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#そのじん
ぬま子
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「…なんて言ってる場合じゃねぇな…取り敢えずマネージャーと仁人に連絡するぞ」
俺は震える手でスマホを取り出し、マネージャーの稲垣さんの連絡先をタップした。
コール音が数回鳴った後、マネージャーのいつもの声色がした。
『…もしもし、ああ、佐野さん…朝早くからどうしたんですか?』
「あ、すみません…稲垣さん。実はめちゃくちゃ急ぎのトラブルが発生してまして…今日のレコーディングの件なんですけど…その、できればでいいんで、今日現場に誰か手の空いてる女性スタッフの方を同行させてもらうことってできますか…?」
『え、女性スタッフを…?』
「いや、その…言葉じゃちょっと説明しづらいんですけど、柔太朗の体に大変な…その、女性しか分からないようなトラブルが起きてしまって…」
我ながら訳の分からないことを言っている自覚はある。だが、俺と稲垣さんはどちらも男だし、じゅうも元は男だ。服のサイズや下着のこと、これからの女性としての立ち回りなど、自分たちだけでは到底分からないことが多すぎる。
『…事情はよく分かりませんけど、それだけ必死なら…余程のことが起きている…という事ですね。ちょうど今、スタイリストの木村さんが近くにいらっしゃるので、その方に事情を話して同行させますので、落ち着いて待っててくださいね。』
「ありがとうございます…すみません、よろしくお願いします!」
そう言って電話を切った。
「…はやちゃん…」
「…じゅう、取り敢えず上だけでいいからジャージとか…とにかく体型を隠せそうな服を着てきてくれ…」
「…う、うん…」
そう言いながら震える手で『仁人』の名前をタップし、発信ボタンを押した。
「もしもし?」
『おう、勇斗…お疲れ。まさか寝坊した?』
「…ああ、寝坊…だったらまだ良かったんだけどな。」
『は?何言ってんだよ、お前。ってか早く準備し…』
「仁人、今から俺が言うことをよく聞け…後、他のメンバーがいたら…ソイツからちょっと離れてくれ…」
『メンバーどころか…誰もいねぇけど…お前、マジでどうしたんだよ。』
訳の分からないことを言っている、そんな事は自分が一番に分かってるのに、現実に起きてしまった…その事実を伝えるには勇気がいるが、説明しない訳にはいかないだろう…そう思い、恐る恐る言葉を発した。
「…朝起きたら…じゅうが女になってた。」
そう言った時、10秒程沈黙が流れた…正直想定通りである。
『…今お前、なんて言った?』
「…だから…っ…朝目覚まして…じゅうを起こそうとしたらなんか変だなって思って布団を捲ったら…」
『…柔太朗が女になってた?』
「信じられねぇなら…あんま見せたくないけど、ビデオ通話にするから…見てくれ。」
「ちょ、はやちゃん…」
「悪ぃ…俺だって見せたくないんだよ…じゅうのこんな姿…」
そう言いながら俺は外カメで、じゅうを映した。
「じ、仁…ちゃん…おはよ…」
電話の向こうの仁人が、絶句しているのが息遣いで伝わってくる。無理もない、「朝起きたらメンバーが女になっていた」などと真面目な声で言われて、一発で信じられる人間などこの世にいない。
スマホの画面越しに、引き攣った表情のじゅえが映り込んでいる。艶やかな黒髪、少し縮んで華奢になった体、そしていつもより明らかに女性らしい柔らかさを帯びたその顔…ビデオ通話の向こうで、仁人は固まっていた。
『ま、待て待て待て待て待て! 誰だその可愛い子は! 柔太朗はどこに…え? まじで…? いや、顔は完全に柔太朗だけど…声が、え? え…!?』
完全にパニックに陥り、早口で混乱を露わにする。リーダーでさえ、これほど困惑してるのなら…あの2人はどうリアクションするのだろうか。
「だ・か・ら! 本物だって言ってんだろ! ほら、じゅう、なんか言ってやってくれ…!」
「じ、仁ちゃん、本当に俺だよ…ほら、この間のゲーム配信の時…」
「…え、そうだったの?」
『…っ…そのエピソードは、俺ら2人しか…いや、でも声がめちゃくちゃ美人な…え、待って、ちょっと待ってくれ、脳内が追いつかない…!』
「…信じたか?」
『信じるしかないだろそんなの…! ていうかお前、今日レコーディングだぞ!? どうすんだよこれ!メンバー全員集合だぞ!?』
「だからマネージャーには事情を話して、女性スタッフを同行してもらえるように頼んだ。とりあえずこれからそっちに向かうから、太智と舜太には俺からうまく言っとくか…いや、どうごまかせばいいんだこれ…」
頭を抱える俺と、申し訳なさそうに眉をひそめるじゅうと、画面越しに困惑している仁人… 静かなはずの朝の部屋は、あまりにも非現実的なため息で満たされていった。
【……To be continued】
第2話、いかがでしょうか?あ、マネージャーさんとスタイリストさんの名前…というかこの2人は完全に中の人側が勝手に創造したキャラクターです、はい(こういうのは…まあ仕方ないですよね…もしその点が苦手な方がいらっしゃいましたら、すみません)。
あ、そういえば…本日🦐さんのCD(🍼バージョン)
が届いたのですが…まさかのさんぱちを当てちゃいました…1枚しか買ってないのに…これはもしや真…ゲフンゲフン
コメント
3件
この作品、大好きです!山中くん(女体化後の)美しさや可愛らしさが、凄く伝わります。 佐野くんの嫉妬心や、山中くんの無自覚さが、(勝手ですが)解釈一致しすぎてます。 次回の投稿も、楽しみにしています。お身体に気をつけて、頑張ってください!
第3話、読み終えました。朝起きたらメンバーが女になってるって、もうSFコメディの入り口としては最高ですね。個人的に「これは後でどう繋がるんだろう」と伏線を探したくなる性分なので、仁人の「可愛い子は誰だ!」って絶句の仕方に思わず笑いました。マネージャーへの電話での「女性しか分からないようなトラブル」というごまかし方も、リアルな焦りが出ていて上手い。他のメンバーがどうリアクションするのか、すごく気になります。続き楽しみにしてますね!