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晶子が定時制高校の女子生徒と友達付き合いをしているという話は、なんとなく同級生や部活の先輩たちにも伝わっていた。
はっきり友達と言える程深い付き合いを、晶子は学校ではしていなかったが、かと言ってまるっきり交友がないわけではなく、休み時間や放課後に世間話をするぐらいの事はあった。
塾の予定のない日の放課後、中等部の頃から所属している日本史研究会の部室で晶子が本棚の資料を整理していると、二年生の女子部員が話しかけて来た。
「ところで篠崎さん、夜間定時制の生徒と付き合っているそうね」
晶子は一瞬目をぱちくりさせた。
「え? いえ、交際相手なんていませんよ、あたし」
「そうじゃなくて、女の子」
「ああ、カンナの事ですね、きっと。それなら、はい、です。あたしの親友で」
「篠崎さんは優しい性格だから、あまり深入りしない方がいいんじゃない? そりゃ付き合うなとは言わないけれど、同情はほどほどにね」
晶子は手を止めて先輩に顔を向けた。
「あの、同情ってどういう事ですか?」
「その女の子の事を可哀そうだと思って、それで友達になってあげてるんでしょ?」
「いえ違います。カンナとは小学3年生の時からの長い友人で」
「ま、あなたがそう言うなら別にいいけど。お金を貸してくれとか言われたら、先生がたに相談するのよ」
晶子の顔が少し赤くなった。晶子にしては珍しく怒りを覚えた。だが、元来人見知りで口下手な晶子には、その場で先輩に明確に反論する勇気はなかった。
晶子は黙って本棚の資料に目を戻し、適当な口実を作って普段より早く部室を後にした。
コメント
1件
あー、これは心がざわつく話でしたね。晶子が「同情じゃない」と反論したくても言葉にできず、早退するしかなかった場面が、すごくもどかしくて。先輩の「同情はほどほどに」という指摘も、悪意はなくても「夜間定時制=可哀想」というレッテルを貼ってるのが見えて、読んでて少し胸が痛みました。晶子の静かな怒りが伝わってくる、いいエピソードでした。
#ご本人様には関係ありません
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グリルタ
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