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愛しい君へ

1 - 桜の木の下

2025年08月10日

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愛しい君へ



君に会いたい。

そう思ったのはこれで何度目だろう、

何度思ったって、願ったって、叶うはずもないのに、

其れでも、君に会いたい。

何度神に願ったって、仏に願ったって、

叶いやしなかったこれが、こんなところで願って叶うはずもないのに。

それでも、

其れでも願ってしまう。

最後に君と見たこの桜の樹の下で、

毎年毎年願ってしまう。

どの木よりも大きいこの木を見てしまうと

願わずにはいられないのだ。

君も、僕も、愛し合っていた、

けれども、現実は非情なもので、幸せだった僕らを引き離した。

失われてしまったものは、二度とは戻らない、そんな事はわかっているのだ、理解っているはずなのだ。

其れでもやはり願わずには居られないのだ。

これが、きっと人の運命なのだろう。

頭でわかっていても、心には叶いやしないのだ。

其れが人間という生き物なのだ。

何時だっだかなど、もう覚えてやいないが君は

「人とは矛盾して生きてゆくものなのです」

と言った。

嗚呼けれども、もう僕は、そういった時の、君の声も、顔も、覚えてやいないのだ。

ただただ、君が、君という人間が、そう言ったという事実だけ、覚えているのだ。

僕は、其れが、其の事実が、とても、悔しく、辛く、悲しい、けれど、其れでも、其れでも僕は君が言った通り、矛盾しながら、生きてゆく。

嗚呼今年も桜が散るまた来年会いに来よう。

そして、いつか恥じる必要のない姿で

直接、君に会って、伝えよう。

ずっと愛していた、と、会いたかった、と、ずっと待たせてごめん、と、これからはもうずっと一緒だよ、と。真っ直ぐに君に伝えよう。

昔気恥ずかしくて言えなかったことを、

だから、だからもう少しだけそちらで待っていてくれ。


私も愛しています。

ずっと、待っていますから。


懐かしい声が聴こえた気がした。


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