ…の、』


なぁ、俺が起きた時、お前も、起きててくれよ


『……、』


そのまま俺は燈和野の傍らで静かに目を瞑った


睡眠不足の体にはすぐに眠気がやって来て不安な思考とともに意識は落ちていく





目の前には、白い肌は更に青白くなって暖かかった手は冷たくなった燈和野がいた


嘘だ、いや、いやだ、なんで、っ!!

なぁ、おい、起きろよ、おい、たのむから、!!


脱力した彼を強く抱き締める


苦しいって、やめろっていつもの声で言ってくれ、なぁ、黙って抱きしめられてるなよ、いつもみたいに…なんか言えよ…、!!


彼の体は、こんなに小さくか弱かっただろうか


いや、彼はいつでも自分を弱くは見せなかった

誰よりも強く誠実であろうとした

俺を雑に扱うけどその分気を許していたことは感じていたし、他には見せないような表情も見せてくれていたから

そんな彼が俺は割と気に入っていて…きっと、意外と好きだったのだ

だから皮肉屋でも友達でいたし一緒にご飯へ行ったりもした

なんだかんだ彼も俺を好きだったろうし、デリカシーがないといいながら受け入れてくれていた


そんな彼が居なくなるのは耐え難い苦痛であることを、今、自覚した


なぁ、おきてくれ、また、馬鹿だなって笑って怒ってくれ


燈和野……





手に暖かい何かが触れた気がして意識が浮上した


『……ん?』


「……っ、!!」


目を覚ませば、起き上がり蜂蜜色の瞳をめいいっぱい開いてる燈和野が居た


『……お、起きた!!!!!』


『3週間も意識無いから俺、金つんだと思ったぞ!!!』


『人生で一番やっちゃいけねーって言われてる保証人になったこと後悔しかけた!!!!!』


驚きで言う必要のないことが口からどんどん出てくる


「ぁ…、よか…っ、ぅぅぅぅ…、」


だけど、彼は俺の顔を見て、めいいっぱい開かれていた瞳から大粒の涙をボロボロと溢れさせ俺を強く抱きしめる


『…んんん?』


夢の中よりもしっかりとした彼の体はしっかりと熱を持っていて生きていると実感できる

珍しく号泣している様は新鮮で、いつもの調子でからかってしまった


『何?そんなに俺がお前の保証人になった事が嬉しいの?

天涯孤独でーす。友達だけど、知りませーんも出来たけど。何か、家の中でぶっ倒れたからさすがにそれはなぁ?……〜〜、…… 』


なんて、いつもみたいに、黙れとかもっと他に言うことあるだろとか、そんな言葉が返ってくると思ったのに


「…ふは、あぁ、うん、ありがとう」


素直にお礼を言って、泣いてるくせに安心したような、優しい顔で笑った


安心してるのはこっちなのに、なんでお前がそんな顔するんだよ



その後、燈和野は珍しい反応ではあったけどいつもみたいにじゃれてちょけて、その後軽いリハビリを終え数日後には退院することが出来た


失ってから気づく系の愛ってあると思うんです

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