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屋上の扉を閉めた瞬間。
私は階段の踊り場で、ガクッと膝をついた。
(……嘘をつけない人が好き、か。じゃあ、私は大嫌いってことだよね)
喉の奥が、熱い。
私はいつから、こんなふうに「嘘」で自分を固めるようになったんだろう。
物心ついた時から、お姉ちゃんは私の憧れだった。
勉強も仕事も完璧にこなして、誰にも媚びずに立っている。
その背中は、私には一生手が届かないほど高く見えた。
だから、私は別の道を選んだ。
お姉ちゃんみたいになれないなら、愛想を振りまいて、誰からも好かれる「可愛い芽衣」になるしかない。
そうしないと、私の居場所がなくなってしまう気がしたから。
『芽衣ちゃんはいつもニコニコしてて可愛いね』
そう言われるたびに、私の仮面は分厚くなっていった。
お姉ちゃんの周りの男の人を誘惑するようになったのも、「私の方が愛されている」と確認しないと、お姉ちゃんの完璧さに押し潰されそうだったから。