勇斗くんが校門に立っていなかった。
部活が遅れてしまったからだ。
今日に限ってあのいざこざ、一生恨む。
このチャンスもう二度とないと思ってた。
ここでまた会わないと前みたいな関係には戻らない。
そんなことばかり考えて1人で寂しく歩いた。
学校の近くにはコンビニがある。
いつも僕はそこでジャンプを立ち読みするけど、今日はそんな気力はない。
「今日は寄り道しないで帰ろ。」
その時、
「仁人、おつかれ」
後ろから勇斗くんの声がした。
「は、勇斗くん!」
「笑笑どうしたのそんな顔して」
「いや、!だって、もう帰ったと思ったから、! 」
「帰るわけないだろバカ、ずっと外から仁人が練習してた音聞こえてたぞ」
「そうなの、勇斗くんごめんねほんとに遅れて」
「大丈夫だって笑笑 ほら、スポドリだけど、」
「ありがとう、!」
いつも飲むスポドリより勇斗くんから貰ったスポドリは少しぬるくて、冷たいけどあたたかみを感じた。
少し日焼けした跡、グラウンドの匂いがする。
こんな勇斗くんと一緒に帰れることが何よりも一番嬉しい。
「てか仁人さ、前に俺、呼び捨てにしろっていったよな?」
「そうだっけ?」
「そうだよ、忘れたのかよ笑笑」
「覚えてないな笑笑 」
「忘れるなよ笑笑 ずっと一緒にいんだから、そろそろ呼び捨ての関係になれよ」
「わかった、改めて、勇斗、」
「ぎこちないな笑、でもそっちのほうがいい」
ずっと一緒にいた関係。
けど1年前あんなことをして、勇斗くんはどう思ってるんだろうか
「あのさ、勇斗」
「ん?」
「今日の朝聞きたかったんだけどさ、」
「うん」
「1年前の僕の家での出来事覚えてる?」
「、うん」
「あの時さ僕が勇斗にあんなことして、そこから1年間ずっと話さなくなったじゃん」
「うん、」
「ごめんね、あの時は、勢いっていうか、正直に言うと、あの時は自分もあんなことするはずじゃなかった」
「….」
僕たちの歩く足がゆっくりになる。
「あのとき、勇斗くんが、俺のこと好きなの?って直球で聞いてきて、僕、正直にいうと、勇斗くんの言うことその通りで、何も言い返せなかったんだ」
「その通りって、?」
「僕、男の子好きなんだ」
「仁人おまえ、」
「ごめんね、ほんとに嫌だったよね、もう、友達やめるよね、そんなこと言ったら」
「俺のどこに惚れたんだよ!?」
「え?」
「俺のこと好きなのは事実なんだろ、どこが好きなんだよ」
「、え?」
え?
前みたいに逃げられるかと思った。
もう今日が最後の日だと思って勇気を振り絞ったら
まさか勇斗くんが興味津々で頭が混乱してる
「いや、そ、それは 」
「サッカーが上手いとこか?」
「いや、」
「顔か?」
「顔もだけど、」
「顔とどこだ?」
「一番は性格に惚れたんだ、」
「性格、?おれ性格優しくねーぞ、今日の朝だって女子に睨みつけちゃったしな笑笑」
「そうじゃなくて、」