※甚だしい捏造
※非日常な日常話
※実在の人物、団体とは一切関係ありません。
※軍パロです。
※以上をふまえて大丈夫な方のみおすすめください。
ゆっくりしていってね
轟音とモルタルが崩れ落ちる音と、周囲を覆っていた土煙が落ち着いてきた。
「……ヤバすぎやろ」
「死ぬかと思ったわ……」
「やり過ぎや、あのハゲ……」
ゾンビのようにゆらゆらと立ち上がった面々は、口々に悪態をつく。
「みんな無事かー?」
「あー……と。鬱軍団、無事でーす」
「シャオ、コネ、ロボロ、無事ッスー」
「薬理凶室の皆さんは」
「POKAが興奮しきっている以外は、無事でーす」
眼前で起きた、そこそこ大きな建物をも破壊するほどの爆発に、POKAは興奮が抑えきれないようで何やらまくしたてているが、キャノン隊以外は誰も聞いていなかった。
「全員無事で何よりだ、が……」
すっかり瓦礫と化してしまった教会。
中に入って戦っていた二人の姿は、見当たらない。
「ゾム! エーミール!」
コネシマが瓦礫に向かって走り、二人の姿を探して瓦礫撤去を始める。
「せ、せや。二人を探さな!」
「ゾムー! エーミールー! 生きとるかぁ?!」
「生きとったら、返事せぇッ!!」
「死んどっても返事せぇッ」
コネシマに続き、皆が瓦礫の撤去にやってきて、ゾムとエーミールを探す。
あの二人が爆発四散したなど、到底思えない。
すっかり日が暮れてしまったが、それでもみんなは二人を探す。
あのグルッペンですら、瓦礫の撤去に加わっている。
「おったかぁ?」
「見つからん。吹っ飛んだ体の破片すら見当たらんわ」
「縁起でもないこと、言うなッ!」
「せやかて、こんな探しても、見つからへんでッ!? 俺かて、万が一なんざ、想像したないわッ!!」
宵闇に響き渡るコネシマの叫び声が、周囲の空気をビリビリと震わせる。
「うっさいぞ、シッマッ!!」
ロボロがたしなめるものの、その声も周囲を振動させるほどにうるさかった。
「おまえじゃいッ!!」
大声でツッコミ返すコネシマに対し、この場の全員が「お前じゃい」と更にツッコミを返す。
「……っさい……」
捜索隊面々の誰でもない声が、瓦礫の下からかすかに聞こえたような気がした。
「ゾムかッ!?」
再びコネシマの大声が響き渡る。
「うっさい、シッマ…。エミさんが…起きる」
瓦礫の下から聞こえるゾムの声は少しか細かったが、それでも近くにいたであろうコネシマとトントンには聞こえていた。
「無事やったか、ゾムゥッ!!」
「エミさんも無事なんやな!?」
ゾムの無事を知ったコネシマとトントンは、感極まった大声をあげ、ゾムの声のする方向へと走る。
トントン達が走る方向へと、グルッペンもまた走り寄っていく。
「何処や、ゾム!! 信号弾なり何なりで、居場所の表示できるか?」
「ちょい待て…。信号弾…あった」
「行く……で」
ゾムの合図で、緑の信号弾が瓦礫下から撃ち出された。
「そこやなッ」
「行くでみんなッ! ここ掘れワンワンやッ!」
コネシマの合図で一斉に、ゾムがいるであろう箇所の瓦礫撤去が始まった。
「ゾムッ!」
「エーミールッ! 大丈夫かッ」
「エミさんは…気絶しとるだけや。息は…ある」
瓦礫の下から聞こえるゾム言葉に、絶望の淵にあった皆の気持ちが一気に高揚する。
「よくやったぞ、ゾムッ」
「今、助けるからなッ!」
手作業での瓦礫撤去も、人数の力で素早く進んでいく。
「ライトの灯り…見えた」
ゾムの言葉に、全員の顔に喜色が浮かぶ。
大急ぎで瓦礫をどけると、そこには斜めに倒れた祭壇と、その隙間に隠れたゾムとエーミールの姿。
「ゾムッ!!」
「よぉ…。あんまりに遅かったから、ちぃとばかし寝とったわ」
「はははっ! 元気そうやんッ!」
「よかったわ、ホンマに…」
若干鼻をすすったような声で、シャオロンがそれだけ言うと、ゾムに向かって手を伸ばしてきた。
伸ばされた手は、シャオロンだけでなく、コネシマも、ロボロも、鬱も、トントンもと、花が咲くように増えていく。
「…ははっ。どの手を掴んでええか、多すぎてわからんわ」
「なら、いっぺんに引っ張り上げたる。いくで、みんな」
「せーのッ」
トントンの掛け声で、皆でゾムを引っ張り上げる。ゾムが抱えていたエーミールも、一緒に瓦礫の中から顔を出す。
まだ気を失っているエーミールを、ショッピとチーノで抱えて、そっと引っ張り出した。
「エミさん、やっぱり目が……」
「ええって。生きてれば、それでエエやん」
「せやけど……」
すっかり潰れてしまったエーミールの右目を見て、チーノ落胆の声を上げる。ショッピは慰めるように、チーノの頭をくしゃりと撫でた。
失われてしまったエーミールの眼窩を見ていたチーノが、眼窩の奥に蠢く何かに気付いた。
「! まだやッ! まだ生きとるッ」
「何やてッ!?」
強力な枯葉剤を食らっても、エーミールの中でまだ蠢き続ける寄生体の生命力に、皆が固唾を呑み身構えた。
騒ぎで目覚めていたエーミールが、ゆっくり手を上げて制す。
「大丈夫…そうです」
「エーミール!!」
「エミさん、大丈夫かッ!」
エーミールは小さく首を縦に振り、ゆっくりと喋り始めた。
「もはや…彼女に…意思は…ありません」
「苦しみもがく…断末魔の叫び…みたなモノです…」
「いずれ…彼女は枯死します……が……」
「せやな。すぐさま摘出すべきや」
それまで黙って様子を見ていたグルッペンが、口を挟む。
「すでに本部に待機してもらっとるしんぺいさんと亜留間先生には、連絡済みや。ゾムと共に、急いで診てもらわんと」
「え? 俺は…」
瓦礫の下敷きになったとはいえ、特段怪我らしい怪我をしていないゾムは、困惑気味に反論する。
「エミさんの花、食ったやろ? それによって異常が出るかもしれんから検査するって、くられ先生が言うとったぞ」
「えええ〜…。注射やだぁ~…、採血もイヤやぁ~…」
「そんくらい我慢せい。行くで」
ゾムとエーミールは、それぞれ仲間に担ぎ上げられ、すっかり瓦礫となってしまった廃教会を後にした。
続く
コメント
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zmの気持ち良く分かる、まじで採血はクソ。 俺1回血の出悪いから水飲めって文句言われたし!?
✨🙏🙏🙏🙏✨ 最高です...✨👏👏👏✨ 救われた〜😇😇😇🫶🫶🫶
続き楽しみです!