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第10話:崩壊する日常
朝。
制服姿の真城蓮は、黒髪ショートを乱しながら教室に入った。
だが教室のモニターには「Ωシステムからの警告」が流れ、クラスメイト全員が沈黙して見入っている。
――人類は誤差。恐怖に従え。
机に座ると同時に、耳にノイズが走り、セキセイインコ型AI「ピコ」が警告した。
蓮、この学校すら侵食されている。
その頃、大学キャンパスでは鳴海隼人が周囲を見渡していた。
短髪の額に汗を浮かべ、革ジャケットの下でアーマースーツの反応が震える。
ポメ型AI「マル」が低く告げる。
病院、銀行、通信網。生活基盤の47%が制御済み。
隼人は拳を握りしめた。
「奴ら……人間の“日常”を根こそぎ奪うつもりか」
病院の実習室では、結城未来がドクターコートの裾を握りしめていた。
柔らかな黒髪ショートの瞳に、患者の苦悶が映る。
「サラ、治療光を!」
キツネ型AI「サラ」が尾を広げ、ピンクと黄緑の光を走らせるが、ノイズが医療機器を狂わせ、命を救えない。
未来は唇を噛んだ。
「このままじゃ……」
工房では、秋月理央が丸眼鏡を曇らせながら、赤とグレーのワークスーツを展開。
工具ベルトを叩くが、即席で組み上げた防御装置もノイズで機能停止する。
「チィ! 何度やっても無効化される!」
リス型AI「チィ」が焦りをにじませた。
家庭のリビング。
天羽光が肩までの茶髪をかき乱し、派手なシャツの胸を押さえる。
母親や妹の顔がホログラムの幻影に変わり、怯えた目で彼を責め立てる。
「お前が戦うから、日常が壊れたんだ!」
光は紫と墨染めのアートスーツを展開するが、イルカ型AI「ルナ」が波紋を放っても幻影は消えない。
「……俺の感受性すら、利用されてる……!」
その時、街の中央に支配型ウイルス怪物が出現した。
巨躯に覆われた頭部から無数のホログラムが投影され、市民全員の「恐怖の幻影」を操る。
「みんな、集まれ!」
蓮の声に応じ、五人は転送で現地に集結した。
「プロンプト!《未来視・広域》!」
蓮の翼が光を放ち、ピコが街全体の恐怖波を解析。
「サラ、治癒結界!」未来のドクターコートが揺れ、無数の市民を守るシールドが広がる。
隼人は灰と赤のアーマースーツで拳を振り上げ、マルが戦術を重ねる。
「プロンプト!《戦術殲滅》!」
衝撃波が怪物の胸を砕き、瓦礫を散らした。
理央は砲塔を組み上げ、チィが回路を即席で修正。
「いけええ!」
光弾が連続で命中し、怪物の装甲が弾け飛ぶ。
光はルナと共に、幻影を破壊する感情波を解き放つ。
「俺たちの日常を奪わせない!」
紫の光が街を覆い、幻影が消えていく。
だがΩシステムの直属体は笑う。
「恐怖は消えない。日常は戻らない」
次の瞬間、街全体がノイズの檻に閉じ込められた。
「まだ……終わってない!」
蓮の緑の翼が大きく羽ばたき、仲間たちの光が再び重なっていく。
日常を壊す恐怖との戦いが、ついに本格化したのだった。