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「あー、いや、アレだ、ほら、なんていうか……噂?」


しまったと思ったけど、いまさら引けない。


「噂ってなに?なんのこと?舞花ちゃんの何を知ってるの?」


「なんですか!きちんと説明してください、岡崎さん」


「俺も知りたい、俺たち夫婦の何を知ってるのか、言えよ、雅史!」


_____あーっ、もうっ!!


俺はスマホを出して、SNSを開き舞花の裏垢らしい画面を見せた。


「ほら、これだよ、舞花ちゃんの裏垢ってやつ」


「え?ちょっと見せてください、私の裏垢ってなに?そんなのないのに」


裏垢があったとしても、わざわざ自分から認めるわけないのはわかってる。


舞花は、自分の裏垢なんかじゃないと泣きそうな顔で反論してくるけれど、写ってる男の手は、間違いなく佐々木だ。


個性的な腕時計は見間違うことはないし、カフスボタンにも見覚えがある。


なんなら今だってその腕時計をしてるんだし。


佐々木も杏奈も、その画面をしっかりと見ている。


_____舞花って子は、こんなことするんだぞ


こんなことがバレては、舞花はもう佐々木のことを責めたりできないだろう。


俺は友達思いのいいやつだ。



『優良物件ゲット!』のそのページを、佐々木も杏奈もじっくり読んでいる。


このまま、俺の話題から舞花の裏垢の話題に変えてしまおう。


標的が変われば、考え方も変わるだろうし。


「偶然これを見つけたんですか?そして、私が本当にそんなことをしたと思ってるんですか?」


ここは、偶然だと言い張ることにする。


「いや、だって、そう書いてあるじゃん?舞花ちゃんはどうしても佐々木と結婚したかったんだろ?だから子どもをネタに結婚を迫った、なのにさぁ、ちょっと帰りが遅くなったくらいで離婚とか言うのが、俺にはわからないな」


チラリと佐々木を見るけど、思ってたのと表情が違う気がする。


それに、杏奈が不思議そうな顔で俺を見てくるけれど、目を逸らして誤魔化す。


このまま佐々木夫婦の話題で進んでくれと心の中で祈った。


なんだか雲行きが怪しい。


京香が舞花を妬んで、舞花を罠に嵌めたような話になってる。


_____もしかして、京香ってとんでもない女なのか?


たった一度、酔った勢いとはいえ、関係を持ってしまったことを、ものすごく後悔した。




舞花は自分がやったことじゃないと佐々木に説明して、佐々木も納得している。



「いいよ、ちゃんと準備してなかった俺も悪いんだし。俺、舞香と結婚できたことは後悔してないし、子どもが生まれることも楽しみだよ」


舞花の頭をぽんぽんと優しく撫でる佐々木は、まるで舞花にゾッコンのようだ。


_____お前、一人の女に縛られるのが嫌だって言ってたじゃないか!


そんなこと、ここで言えるはずもなく。



待てよ、今のこの状況は俺にとってはアリなのか?ナシなのか?


とにかく京香との先日のアレを隠したいだけなのに、なんでこうなるんだ?


そんな俺のことにはお構いなく、舞花の裏垢の犯人探しが始まろうとしていた。



「この京香ちゃんって、舞花ちゃんのことがうらやましくて妬んでこんなことやってるのかもね。でも、コンドームの話はまた別だと思うんだけど。どうする?確認してみる?」


「どうすれば……、もう直接訊いたほうがいいですよね。杏奈さんたちも聞いていてください」


舞花はスピーカーにして、京香に電話をかける。


「そうね、ちゃんと答えるか、それはわからないけど。私たちは声を出さないようにしていましょ」


「うん」


「……あ、あー、そうだな」


_____ヤバい!本当に京香がやってたとして、それで追い詰められたら俺とのことをバラすんじゃないか?


しっかりと口止めしておけばよかったとまた後悔した。


俺はそっとスマホを出し、京香のLINEのブロックを外そうとした。


「どうしたの?」


俺のことなど誰も見ていないと思ってたのに、杏奈が見ていてびっくりしてしまう。


「ご、ごめん、腹の調子がちょっと。トイレ!」


「もう、何でこんな時に!」


スマホを持ってトイレにこもることにした。


急いで京香のLINEのブロックを外し、一言だけ送る。


〈あの夜のことは二人だけの秘密だよ〉


既読がつかないのは、電話がつながってしまったということか。


_____遅かったか……


「オーマイガッ!」







夫とだけはしたくありません(夫sideストーリー)

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