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3話 辿り着く先が地獄でも
突き抜けるような青空の下
バス停で蒼を待つ。
夏休み、蒼と海へ行く約束をしたのだ。
「ごめーん!遅くなった!」
大荷物背負って走ってくる蒼の姿が見えた。
浮き輪、何人座れるんだってくらい大きな敷物とパラソル…だよな?あれ。
「ううん。大丈夫、まだバス来てないし。それより、その荷物…」
「もう!海なんだからこれは必要でしょ!」
そう言ってビーチボールを見せてくる。
いや、そこじゃないんだよ蒼。
「色々考えて持ってきてくれたんだね、ありがとう」
得意げに笑う蒼。
この突き抜けるような青空の下に咲く向日葵のように似合っていた。
蒼side
僕はツバサが好きだ。
あれは幼稚園の頃だった。
華奢で周りより少し小さかった僕は、男子に混じって園庭で遊ぶより女子とおままごとをしているタイプだった。
そんな僕はよく女みたいだと周りから揶揄われた。
揶揄うだけならよかったが、男子の中には意地悪してくるヤツもいた。
ツバサはそういう時、いつも守ってくれる。
僕の救いだ。
ツバサは小学生の5.6年生までは普通に周りとも仲良く遊んで、ずっとクラスの中心的存在だった。
僕の憧れでもあった。
でも、ある日を境にツバサは周りを拒絶する様になっていった。
ツバサは徐々に1人でいることが増えていた。
でも、僕だけはツバサの味方で居たい。
これからもずっと。
ツバサもそうだよね?
夏休み前ー
とある日の帰り道
「ねぇ、ツバサ!夏休みになったら海へ行こうよ!」
「唐突だな」
声色は涼しげだが、嬉しそうな表情へと変わった。
「僕のおばあちゃんの家、海の近くなんだ!今度の夏休み友達と泊まりにおいでって言ってくれてるの!」
一瞬ツバサの表情が曇るのを僕は見逃さない。
「ね?いいよね?」
ツバサの手を取り、断る隙を与えない。
「……うっ…。もち、ろん?」
「ヤッター!!」
戸惑いに気づかないふりをして笑う。
こうして、僕らは海へ向かうバスへ乗り込む。
ずぅっと、この時間が続けばいいのに。
おばあちゃんの家に着いて支度をすると、日が暮れるまで
田舎人気の少ないビーチを満喫した。
日が暮れると周りには誰も居なくなった、それでも僕はツバサとの2人きりの時間を続けたくて用意してきた花火を取り出した。
本当に楽しかった
この時までは
コメント
1件
慰麗梳さん、3話読みました。冒頭の「突き抜けるような青空」に、これから始まる楽しい一日への期待が一気に高まりました。蒼くんのツバサくんへの想いが、幼稚園の頃からのエピソードでじんわりと伝わってきて、胸がぎゅっとなりました。特に「戸惑いに気づかないふりをして笑う」という一文に、蒼くんの必死な優しさと、二人の間に見え隠れする微妙な距離感を感じました。ラストの「この時までは」が静かに不穏で、続きが気になります。素敵なお話をありがとうございます。
#たぐ?なにそれおいしいの?
#オリジナルキャラクター
エメラルド
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NAGI [さかもっさん]
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