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ナイトプールが開催されているホテルにたどり着くと、ロッカールームの鍵を渡され着替える。バスローブを着ていれば、併設されたレストランで食事も取れるって仕組みらしい。
というわけで、水着の上からてきとうにバスローブを羽織って、プールサイドで柴崎の到着を待つ。
ネオンライトが水面に反射して、夜なのに眩しい世界。
……つか、遅くね?俺が着替え終わってから、もう、10分くらい経つよね?あの水着、そんなに時間かかる様な作りだったか?
また変な勧誘とか受けてないよな。まあ、この距離でナンパはありえないだろう。
──とか言いつつ、柴崎がナンパされるのが困るから、ロッカールームの目の前で待っている俺も俺ですけど。
実は、一度プールに誘った時、柴崎とは行けない雰囲気になったから、オーナーからもらったチケットは別の友人に渡してしまった。
でも、女々しい俺は何としても柴崎と夏の思い出ってやつが欲しくて、俺の自腹で予約した。柴崎には、前回のチケットの期日がって説明したけれど、期日なんてものは最初から無い。
ひいらぎ、とさっぱりした声が触れ、振り向く。
「ごめん。水着って着慣れないから手間掛かっちゃった。柊、待った?」
着るのにどう手間取るんだよ。で、一度目ニヤけそうになるのを、なんとか堪える。
「……や、俺も今来たとこ」
「そっか、良かった……」
安心したように息を吐いた柴崎と、目が合う。可愛い。すると、柴崎の頬がみるみるうちに赤く染まり、視線が定まらなくなった。
「……あの、柊さん。前、隠して貰えませんか?」
「なんで」
「バスローブが逆にえっちというか……」
「じゃあ、全部開けたらいい?」
「や、閉めてって言ってる!」
軽く冗談を言うと、柴崎は本気度高めで怒った。そんな柴崎はバスローブをきっちり締めている。なんであの水着なのに隠す必要があるのかわからない。
俺的には、着替えて、いざ出陣ってコースを描いていたけれど、どうやら柴崎的は違ったらしい。
「ねえ、柊」
ガウンの袖をくいっと引っ張る柴崎は、俺の事をじっと見つめてくるから、もちろん立ち止まるしかない。
「プールよりも、先にご飯食べない?」
「は?お腹空いたの?」
「うん。だって昼ごはんは早かったし、さっきまでスポッチャしたじゃん?お腹空くのは必然ってやつだよ」
「そーかな。柴崎、言うほど動いて無かったでしょ。体力落ちてんじゃないの」
「断じて違います!三時間みっちりやったのに、柊が元気すぎるだけ!」
「あー…心配しなくても、まだ体力は温存してるから平気ですよ」
「なんの心配をあたしがしてるって?ねえ!」
柴崎は軽くからかってあげると、毎回面白いように釣られてくれるので、全然飽きない。だからと言ってあまりやりすぎると本気で拗ねるので、注意はしている。
白山小梅
12
くるりと踵を返す。言い出した柴崎はこちらに来ないので「メシ行くんじゃないの?」と催促すれば、柴崎は表情を緩めて「行く!」と駆け寄ってきた。
俺的には、早くプールに入りたかったけど、我慢我慢。
だって、プールとか海っていうのは合法的に肌同士が触れ合える場所じゃん?俺も欲に忠実なわけで。例え服だとしてもさっさと柴崎の水着が見たいし、やわっこい肌に触れたい。
これも言ったら引かれるので、言いませんよ。
柴崎のことが大半を占める俺の脳内を見られたら、おそらく柴崎はどん引きするだろうし、暫くは酒とか自粛したほうが良さそうだ。
千景曰く、俺は酒が入ると要らないことまで喋る性質らしいから。真偽は定かではないけれど。