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「はじめまして。俺は、キースと言います。グレッグ先輩には……、多分お世話になってるっす。この間は、大変だったですね」
気さくに話しかけてくれるキースに、ソフィアは戸惑っていた。アッシュブラウンの髪色で健康的な肌色の人懐っこい青年だった。 自分に対して、普通に接してくれる人が増えていくにつれ、どのように接するのが普通なのか、いつも分からなかった。
「えっと、この間というのは、もしかして……?」
襲われそうになった時に、グレッグ様が騎士様の一人に「キース」と、呼びかけていたことを思い出す。
「あ、あの時は本当にありがとうございました」
「ソフィア、二人で──」
「あ、グレッグ様とキース様、先に部屋へ行っていてもらえますか?すぐに戻りますので」
「俺のことは呼び捨てでいいっすよ。じゃ先輩と待ってまーす」
「呼び捨ては難しいので、キースさんと呼ばせていただきますね。私のことは、呼び捨てで構いません。では」
ソフィアは、グレッグの言葉を遮ってしまったことを後悔する。けれど、重要なことを思い出したので、二人へ軽くお辞儀をしてから立ち去った。
グレッグは、ソフィアとキースのやり取りを見て、眉間に皺を寄せる。
「ちっ、仕方ない。不本意だが付いてこい」
グレッグとキースは、ソフィアの部屋へと向かった。
「先輩とソフィアは、付き合っているんですか?」
「呼び捨てはやめろ」
「えー、だって呼び捨てでいいってソフィアが……」
グレッグは、不覚にもキースの尾行に気づかなかったことを反省していた。
手紙のことを考えていたとは言え、油断は禁物なのに。 とにかく手紙の件を処理しなくては。 ソフィアの部屋の前まで来ると、グレッグはぴたりと立ち止まる。
「先輩、ここですか?入らないんですか?」
「女性の部屋に勝手に入るものではない」
「えー?でも、ソフィアが入っていいって言ってたじゃないっすか……ソフィアちゃんが……」
グレッグの無言の威圧に耐えかねて、言葉を飲み込む。キースは、ソフィアの呼び捨てはやめた方がいいと思った。殺されかねないと……。
しばらくすると、ソフィアがトレイを持って戻ってきた。ソフィアの姿を確認すると、グレッグはすぐに駆け寄る。
「グレッグ様、外で待たれていたのですか?お待たせしてすみません」
「ソフィア、持とう。それと、部屋には必ず鍵をかけるように」
グレッグは、さりげなくソフィアからトレイを受け取る。
「鍵ですか?大丈夫ですよ。」
「ソフィア、では、私のために鍵をかけてくれるか?」
「グレッグ様のためにですか?分かり……ました。なるべく気をつけます」
「へー、先輩ってソフィアちゃんには優しいんですね!やっぱり、付き合っているんですよね?ソフィアちゃん」
「えっ?は、はい」
キースにニヤニヤとしながら問いかけられて、ソフィアは頬を染める。
二人の様子を見て苛立ったグレッグは、「婚約者だ」とキッパリと言い放つ。
「は⁉︎先輩婚約してたんですか?」
キースは、驚きのあまり二人を交互に何度も見る。
「ソフィアに軽々しく話しかけるな。なるべく視界に入れるな。」
「ひょえー、信じられないっす、あの先輩が……」
キースは驚きのあまりに、言葉がでてこなかった。
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