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言葉が途切れた後、アスタロトはテューポーンとズィナミに視線を送り、レイブ達スリーマンセルをチラリと見てからメルルメノクに語り掛ける。
『それで現状は?』
『そのまま飛び出して行ってしまいそうな所でしたが皆で何とかお留めし、方便でしたが友好勢力との共闘を提案して一先ず納得して頂きました…… それで私がハタンガの偵察とこちら、西側への使者としてやって参った次第なのです』
『ふむ、どう思う?』
テューポーンが即答する。
『『魅了』でしょうな』
ズィナミ・ヴァーズは眉間を寄せながら続く。
「そしてあの子は竜王の危機にそ知らぬ顔…… 多分、寝てるのね、はぁ~」
溜息に合わせる様にテューポーンも気まずそうに触手塗れの頭をポリポリやっている。
ここまで無言で聞いていたレイブがアスタロトに聞く。
「アスタさん、あの子って一体誰です?」
『ヒュドラの事だぞ、今回みたいな場合に備えて竜の守護者として地上に残った悪魔の一柱だが、どうやら役には立っていないようだな…… バアルの馬鹿の配下なのだが我のひ孫でな、この二人、と言うかテューポーンとな、ズィナミに憑依しているエキドナの倅でもある、そう言う訳だな』
「あーそーゆー」
どうやらここでもアスタロトファミリーの一柱が関わっているらしい。
更にレイブはメルルメノクに向き直って聞く。
「竜たちは竜王様に従うとしても東にいるニンゲン達は何て言っているの? 粉薬のために生きていて貰わなきゃならない竜が玉砕なんて反対するんじゃないのかな? 普通」
『実はハタンガの東にニンゲンは一人も残っていないのです、濃くなり続ける魔力から逃げる様にかなり前に南に避難をしてしまいまして…… 若い竜たちが玉砕なんて言いだしたのも肥大化し続ける鱗の恐怖からではないかと……』
「そうなんだ……」
なんとなく納得しているレイブから視線をメルルメノクに戻したアスタロトが言う。
『まあ時間稼ぎをしたのは賢明だったじゃないか、ヒュドラを叩き起こしてグラム・ランドに憑依させれば小者の『魅了』なんぞ直ぐにも解けるであろうよ、おーいネヴィラス…… ん? サルガタナスー! …………ありゃ、まだ戻ってないのか? 弱ったな……』
自分に太古から付き従う副官の不在にどうしたものか、そんな感じで首を捻っているアスタロトにレイブが心配そうな表情で声を掛ける。
「どうしたんです?」
アスタロトはレイブの顔を見返しながら何かに気が付いた風で目を見開きながら答える。
『レイブ…… おおっ! レイブがいるじゃないか! ペトラとギレスラもっ! お前等なら気を付けていればハタンガの魔力にも耐えられるであろうしな! 良し良し! では、我自らが竜王の里を訪れて問題をさらっと解決してくれようではないか! うむ、これで万事丸く収まるであろう!』