それは夏休みの出来事だった。
僕が『アレ』に出会ったことで、全てが変わった。
僕は雨森 大器(あまもり だいき)、学校では同級生からは邪魔者扱いされている。夏休みが始まって数週間経つけど、楽しい出来事が一個もない。学校では「学校始まったら、夏休みでしたことを1つ、発表してもらいます。」僕は何も発表する気はない。理由は、書かなくてもわかる。
僕「ただいま〜」
朝の一回目ランニングが終わったので、2分くらい休憩した後、もう一度ランニングをする。夏休みのルーティンだ。正直、ランニングのことを発表する気はない。冷たい視線を浴びそう。お母さんは励ましてくれるけど、僕は「そうかな…」と返すだけ。あまり答えが思い浮かばない。
母「週末、お父さんがスイカを買ってくるの!それでそれで、友達も誘ってスイカ割りをしよう!」
僕「お母さん、気持ちはありがたいけど、まだ友達が…」
お母さんは僕が友達を作ることをいつも願っている。2分が経過したので、僕はランニングをするため、外で準備運動をし始めた。右には学校の先輩たちがいた。
先輩「お〜い、俺たちと一緒に海行こうぜ!」
僕は反対を向いて走り始めた。怒られるのは当然だと思うけど、行った時に同級生に会うのは嫌だから。
走っていると鳴き声が聞こえた。
「にゃ〜」
猫の鳴き声だ。声的に橋の下から聞こえる。行ってみたら本当にいた。
僕「大丈夫?」
少し怖かったけど、勇気を振り絞って近づいた。変な猫だ。黒猫だ。目が赤い。初めて見る猫だ。こちらに気づいたようで威嚇をしている。
僕「大丈夫、僕は君を傷つけないよ。」
不思議だ。いつもやったら向こうが逃げるはずやのに、この黒猫は違う。むしろ向こうから来た。
??「何してるの?」
この声、聞き覚えある。
振り返るとやはり、僕の予想通り。同級生だ。しかも学年で1番人気なやつだ。名前は確か、あ…、やばい、覚えてない。
同級生「あ!バイキンじゃね〜か。お前、動物好きなんだ。てかその猫大丈夫か?目が赤いぞ。」
あれ?おかしいぞ。いつもは俺のこと馬鹿にしたり、俺で遊んでいたのに、優しいぞ。
僕「あ…、橋の下で見つけて…、すごく弱ってるんだ」
同級生「へ〜、可哀想だね〜。2人ともw」
あやっぱいつも通り馬鹿にしてきた。
同級生「ここは誰も見えないし、ちょっとだけ話そうぜ」
僕は正直この場を去りたいけど、なんか変だ。言葉が出ない。それに、動けない。体が痺れてる。タイミングが悪いよ、また馬鹿にされる。
なんだ?まるで手が湿ってるみたい。汗はかいてないはず。それになんだこの変な声は?
同級生「なな、なんだよそれ!?猫じゃねえぞ!!」
僕「え?」
やっと話せた。痺れも消えた。首が動かせるようになったので下をみるt…
そこには、明らかに猫じゃない生物がいた。まるで某映画の黒いエイリアンのようだった。でもこっちの方はまるで液体だ。色は黒く、身長も低い、小学1年生ぐらいの高さだ。
同級生「お、おい!なんでお前は襲われねえんだよ!説明しろ!」
説明しようにも、僕は分からんよ。
変な生き物は同級生の方に向かって移動し始めた途端、同級生は奇声をあげて逃げた。ちょっと笑えた。
変な生き物が僕の方により、僕を抱きしめた。この言い方が合っているのかはわからない。生き物は僕の顔を見て何か喋っている。
「ト モ゛タ゛チ゛?」
僕はおかしいと思ったけど、初めて言われた。嬉しかったけど、人じゃないから変な感じ。
僕「うん、友達だよ。」
変な生き物は笑顔になった。ちょっと怖い。目の位置がずれているし、歯はアニメとかのサメの歯みたいだし、液体だし。でも、なんでかは知らないけど、この生き物と一緒にいたいと思った。ってあれ?どこ行った?幻覚?いや、にしてはリアルすぎる。まあいっかと思ったけど、前からまた同級生が現れた、しかも2人連れてきてる。バットも持ってきたのか。その2人が野球に行くところを邪魔したのか?
同級生「お、おい、あの変なもんは?」
僕「え?」
同級生「とぼけんな!潰すぞ!!」
僕「いや、そう言われてもな。」
同級生「ちょっと貸せ!」
バットを取り上げてこっちきた。僕は衝撃すぎてドン引きした。相当怒りながらこっちにきた。
同級生「どこ行ったか聞いてんだよ!!さっさと答えろ!!」
バットを思いっきり振った。終わったな。
・・・あれ?当たってない。空振りしたのか?いや、必ず当たる位置にいるはずだけどな。
同級生「てっ、てめえなにしt」ドサッ
え?倒れた。何が起きた?
バットを取り上げられた子「ばっ、化け物だ!!」
2人は叫びながら走って逃げていった。僕は何が起こったのかを理解できていなかった。帰るか。でもなんかおかしいな、足の感覚がないぞ。
「飛んでみないか?」
僕「え?」
下を見たら、浮いていた。どんどん浮き始めた。頭当たらないか?大丈夫か?
「行くよ!」
突然横に飛んだ。今度は上に飛んだ。高い!高いぞ!!速い!!
僕「ウワアアアアアアアアアアア!!!」
怖い!怖いけど、慣れてきた。雲の上まで来たけどあまり怖くない。むしろ少し楽しい。あ、変な生き物が手のひらから現れた。
「タ ノ゛シ イ?」
少し安定した声になった。楽しい?もちろん僕は縦に首を振った。
僕「うん!楽しい!」
「ヤ゛ッ タ ア!」
僕はその生物を「ネコ」と名付けた。
ネコ「ホ ン ト ウ 二 ト モ タ゛チ゛?」
僕「うん、友達だよ。」
その後、僕は家に帰り、昼ごはんを食べた。