ライチ光クラブ」より 二次創作になります。
登場人物
◎ 常川寛之(ゼラ)
◎ 雨谷典瑞(ジャイボ)
原作とは異なりゼラとジャイボが生きている設定です。
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クラブでの爆発事故があった日から3年後
常川「ボクが…ボクのせいで…」
あの日を境に今までボクに纏わりついていた黒い怪物は消えた。どうやらボクは幼い頃から精神疾患を患っていたらしい 長い治療を経て 今は螢光町から離れて小さな町に住んでいる
しかしそれは単なる自分の罪から逃げるための方法に過ぎなかった。忘れようにも忘れられずに毎日のように過去の事を思い出しては後悔している
「自分がみんなをライチ光クラブを殺した」
あの日自分は何をしていたのか
なぜ自分だけ助かっているのか
疑問に思う事は腐る程にあるのに
今はもうあの町には戻れない
戻ってしまったらそれが解ってしまう
みんなが死んでしまったにも関わらず
のうのうと生きてる自分に嫌気が差す
毎日毎日毎日毎日後悔をして生きていくのが唯一
自分がみんなに対して出来る償いだ
そう信じて今までを生きてきた
それが今日という日で壊された
その日の帰り路
何処からか懐かしい声が聞こえた
懐かしい自分のあだ名を呼ぶ声が
雨谷「ゼラ」
グラッと脳が揺らぐ感覚に襲われた
常川「ジャ…ジャイボか?」
雨谷「久しぶり」
髪が随分と伸び更に中性的な風貌になった
「ジャイボ」
長い間忘れていた。
名前
常川「お前…生きてたのか…」
雨谷「勝手に殺さないでよ。ゼラ」
常川「だって…あの日みんな」
雨谷「そっか覚えてないんだね。」
常川「何で…」
状況が上手く飲み込めずその場から逃げようとした
その瞬間に包み込まれるように抱擁された
雨谷「またそうやって僕から離れていくんだね。何にも変わってないねゼラ」
常川「やめて…やめてくれ」
耳元で囁かれた瞬間に自分の意識が飛びそうになった
雨谷「ねぇゼラ」
雨谷「一番近くに居させてよ。」
大きな切長な目でボクをじっと見つめている
常川「わ、分かった…分かったから」
雨谷「次は突き離さないでね」
常川「ぁ…ああ」
雨谷「ずっと一緒だよ」
その言葉を繰り返される度に過去の記憶が光クラブでの記憶が鮮明になる
その瞬間に意識が遠のいた
常川「ぁ.っ」
あれから何時間が経ったのだろうか
目を開くと見知らぬ部屋の白い天井が見えた
「ユメだったのか」
心の何処かでそんな期待を抱いた
そんな期待もその直後に打ち砕かれた
懐かしい声が聞こえる
ボクの昔のあだ名を呼ぶ懐かしい声が
雨谷「ゼラ。」
常川「あ。」
ユメなんかじゃなかったこれは現実だ
常川「此処は一体何処なんだ…」
雨谷「ここは僕の病院だよ」
この雨谷の病院?医者にでもなったのか?
疑問に思ったが変に干渉するのは気が引けた
雨谷「長い間寝てたね。ゼラ」
常川「その名前で呼ばないでくれ。」
雨谷「じゃあ寛之くん? ははっ」
あぁ懐かしい笑顔だ
昔より心の奥から笑ってる様な柔らかい表情になった気がする
常川「ボクたちもういい大人なんだから…君付けなんてするな」
雨谷「それもそうだね。」
この感覚あの光クラブの基地で2人だけで話してた時と同じ
今はただひたすらに懐かしいという気持ちで一杯だ
雨谷「そういえば…眼鏡外したんだね」
常川「ああ、」
しばらく沈黙が続いた
その間もその大きな目は僕をじっと見つめている
雨谷「やっぱり…ゼラは綺麗だね」
常川「だから…そのあだ名は」
その瞬間口付けをされた
近くで見ても雨谷は女みたいに綺麗だった
常川「急になんだっ、」
雨谷「あまりにも綺麗だったから」
常川「そんなの…お前の方が」
思い出した
あの時自分が何をしたのか
雨谷に何を言ったのか
雨谷「嬉しいなぁ…あの時はお前は男じゃないか、なんてどうしようもないこと言われたけどずっと頑張ってきてよかった」
常川「すまない…」
頭の中が真っ白になる
雨谷「大丈夫だよ。僕は 寛之のこと許してるから」
常川「ぁ…」
雨谷「でも次逃げたらその時は殺すから」
今までにない位優しい笑顔で言ってきた
ボクは思い出した
あの日タミヤは雨谷に殺された
このままだと本当に殺される
常川「そろそろ帰らないと…」
雨谷「何言ってるの? 君の家は此処だよ」
常川「は?…何を言ってるんだボクはあの町に住んで…」
なんでだ
自分があの後の8年間何処にいて
何をして生きていたのか思い出せない
まるでそこだけぽっかりと穴が空いたのかの様に
常川「あれ…なんでだ」
どうしてだ何で何で何で何で
雨谷「忘れちゃったのかな。じゃあ思い出せるまでは帰れないね」
常川「雨谷…」
こいつのことだなんか仕込んだに違いないと
腑が煮えたぎる程の怒りに支配された
しかし自分が雨谷に怒ることなんて許されない
全ての主導権は今こいつが握っているんだ。
それからがこの長い冬の始まりだった
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