テラーノベル
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ある日の夜、ソファで寄り添ってテレビを見ていると、佐久間が春菜の手を包み込むように握り直した。
「なぁ、 春菜。……メンバーに春菜を紹介したいんだけど…いい?」
「えっ……メンバーって、SnowManの?」
驚いて見つめる春菜に、佐久間は少し照れくさそうに、けれど真剣な瞳を真っ直ぐに向けた。
「うん。俺の大事な仲間に、俺の大切な人を紹介したいんだ。……いいかな?」
いつも自分を最優先に守ろうとしてくれる彼が、自分のホームである場所に迎え入れようとしてくれている。
その純粋な気持ちが嬉しくて、満面の笑みで頷いた。
「うん、もちろん」
「本当!? よっしゃ! じゃあ、次の休みにみんなをうちに呼ぶね!」
佐久間はパッと顔を輝かせ、子どものように無邪気にはしゃいだ。
顔合わせ当日。
午後を回った頃、静かな部屋に小気味よいチャイムの音が響いた。
インターホンの画面を覗くと、すでに画面越しでも伝わってくるほど賑やかな二人の姿が映っている。
『さっくーん! 来たで!!』
『あーけーてー! あっそびっましょー!』
最初に着いたのは、向井康二とラウールだった。
「はいはい、今開けるよー」と佐久間が笑いながら玄関へ向かい、鍵を開けて扉を開く。
「お邪魔しまーす!」
元気よく一歩踏み出した向井に、佐久間がニヤリと意地悪く笑った。
「邪魔すんだったら帰ってー」
「あいよー!」
関西人としての反射なのか、向井はそのままくるりと踵を返し、玄関扉の外へステップを踏んで出ていった。
すかさず佐久間が扉を閉め、ガチャンとオートロックの無情な音が響く。
数秒の静寂。
ニヤつく佐久間。
口を両手で必死に抑えながら崩れ落ちるラウール。
外からドアをドンドンと叩く音がした。
『……ってなんでや!!! 開けて!! 入れてやあぁぁぁ!!』
「ひゃはははは! 康二くん最高すぎる!!」
堪えきれず、ラウールが身をよじるようにして大爆笑している。
佐久間も肩を揺らして笑いながら、再び鍵を開けて向井を招き入れた。
「もう! 俺お客様やで!? なんで締め出すん!?」
「いや、康二が自分で勝手に出ていったんじゃん」
リビングの手前でその光景を見ていた春菜は、こらえきれずに「あはははは!」と声を上げて笑ってしまった。
その声に反応して、ラウールと向井の視線が一斉に春菜へと向けられる。
「あ! この子がさっくんの!?」
向井が目を丸くする。
「はじめまして、お邪魔します」
ラウールが長身を少し屈めるようにして、丁寧にお辞儀をした。
「はじめまして、糸瀬春菜です。今日は来てくださってありがとうございます」
春菜が挨拶すると、ラウールはじっと見つめた後、佐久間の脇腹を小突いた。
「めっちゃ可愛いじゃん……。佐久間くん、こんな綺麗な人どこで見つけてきたの?」
「おいこら、ラウ。狙うなよ?」
佐久間はすかさず春菜の肩をぐっと抱き寄せ、自分の胸元に引き寄せた。
独占欲を隠そうともしない彼の行動に、春菜の顔はボッと一気に熱くなる。
それを見たラウールは「ピュ〜ゥッ」とからかうように口笛を吹いた。
そんな賑やかなやり取りをしている最中、再びピンポーンとチャイムが鳴る。
画面を確認すると、そこには深澤辰哉、岩本照、宮舘涼太、渡辺翔太、阿部亮平の5人が並んでいた。
「いらっしゃい。みんな一緒だったんだ」
佐久間がドアを開ける。
「エントランスのところでちょうど鉢合わせたんだよ」と深澤が頭を掻きながら入り、続いて宮舘が「お邪魔します」と気品のある所作で靴を脱ぐ。
「どうぞどうぞ、入ってー」佐久間が促すと、後ろから向井の抗議の声が飛んだ。
「おい、ちょぉまて! 俺のときと全然対応違うやんけ!」
それを見てラウールが再び大爆笑し、玄関先は一気にお祭り騒ぎのようになった。
春菜も笑いながら「みなさん、いらっしゃい」と声をかけると、全員の視線がピタリと集まった。
さすがに日本を代表するトップアイドルが揃うと、その場のオーラと迫力に圧倒されそうになる。
「あ、この子が?」
阿部が優しく微笑みながら口を開いた。
「うん、そう」
佐久間が誇らしげに胸を張る。
「はじめまして、阿部亮平です」
「俺、深澤!」
「宮舘涼太です」
「渡辺翔太でーす」
「あ、自己紹介してなかった! 村上ラウール真都です!」
ラウールが勢いよく手を挙げる。
「フルネーム(笑)」
すかさず深澤が突っ込む。
「俺、向井康二やで!」
向井も負けじとアピールする。
「岩本です。あ、これ……つまらないものですが」
一歩前に出た岩本が、カチッとした紙袋を差し出してきた。
「わぁ、ありがとうございます! みなさん、はじめまして。糸瀬春菜です。今日はゆっくりしていってくださいね」
手土産を受け取りながら春菜が改めて自己紹介をすると、佐久間が「まぁ玄関で立ち話もなんだし、上がってよ」とみんなをリビングへ案内した。
部屋自体はそれなりに広さがあるはずなのだが、流石に体格のいい成人男性が8人も揃うと、一気に空間が狭く感じられる。
各々ソファやクッションに好きなように腰掛けたものの、メンバーたちはどことなくソワソワとしていて、いつもテレビで見るような大騒ぎが身を潜めている。
佐久間は当然のように春菜の隣にぴったりと座り、不思議そうに首を傾げた。
「うん? みんなどうした? 元気ねぇな」
「いや、だってお前……」と深澤が歯切れ悪そうに視線を泳がせる。
「別に俺ん家くるの初めてじゃねーじゃん」
「そうじゃなくてさ……」渡辺も居心地悪そうにそっぽを向いた。
すると、阿部が苦笑しながら助け舟を出した。
「みんな、春菜さんに緊張してるんだよ」
「え、私に……!?」
驚いて声を上げる春菜。
どちらかと言えば、Snow Manに囲まれて心臓がバクバクしているのは春菜の方だったのだが。
「あっはっは! あぁそうか、ごめんみんな! 改めて紹介するよ。俺の彼女です!」
佐久間が春菜の肩を抱いて自慢げに言うので、春菜は慌てて頭を下げた。
「よ……よろしくお願いします……!」
「ラブラブでーす!」
「ちょっ……ちょっと佐久間くん……!」
初対面のみんなの前でおふざけモードに入る彼に、春菜がおろおろと赤面していると、その様子を見ていたメンバーたちの緊張がふっと解けたように、温かい笑い声が広がった。
「じゃあ、改めまして……どうも!」
「「「「「「「「Snow Manでーす!」」」」」」」」
ラウールの合図で、メンバーの声が綺麗に揃う。
「いや、おい、やるなら言っとけよ。俺つられちゃったじゃん」と佐久間が笑う。
目の前で繰り広げられた完璧な挨拶に、春菜は思わずパチパチと拍手をしてしまった。
「おお……! 本物だぁ……!」
「あ、この子、すのちゅーぶ視聴者だ」
深澤がニヤリと笑う。
「もちろん! チャンネル登録もしてますし、毎週楽しみに見てます!」
「えー、めっちゃ嬉しい!」
向井が顔を綻ばせた。
「俺ら、なかなか視聴者の人と直接交流する機会ないもんねぇ」
ラウールもしみじみと頷く。
すると佐久間が、ここぞとばかりに話を被せてきた。
「春菜さ、この前のトリプルA面シングルのPR動画、めちゃくちゃ笑いながら何回も見てるよ。康二が全部罰ゲームしたやつ(笑)」
「ああっ! あれだけは見んといて!」
向井が頭を抱え、リビングはドッと大きな笑い声に包まれた。
ひとしきり笑い転げた後、宮舘がふっと背筋を伸ばして話を切り出した。
「さて、春菜さん」
「え、は、はい」
「俺たち、春菜さんに色々聞きたいことがあって……」
春菜が首を傾げると、隣の佐久間は「あー……」と全てを察した様子で苦笑いしている。
「私でよければ、なんでもお答えしますよ?」
春菜がそう言うと、宮舘は綺麗な微笑みを浮かべた。
「では、お言葉に甘えて」
こほん、とひとつ咳払いをする。
「春菜さんに質問ある人ー?」
スッ! と、全員の手が綺麗に挙がった。
恐ろしいほど姿勢が良い。
さすが、ダンスを生業にしているグループである。
「えぇえ……? ええっと、じゃあ、ラウールくん……?」
恐る恐る指名してみる。
「はい! 佐久間くんとの出会いはどんな感じでしたか!?」
「ええ!?」
まさかそういう質問だとは思っておらず、思わず声を裏返らせる春菜。
メンバー全員の目がギラギラと期待に輝く中、佐久間は呆れたように大きなため息をついた。
「ごめん、春菜。もうずーっと楽屋でこれでさ……。早く紹介しろ、出会いはどこだ、写真はないのかって、こいつら会う度に質問攻めしてくるから、もう一気に呼んだ方が早いなと思って」
佐久間の告白に納得しつつ、春菜は自分を落ち着かせるように小さく息を吐いた。
「そ……そうだったんですね。えっと、出会いは、彼と私の共通の知人からの紹介で……。と言っても、大介くんはそれまでに私のことを知ってくれていたみたいなんですけど……」
その言葉に、阿部の探偵のような鋭い目が光った。
「もしかして佐久間、その友達に『紹介しろ』って自分からお願いしたとか?」
「ヴッ!」
佐久間が胸を突かれたような声を上げる。
「えっ、そうなの!?」
春菜も初耳で隣を振り向いた。
佐久間は完全に耳まで真っ赤にして、視線を彷徨わせながら白状した。
「はい……俺の一目惚れで、友達に頼んで紹介してもらいました……」
その瞬間、リビングのボルテージは最高潮に達した。
「うわーお!」「やるー!」「佐久間かっけぇ!」と男たちの歓声が響き渡る。
「はいはい! 次俺!」
向井が勢いよく手を挙げた。
「もうちゅーした!?」
「えええ!?」
「おいこら康二! それセクハラ!!」
佐久間が立ち上がって怒るが、向井は先程の仕返しとばかりに、ニヤニヤと笑いながら食い下がる。
「ええやん教えてぇなぁ! あ、それともさっくん、まだしてへんのん? うわ、ヘタレやん!(笑)」
「はぁ!? んなわけねーだろ、もう何回もしてるわ!」
「佐久間くん……!!!」
恥ずかしさのあまりどうにかなりそうな春菜をよそに、メンバーたちは一瞬の静寂の後、「ぶはっ!!」と一斉に吹き出した。
「あっ……!」
言い過ぎたことに気づいた佐久間が口を押さえる。
「佐久間お前……(笑)」
岩本が肩を震わせ、渡辺も「ちょっろ(笑)」とお腹を抱えている。
向井とラウールは「イェーイ!」と満面の笑みでハイタッチを交わしていた。
「ああーーー! もう!! 恥ずかしい!!」
佐久間はソファの上で地団駄を踏み、メンバーからの質問タイムという名の「尋問」はその後も延々と続いたのだった。
「いやぁ、佐久間がこんなにメロメロだとはね」
渡辺が感心したように呟く。
「佐久間は一途だからね」
宮舘も深く頷いた。
「愛されてるねー、春菜ちゃん!」
深澤が優しく笑いかける。
散々恥ずかしい質問を浴びせられ、春菜も佐久間もすっかりヘロヘロになっていた。
「まぁこんな可愛い子やし、しゃあないよなー!」と向井が言うと、ラウールが春菜の前に身を乗り出してきた。
「佐久間くんが暴走したら、いつでも俺ら呼んでね!」
「そうそう! お兄ちゃんたちがいつでも駆けつけるから!」
深澤も胸を叩く。
「あ……っと、ええっと……」
ありがたいけれど、なんだか勘違いされているような…。
春菜が戸惑っていると、佐久間がツッコミを入れた。
「お前ら、何か勘違いしてるみたいだけど、春菜は俺の2つ上だぞ」
一瞬、リビングの時が止まった。
「「「「「「「えええ!!!???」」」」」」」
「えっ……ってことは、この中で一番年上……?」
阿部が計算するように目を見開く。
「俺よりも!?」
深澤が自分の顔を指さした。
「は……はい……。すみません、昔からよく童顔って言われるんです……」
申し訳なさそうに縮こまる春菜に、メンバーは言葉を失っていた。
「全っ然、見えねぇ……」
岩本が呟き、向井も「俺より年下やと思ってた……」と呆然としている。
「幼いというより、綺麗で年相応に見えないって感じだね」
宮舘のスマートなフォローが心に染みる。
すると、隣でラウールがプルプルと小刻みに震え始めた。
「お……おねぇさーーーーん!!!!」
突然叫びながら、ラウールが春菜に向かってダイブしてきた。
しかし、すかさず佐久間が春菜を抱き寄せたため、ラウールは勢い余ってリビングの床に顔面を強打。
「ぐぇっ……!」
「……ったく、油断も隙もない。ラウ! 俺の彼女になにすんだ!」
佐久間が春菜を腕の中に隠しながら威嚇する。
「ええ〜、ちょっとくらいお姉さんに甘えたっていいじゃん!」
「だめ!!」
「けち!!!」
「ステイ!!!」
その徹底したガードの固さに、またみんなで大笑いした。
💙青椒肉絲🧡
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#あべさく
うめぼし
439
楪羽*yuzuriha*
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コメント
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るるさん、第12話読み終えました!メンバー紹介回、めっちゃ良かったです!康二くんの締め出しネタから始まる賑やかさがもうSnow Manそのもので、春菜さんの「本物だぁ…!」って呟きに思わず笑顔になりました。年齢がバレた時の全員の「えええ!?」の揃い方、そしてラウールくんが「おねぇさん」ダイブして佐久間くんに弾かれる流れ、最高に面白かったです。佐久間くんのガードの固さと照れ隠しが可愛くて、温かい気持ちになりました。メンバーみんなで春菜さんを迎え入れる空気が素敵で、次の話も楽しみにしてます!