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#一次創作
ruruha
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眠狂四郎
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ruruha
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きゆう
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そんな訳で桜子は、数か月も彼女の幻と化している痕跡を探して検索しまくっている、この無謀な日々にそろそろ終止符を打つ時が来たと考えていた
マウスから手を離して椅子の背に深くもたれる・・・部屋の隅には洗濯物カゴの影がひっそりと沈んでいる、階下では柱時計が午前一時を告げる低い音を一つ鳴らした
すでに今・・・この瞬間から、桜子はこれから数年経って起こる出来事を正当化する言葉を探し始めていた
自分でも気づかないうちに、頭の奥のほうで別の自分が、静かに弁護の準備を始めている・・・あれからほぼ毎日、この物語を読んでいた
粗削りな所もあるし、ここをもう少しこうした方が・・・と考えるところもある、しかしこの結婚詐欺師と三人の女の子の生き生きとした躍動感だけは、誰にも書けないだろう
桜子が今・・・心に思っていることは、自分が常識ある社会人で、論理的に行動し、家族が恥じない模範を持つはずの道徳的な人間だという事実とは、ほとんど関係がなかった
関係があるのは、もっぱら、桜子がどこまでも「作家」だという事実だった、彼女は道徳的な人間の仮面を脱いで作家という「性」を丸出しにして、「面白い物語を自分のモノにしたい」という欲求しかなかった
桜子の世界では、物語の「張替え」というのは作家であるならば、誰しものが認めていることであり、暗黙の了解で尊重していることだ
芸術作品というものは重なり合うものだし、響き合うものだ
今の時代はそれを「盗用」と呼ぶかもしれないが、桜子の中では古(いしにえ)の時代から良い物語はこんな風に「形を変え」て何度も語られる・・・それに気づいたのは遠い幼い頃
「シンデレラテンプレート」「光と影」「悪を成敗する」「兄弟愛、家族愛」「最強ヒーロー」「溺愛」
物語はそうやって世代を超えて生き続ける、作家から作家へ、良い物語は自分を愛してくれる人の所へとどまる
まるでそれは霊的交換のように今、この瞬間に桜子の手の中へ落ちて来た
桜子は人生で何も信じていなかった、宇宙も、神も、来世も、天命も宿命も運も、引き寄せの法則もスピリチュアルも、七転び八起きとか因果の理法とか、何ひとつ信じていなかった
もしそれを信じていたら自分はどうしてこんな惨めな人生を送っているのかと問われて、答えられなかったからだ、どこかの占い師に過去世が原因だと言われてもそんなもの信じられるわけがない
机の引き出しの奥から桜子はそれを取り出していた、小さなプラスチック製のピンクのUSBメモリーを握りしめる、桜子は点と点をつなぐように、作家として一たび花を咲かせる進行中のドラマを想像した
そして、亡くなったはずの「柚原希実」が今まさに自分の隣に立っているように感じていた
「ダメよ・・・ダメ・・・『春ウララ』で懲りてるでしょ!絶対ダメ!」
誰に言い聞かせることなく桜子は独り言を言った
―彼女はもう死んでるのよ、あの時とは状況が違うわ―
。 .:・.。. .。.:・
頭の中で、もう一人の自分が囁く
「盗作は罪よっ!」
―盗んでいないわ、落ちていたものを拾っただけ―
。 .:・.。. .。.:・
喉の奥がひりつき・・・両手の指先がじっとりと湿っている、デスクトップ画面の黒い反射の中に眼鏡をかけた自分の顔が、青白く浮かんでいた、ひどい顔をしている
「ダメッたら、ダメよっ!忘れなさい!!」
―これは私がベストセラー作家になれる最後のチャンス―
。 .:・.。. .。.:・
ピンクのUSBメモリーの金属の端子が、パソコン本体の差し込み口にカチリと小さな音を立てて吸い込まれていく
画面の隅に小さなウィンドウが開いた、そこには大金を稼ぐであろう一つだけのファイル・・・
桜子は息を止めたまま、マウスのカーソルをそのフォルダの上に重ねた
―カチッ―
柚原希実が遺した物語を桜子は開いた、今度は自分が改稿するつもりで
コメント
3件

あ〜あ…やっちゃったよ…
アカンてー🥺桜子!考え直して😭🙏
うわあ、第34話、すごく重くて引き込まれました……。桜子の「道徳的な自分」と「作家としての性(さが)」がせめぎ合う内面描写が生々しくて、特に「盗作は罪よ!」「落ちていたものを拾っただけ」という自己対話の応酬が胸に刺さりました。USBを挿す寸前の、指先の湿り気や青白い顔の描写で、彼女の罪悪感と欲望のリアルさがぐっと伝わってきます。「春ウララで懲りてる」という過去の伏線も気になる……。この選択の先がどうなるのか、続きが待ち遠しいです。星キラリさん、心理描写が本当に巧いですね!