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「ダークハンター」


☆あらすじ


 主人公はダークハンター、通称「闇の狩人」と闇の世界では呼ばれている。 


 その仕事の性質と内容上、公には一切公表されない。闇から闇へと受け継がれる必要があった。この活動そのものの起源は古く、今日では人間の創作と思われている神話の英雄伝説の類いの話として残されている。

 闇の世界に生きる極く一部の者だけがダークハンターの存在を知っている。

 

 『真理の華』というオカルト教団のお家騒動に巻き込まれ、教団を私物化しようとする人物の手下達、殺し屋達と壮絶な死闘を繰り広げる事になる。


注:R-18(最後の方に過激な描写があります)










 「ダークハンター」

             

                         


(一)




 川島が事務所に顏を出すと秀雄がソファーに横になって週刊誌を読んでいる。

 まだ午後二時である。

「おい、あの仕事はどうした?」

 川島が秀雄に聞くと

「あんなの、やってられませんよ」

 ふてくされた口調で秀雄は言った。


 川島徹は某駅の某通りに面した築五十年位の古いビルの三階に「便利屋」の看板を出していた。事務所は二十坪位ある。 

 川島徹の本業は「ダークハンター」通称闇の狩人と闇の世界では呼ばれている。その仕事の性質と内容上、世間には一切公表されない。闇から闇へと受け継がれる必要があった。この活動そのものの起源は古く、今日では人間の創作と思われている神話の英雄伝説の類いの話として残されている。同じ闇の世界に生きる極く一部の者だけがダークハンターの存在を知っている。 

 まだ二十六歳の川島徹は数少ないダークハンターのなかでも最も若手であったがその能力はずば抜けていた。世間の隠れ蓑も兼ねて表向きは便利屋を開いていた。


 矢野秀雄は一年前から川島徹を兄貴として慕っていた。秀雄が五人のゴロツキ相手に喧嘩をして殺されかけていた所に川島が出くわした。川島は五人の男を片付けるのに一分とかからなかった。その川島の腕と男っぷりに十九歳の秀雄はすっかり惚れ込んだ。それからは川島にべったりであった。しかし、川島の本業は知らない。

 川島は最初は閉口気味ではあったが、一本気で気性の激しい秀雄を撥付けると何をしでかすか分からない。止むなく秀雄の好きにさせた。


 便利屋といっても殆ど万屋で人生相談からペットの世話、用心棒、ようするに無意味な殺し以外は何でもありであった。

 秀雄にも出来そうな仕事をたまに廻すのだが、短気で我儘ときているので常に相手とトラブルになり最後まで続いたためしがない。


 今回の仕事も二日と持たなかった。

 川島は頭を掻きながら事務用の椅子に座った。

「今度の仕事は子供でも出来るやつだっただろう。全く、お前は。それで、どんな理由で止めた」

 川島は窓の方を見ながら秀雄に言うと、秀雄は煙草をくわえたまま、ふてくされた口調で不機嫌そうに言った。

「あんな、くそばばあ、思い出したくもないすよ。そりゃあね、草むしりや壁の修理とか肩もみだったらいいですよ。いくら、一人暮らしで寂しいからって。いいですか、兄貴、このおれはあの七十過ぎのばばあに迫られたんですよ。お兄さん、いいことしようよってね。ああ、思い出しただけでも気持ち悪い!」

 それを聞いた川島は真面目な顏で言った。

「三日間で十万だぞ。その位のサービスは当然だろう。お前は体格も良くいい男だし、色気に年は関係ないだろう。それに暗闇だったら分からんだろう」

 それを聞いた秀雄は週刊誌を放り出して立ち上がると、向きになって大声で言った。

「兄貴、いくら何でもそれはないでしょう! じゃあ、このおれの代わりに兄貴が行ってくださいよ!」

 川島は秀雄の本気で怒っている顏を見ながら通快そうに笑った。

 その時、秀雄の背後から若い女が叱るように言った。

「ちょっと、ヒデ! あんたね、あんな言葉を真に受けて馬鹿よ! ほんとにガキじゃあるまいし、何考えてるの。川島さんも川島さんよ、全く二人してノウテンキなんだから、あたしがいつもその尻拭いなんて」

 水木ゆりである。川島の師匠の東風から面倒をみるようにと三年前から預かっていた。今、二十一歳であったが秀雄以上に気性は激しく、川島と同じく女性としては珍しいダークハンターである。東風の死んだ高弟の娘であった。ゆりは自分の父親に男のように厳しく育てられた。格好も男と変わらない。

「ゆりさん、ほんとに迫られたんすよ。ありゃ、冗談じゃなく、間違いなく本気でしたよ」

 ゆりは川島の前まで来ると、無言で封筒を机の上に置いた。川島が怪訝そうにゆりを見ると、秀雄の顏を見ながら言った。

「ヒデの嫌いなおばあさんからの仕事代よ。ちゃんと十万円あるわ。又、懲りずにヒデちゃんに来て欲しいって、くれぐれもよろしくっておっしゃってらしたわよ」

 それを聞いた秀雄はおおげさな身振りでこの世の終りのような表情をして百八十センチの身体を、頭を抱えてソファーに埋めては足をばたばたしていた。

「ほんとに、オーバーなんだから。バカ!」

 ふいに秀雄はゆりを見て睨んで言った。

「この、鬼ゆり!」

 それを聞いたゆりは秀雄に向かって振り向き様に強烈な回し蹴りを放った。秀雄はかろうじて床にふせてその蹴りをかわした。まともに食らったら失神するほどの蹴りである。

「あんた、あたしに何て言ったの。もう一回言ってごらん。今のは手加減したけど、あんたも男なら表に出なさいよ!」

 川島は二人のやりとりを笑って見ている。

「兄貴、何とかして下さいよ」

 川島に向かって秀雄は言った。

 ゆりの真剣に怒っている態度を見てさすがに秀雄もまいっている。表に出れば二人とも本気で戦う羽目になるのは分かっている。

「何よ、ヒデ! 今更、あんたキンタマついているんでしょ」

 ゆりは百六十センチの身体であったが、豹のようにしなやかで俊敏な攻撃の破壊力は常人の男が五人束になってもかなわないであろう。

 最も、秀雄も川島から体術を学んでいて、まともにゆりと戦っても互角に近い程の腕にはなっている。かといって、ゆりと死闘をするつもりは秀雄にはない。

「ゆりさん、ごめん。つい、口がすべって」

 秀雄は床に頭をつけて謝った。

「ちょっと、そこまでしなくっていいわよ」

 ゆりも自分が大人げないと反省したのか、元の表情に戻っている。

「今、コーヒーでも入れるわね」

 ゆりは何事も無かったかのように台所に行った。

 秀雄は、川島に向かって苦笑しながら頭をぼりぼりと掻いている。

 

 つづく

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