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旅行の楽しみって、やっぱり機内食にあると思う。
でも普通なら国内線で機内食にありつける事はないから、尊さまさまだ。
(でも、広島ついたらご当地グルメ食べるけどね!)
私は誰にともなく心の中で言い、ふんっと鼻息荒く決意する。
食事中に富士山を望んだりしつつ、食事を終えてまったりと尊さんと過ごし、広島空港に降り立ったのは十六時前だった。
幸いにも現地は晴れていて、エスカレーターで下って荷物を受け取ると、JR白市駅まで行って乗り換え、JR広島駅までざっと一時間弱だ。
交通の便がいいからと、尊さんは広島駅直結の外資系ホテルを予約してくれた。
ロビーは六階にあり、吹き抜けになっているので広々とした印象だ。
木目調の壁にはカラフルで大きな現代アートが掛かり、床はツルツルとしたグレーの大理石っぽい石に、ブラウンと白でラインが描かれている。
モスグリーンの絨毯の上にはブラウンのソファが同色の丸テーブルを囲み、白い階段が階上に続いている。
ロビー階には、朝食ビュッフェ会場になるダイニングもあるみたいだ。
全体的にモダンな印象で清潔感もあり、私は一気に気分を上げたのだった。
「うーん! 疲れた!」
高層階にある部屋に入った私は、スーツケースから手を離し、近くにあったソファに座り込む。
「お疲れさん」
尊さんはミニバーにあるミネラルウォーターのペットボトルを手にし、一本を私にくれる。
「ありがとうございます」
私は冷たい水をグビグビと飲みつつ、広島市街を一望できる室内を見回す。
外資系高級ホテルなだけあって、内装はとても綺麗だ。
尊さんの事だから一番いい部屋をとってくれただろうけど、札幌の時も感じたけれど、割とこぢんまりとしている。
無駄に部屋があっても困るだけなので、これぐらいが丁度いいけれど。
春日さんたちと女子会した時は、信じられないぐらい沢山の部屋があるスイートだったので、やっぱり東京と地方とでは同じ系列のホテルでも部屋の規模が違うんだろう。
でも、断じて尊さんのとってくれたホテルに文句がある訳じゃない。
あくまで客観的に見て、東京とは違うんだな~と感じた次第だ。
室内はウッド調の家具に、壁は白壁だったり木目調だったり。ソファ類はライトグレーで統一され、カーテンはゴールドがかったブラウン。ベッドはオールホワイトだ。
他にも革張りのキャスターつき椅子のある書き物机や、ゆったりとしたソファの向かいには壁に掛けられた液晶テレビもある。
基本的にリビングルームとベッドルーム、プラス洗面所とバスルームという構成だ。
洗面所は黒い大理石の上に、白い陶器のボウルが二つあり、縦長の鏡が二つあるシンプルな作りだ。
鏡の間にはメイクの時に使える、円形の拡大鏡があるのでありがたい。
バスルームはどこもかしこも真っ白で、白い壁に白い楕円形のバスタブがある。
同じ空間にシャワーヘッドがあり、普通のお風呂みたいに洗い場で体を洗ったあと、お風呂に浸かれるようになっている。
「十七時になったら、ハッピーアワーになるけど、なんか食うか?」
「そもそも、ハッピーアワーってなんですか?」
「特定の時間に、アルコールも含めてちょっと割引で飲食を提供する事だよ。ホテルだけじゃなく、普通の飲食店でもやってる。大体、夕方から十九時ぐらいまでかな」
「へぇ~」
「どうする? 飯」
尊さんは答えが分かっている顔をしているけれど、あえて聞いてくれる。
「せっかくのお高級なホテルのハッピーアワーも気になるけど、一時間ぐらい寝て体力回復したあと、駅付近を歩いて広島らしい物を食べたいです」
「オッケ。そうくると思った」
尊さんはクシャッと笑い、「俺も少し休むか」と呟く。
彼は充電器や洗面用品などを出したあと、大きな荷物に纏めていたお菓子を、折り目がつかないようにスーツケースの中に入れておいた外袋に入れ直す。
大切なのは中身だけど、やっぱり人にあげる以上外袋も綺麗なほうがいいもんね。
そこをきちんとしようとする尊さんは、気遣いの人だ。
私もスマホの充電器を出したあと、室内を撮影し、広島市街を見下ろした角度でも写したあと、ベッドに寝転んだ。
いつもならキングサイズベッドに二人で寝るけれど、暑い季節だからか今回の部屋はツインベッドだ。
「何食べよっかなぁ~……」
私はゴロゴロしながらスマホを開く。
「とりあえず、広島焼きいっとくか?」
「それっきゃない」
私は仰向けになったまま、ビシッと尊さんを指さす。
コメント
1件
広島に到着‼️✈️ とりあえずグルメを楽しんじゃおう🎶😆🍴🍻🌃