この作品はいかがでしたか?
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「どうして追いかけてきてくれたんですか?」
気になり聞いてみた。すると先輩は目を見開いたあと頬を赤く染めた。先輩って、こういう顔するんだ…。
「別に。ちょっと言いすぎたなって思っただけだし…」
「え…」
影山先輩はもっと冷たい人だと思っていたけど…。あたしもちょっと勝手に脳内で酷く言いすぎていたかもしれないな。
「あたしもすみません。」
「…何が?」
「えっ、あ、…色々です…。」
「…。ふーん。」
はぁ。難しいなぁ。
「あ。」
「はい?」
「いい感じに星出てきた。」
先輩に言われ顔を上げると、そこにはさっきまでなかったキラキラと輝く無数の星がちりばめられていた。
綺麗だ。真っ先にそう思った。
星は必ず1つではなくて、あたしとは全然違うと思ってしまった。
「はぁー!!!!!!」
やっぱり休日は最高だ!両親は休日でも休まず働いて家にはあたしと双子の妹と弟だけだ。妹達は友達の家に遊びに行っているからいない。家に1人なんてなんという極楽だろう。こんなにも開放感のある時間はない。
「あ、そういえば『奏 美蘭』さんの小説今日発売だ。」
家でゆっくりするのもいいが、2番目に好きな時間は本屋へ行くことだ。『奏 美蘭』というのは私が大好きな小説家だ。1度だけだがサイン会に行くほどだ。
「自転車でいいか。」
家の鍵を閉め、家の裏から自転車を引っ張り出す。
自転車に乗るのはおよそ1年ぶりだろうか。いつもは歩きで行っていたので、空気が抜けていた。家には自転車の空気入れがない。仕方なく思い、慣れた道を自転車を押して歩き、ある一軒家の前で止まった。
インターホンを押すと、聞き馴染みのある明るい声が聞こえた。
「はぁ〜い」
ガチャリとドアが開き、女性が出てきた。
「あら!真白ちゃんじゃないのぉ!久しぶりねぇ!」
「お久しぶりです。」
「あら自転車?ちょっと待っててね〜。夕弦を呼んでくるから〜」
「ありがとうございます!」
ここはあたしの幼馴染の家で、昔両親が仕事で遅い時などは、一緒に夕飯を食べさせてもらっていた。夕弦というのは幼なじみの名前で、横川 夕弦という。高校は別になったが、小学校から中学校まで奇跡的にずっと同じクラスだった。ずっと一緒にいるあたしには分からないが、かなりのイケメンらしく中学の時は他校からも女子が見に来ていた。今でもたまに学校で夕弦の名前を耳にする。
ガチャっとドアを開く音と共に夕弦がでてきた。
「おお、真白。久しぶり。」
やっぱり、夕弦だけはあたしに笑顔を向けてくれる。
「自転車の空気?」
「そう。」
「分かった。ちょっと待っててな。」
「はーい。」
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