TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

初恋サンセット

一覧ページ

「初恋サンセット」のメインビジュアル

初恋サンセット

22 - 第22話*演技派彼氏と雨な記憶*10

♥

16

2025年07月15日

シェアするシェアする
報告する



それならいちいち詮索するのも、自分がするべきことじゃない。

だけど、話題がないのも辛いもので。


「あの、恋人のフリって具体的には何をすればいいのでしょうか」


柚は、昨夜から気になって仕方がなかったこと。

もっともらしい質問を投げてみた。


「え? どうしたの、いきなり。別になにもしてくれなくていいよ」


予想外にも、驚いた声が返ってくる。


(いや、驚きたいのは私ですが)


「え、何も?」

「うん。 俺が次何か誰かと撮られたら、君の出番ってだけで。 その時に敢えて俺と撮られてくれたらいいから」


そうなんですか、と答えた柚の身体から力が抜ける。

あんまりにも優陽が演技派なものだから、もっと合わせなくてはいけないのだろうか。

……なんて、焦っていたところだったのだ。


「ん? それとも、あれかな」

「あれとは」


視線は前に向けたまま、優陽はこの会話を終えたつもりはないらしい。


「彼女っぽいことしたい? 形から入りたいタイプ??」

「え? そうじゃなくて、それならその時まで会う必要もないのでは? と、思って」


必要になる時まで連絡先さえ確保しておけば、それで済む話なのではないだろうか。

そんな、素直な疑問をぶつけただけなのだけど。


「へえ、俺が会いに来てこんなに迷惑そうにされるなんて貴重だなあ」


冗談めかして言ってるようで、声が少し怖い。

モテる男の人のNGワードに触れたんだろうか。 気を遣ったつもりなのにさっぱりわからない。

世間の声から伝わってきている、温和で人当たりのいいイケメンシンガーというイメージは既にもう柚の中になく。


「め、迷惑だとは言ってません……」

「ははは。 まあ、今はそういうことにしておいてあげるよ」


今は、をやけに強調してくる。

全然そういうことになってなさそうな刺々しさに、口を噤んでいると。




この作品はいかがでしたか?

16

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚