ゾムさん贔屓ですnmmnです。wrwrd×MHAでございます。
地雷原多めなので、苦手な方は速攻退避おねしゃす。
ut視点
送迎車から降り、門へ進む。堂々とした構えをしながら校則、法律を破っていくさまに他の生徒達は好奇の目を向けたり関係無いとでも言うように去っていった。学校指定の服は着ずに私服を身にまとって煙草とライター片手に生徒手帳をかざす。雄英バリアと呼ばれる門が生徒手帳一つで開くことに少々の不安を感じたが、ヒーロー学校にわざわざ足を踏み入れるヴィランなどそうそう居ないだろう。下駄箱の前で少し休憩をしていると、トントンと肩を叩かれた。
「……なんですの?どなたかしら」
「服もそうだけど、煙草ダメだろ!未成年だし」
「あぁ…個性の都合なの。煙草は潰しときますわね」
注意をしてきた方は切島鋭児郎、という赤い髪の男だった。勿論服装が個性に影響するだなんて事は一切ないが、幸いにも切島さんは頭が弱いらしい。簡単に信じてくれたので何とかこの場を凌げた。後で職員室にでも行って許可をもらってこよう、個性の都合とでも言えばこの男の様に簡単に信じるかもしれない。
渋々、といった風に煙草を踏みつけ携帯灰皿に煙草を押し付け火を消す。流石に、他の生徒の居る学校内では退学になりかねないので。
聞けば切島さんは私と同じ、1-Aだと聞いた。この感じならきっと彼女らも同じクラスの筈だ、私よりもずっと先に着いているだろう。
ガラッと音を立てて前のドアを開ける。私の目の前にはツンツンヘアーの爆発しそうな男の子、机の上に足を置いて不機嫌丸出しの状態だ。登校初日早々、大分物騒様子が見てとれる。ヒーローを目指す身としてあまり横暴な人は好かないのだが、初日から校則をいくつもぶち破っている私が言えたことでもないか、と素通りした。
「ですから私は緑谷さんが…」
「いや何回も聞いたから流石に分かりましたわ」
「うるせぇですわ黙りなさい」
「ロボロお嬢様も相当うるせぇんですがw」
「はぁ!?」
教室のど真ん中で雑なお嬢様言葉を話しながらエーミールの話を受け流している彼女らを見つけた。よく教室の真ん中で話せますわね、私だったら死んでますわよ、と謎の優越感に浸りながらじっと眺めていると視線に人一倍敏感なゾムがいち早く私の存在を認識した。というか、部屋に入った時点で私だということに気付いていたのだろう、見られていてむず痒かったから反応しただけという風に見えた。
「何見てんですの鬱お嬢様…後遅いですわよ!」
「姉さん遅いっすわー…いや遅刻ギリなだけマシ…」
「姉さんは朝ほんと弱いですものね」
「やーホント大変でしたわ、朝からバタバタと…」
皆横並び一列に席があったのでやり取りは比較的しやすいのではないだろうか。机の上に座って足を組んでエーミールの長ったらしい話しを聞き流していると、下の方で何やら動くものがある事に気付いた。何だ何だと下を覗こうとするゾムさんの目をショッピが塞いで、一瞬でチーノが下で動いていたもの…峰田実を捕獲して近くに居たしょうゆっぽい顔の男に投げ渡した。
「…?何でしたの?…あら、居なくなってますわ!」
「ゴギブリかもしれませんわね」
「えっ…ちょ、待って机から1歩も動けないのですけど」
「一生そこに座っとけ」
ロボロが発したゴキブリ発言に、違うと分かりつつもゾワゾワとしてしまい組んでいた足を椅子に置いた。飛んだらどうしよう、と無駄なことを考えてしまい見事に自爆した。
zm視点
下の方で紫が動いていると気付いて、覗こうとしたらショッピお嬢様に目を塞がれた。いきなり何だと困惑していたら紫がどこかに消えていった、ゴキブリだったのかもしれない。
そんな事を考えているとガラッと音を立てて教室のドアが開いた、そちらに視線を向けていると緑でもさっとした髪の緑谷さんが立っていた。聡明~〜!?だとか騒いでいるツンツンヘアーの男の子にとてもビックリした様子で固まっている。彼も受かったのか、と安堵のため息をついたのだがエミさんと同時だったということが気に食わなかった。
「あっ、地味めの!」
「割と失礼ですわ」
「麗日さんが毒吐いてますわ」
麗日さんという可愛らしい女の子が緑谷さんに向かって地味めの!と言った時鬱お嬢様が若干笑っていたのを見た。何か腹立ったので、あゴキブリ飛んだと言っておいた。
「え゛ぇんやぁだぁなんでぞんなごどいゔのぉん!!」
「ふ、ックハハハハハハwwwwww」
「アッハハハハハハハハッwwwwww」
「ゾムお嬢様お人が悪いですわw」
鬱お嬢様がドレスだということも全く気にせず、机の上に四つん這いになりながら汚い喘ぎ声を上げ叫ぶ様はまさに滑稽で、耐えきれずに大爆笑してしまった。ユカリさんに伝わればぶっ殺されそうなものだろう、手を叩いて爆笑した。
いつの間にかクラス中に広がっていた笑いの中カタ…とドアが開いていく。涙を拭いながらドアの方に視線を向けるが、誰もたっていない。
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここは……ヒーロー科だぞ」
チーノお嬢様と顔を見合せ、?と首を傾げもう一度見てみると、下に寝袋に入った男が居ることに気がついた。誰かがえっ…と声を漏らしたような気がする。
後にロボロは語った、《クッソうるさかったですわ》…と。
((((なんかいるぅーーー!!!))))
「時間は有限、君たちは合理性に欠くね」
((((先生!?))))
「てことはこの人もプロヒーロー?」
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
((((担任!!?))))
その寝袋でここまで這いずってきたんなら逆に非合理的では、とも思ったが敢えて黙っておこう。さっきからショッピお嬢様が寝袋と栄養ゼリーを凝視しているのだが、彼女は相変わらずの食生活なのだろう。きっと明日からは寝袋を持って登校してくる。
鬱お嬢様はとりあえず強制的に椅子に座らせた。あぁんっ酷いですわよと抗議の声を上げているが、ゴキブリなんて見当たらないし居ても関係無いので縛り付けておこう。騒がしい。
em視点
鬱お嬢様が椅子に縛り付けられているのを横目に、教壇に立っている男を見る。髪はボサボサで無精髭が生えていて、誰がどう見ても小汚いという印象を与える彼は担任なのだそう。寝袋男改め相澤先生は、自身の寝袋から体操着を取り出した。ゾムお嬢様とチーノお嬢様はうへぇ…とでも言わんばかりの顔をしている。少し眉間にシワがよっているが、幸い相澤先生に気付かれた様子は無い。
「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ」
潔癖の節があるゾムお嬢様は大分嫌そうな顔をしていたが、受け取る直前になるとニッコリと微笑みを浮かべ体操着を受け取った。顔を少しも引き攣らせることなく表情をパッと変えたゾムお嬢様はくるりとこちらに引き返してきた。その時の表情は何とも形容しがたい、くしゃっとした…とにかく不服そうな顔をしていた。私は特に気にしないタイプなのでサッと受け取ってゾムお嬢様達と更衣室に向かった。
更衣室では脱ぎにくいドレスを着た鬱お嬢様をシバきながら着替えを手伝うというシュールな光景が広がっていた。
「個性把握……テストォ!?」
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」
「?」
「雄英は〝自由〟な校風が売り文句。そしてそれは〝先生側〟もまた然り」
「?」
終始困惑しながら説明を聞いていたが、つまり入学式なんかどうでもいいさっさと個性把握テストするね合理的だし、という事なのだろう。吾吾学園程では無いが確かに雄英は自由だ、入学式を先生の一存ですっ飛ばせるというのは流石に予想外であった。
「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ?個性禁止の体力テスト。」
「国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない。まあ、文部科学省の怠慢だよ」
我らが担任の相澤先生は、相当毒舌らしい。文部科学省の怠慢だなんて発言をここでも聞くことになるとは思わなかったが、吾吾学園は尖りすぎなのかもしれない。お嬢様学校だなんて名ばかりであり、実際は無駄に頭が良いだけの不良学校でしか無かった。口喧嘩が日常茶飯時、おかげでメンタルが強くなった気がする。閑話休題。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった?」
「67m」
「じゃあ〝個性〟を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。思いっきりな」
「んじゃまあ」
「死ねえ!!」
「………………死ね?」
「ッ…www」
ショッピお嬢様が肩を震わせて顔を背けている、ツボだったのだろうか。
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
「なんだこれ!!すげー面白そう!!」
「705mってまじかよ!」
「個性思いっきり使えるんだ!流石ヒーロー科!」
中学校って個性思いっきり使えないんですか!?
だから先程相澤先生は個性禁止の、と説明したのか。吾吾学園では個性ぶっぱなして喧嘩しまくっていたので、全然知らなかった。他のお嬢様方も思わずえっ、と声を漏らしてしまっている。今日一衝撃だったかもしれない、吾吾学園ホント何でもありだったんだなと改めて理解した。
「面白そう……か。ヒーローになるための三年間そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位は見込み無しと判断し除籍処分としよう」
「「「はあああ!?」」」
「生徒の如何は先生《おれたち》の自由。ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ」
本当に自由だな。雄英高校ヒーロー科。
6000ハート下さいな⌒ ͜ ⌒
コメント
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めっちゃ続き楽しみです!