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私にも似たような経験があるので」
「あぁ、やはりそうなりますよね。でも私は後悔していないんですよ。おかげでたくさんの友人ができましたし、こうして後世に語り継がれるような伝説になれたので」
「伝説って……まあいいか。そういえばこの本のタイトルは何というのですか?」
「”星守”っていうんですよ」
「へー……ん?じゃあ、これ全部実話なんですか!?」
「もちろん!」
「……なんていうか、すごい人だよねぇ……」
「あぁ、本当にそうだな……。あの人は俺達のことを心の底から信じてくれるし、愛してくれる。だから皆あの人に付いていこうと思うんだよな」
「うん、それに優しいよね。この間なんか、怪我をした鳥さんを助けたりしていたもん!」
「へー、そうなのか。お前はよく見てんな」
「えっへん!もっと褒めてもいいんだよ~?」
「はいはい、偉いな」
「ちょっ、適当すぎない!?」
「悪い悪い、冗談だ。それより……おい、アレを見ろよ」
「ん?あっ、噂をすればだね!おぉ~い、お二人さ〜ん!!」
「……あ、あの2人だ。こんにちは」
「おう、こんにちは」
「こんにちは。今日はまた一段と仲が良いようですね」
「あら、ごきげんよう。いつも通りだと思うけれど……」
「そうだよね~いつもこんな感じだよー!」
「いえ、今日は特に近い気がしますよ」
「確かに近いわね……。何かあったのかしら」
「あぁ、そういえばさっき花壇に行ったんだけどさ~……」
◆
「ねぇ、聞いてください。今日はすごいことがあったんです!」
「何々!?聞かせて!!」
「実は先程、花畑の花を摘んでしまった生徒がいたのですが……」
「へぇ~そんなことする人がいるんだ。どんな子なの?」
「それがその子は女の子だったんです。それで私はつい『なんてことを!』と言ってしまいまして」
「うんうん」
「そうしたら何故かその子が謝ってきたんです。しかも土下座をして。もちろん許すわけにはいきませんよね。私は怒っていたし、何より恥ずかしくて仕方がなかった。でもその子は頑として頭を上げようとしなかったんです。それでつい言ってしまったんです。じゃあ私が死ぬまで一緒にいて下さいって」
「それプロポーズじゃないですか!」
「まぁそうなりますかね」
「……あの子、なんて答えたんですか?」
「はい、喜んでと言ってくれまして」
「やっぱり……」
「その後は二人で色々なところへ行きました。時には喧嘩をしたりもしましたが、それでも私は幸せでした。あの子がいなくなった後も、何十年何百年経とうとも私は星を見つめ続けるつもりです。それが私があの子にしてあげられることだと思うから……
これで私の話は終わりです。ご清聴感謝しますよ」
「素晴らしい話でした。ぜひこの本にも残したいくらいです!」
「あぁ、それなら大丈夫ですよ。この本を書いた人はもう亡くなっていますし、作者の名前は伏せられていて、誰も知らないはずなのです。だから安心して残せますよ」
「そうなのですか。……でもやはり、私は残さない方が良いと思います」
「なぜです?」
「”星守”の物語は人間のものだけで十分だと思っておりますので」
私は今日という日に感謝したいと思う。
何故なら、こうして今年もまたあの人の誕生日を祝うことが出来るからだ。
去年の今日、私は彼の誕生日を知った。
でも、何も出来なかった。ただ遠くから見ていることだけしか……
だけど今年こそは―――
そう思いながら、昨夜作った料理の数々をお弁当箱へと詰めていく。
彼に喜んで貰えるだろうか? 美味しいっと言って食べてくれるだろうか? 彼は