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心さんを探し始めて結構経ったが一向に見つかる気配はない。
和馬(優を呼ぶか?いや来るのに時間がかかり過ぎる)
和馬(…疲れた、途中から焦って走ったのがダメだったな)
和馬(ただでさえ運動出来ないのに、慣れないことするもんじゃないな)
和馬(……ああ、見捨てられたのかもしれないな。こんなやつ見捨てて正解だよな)
プレゼントもろくに選べない、デートもできない、ヘタレで面倒くさくて、運動もできない。更にコミュ障だ。そんな奴が恋なんてしようとすることが間違いだった。勘違いも甚だしい。
夏祭りで敬語を外してと言われた辺りから俺は勘違いしていたのかもしれない。そもそも心さんはずっと俺のことを友達だと言っていたじゃないか。
和馬(ああ、思考がどんどんネガティブになっていく。街の奴らが俺を見て笑っているように見える。吐き気がする。気持ち悪い。)
それでも足は止まらない。心さんを探すことをやめる気にはならない。小さくても、一歩だけでも良いから心さんを探したい。会って言いたいのだ、心さんが好きだと。それで振られても良い、俺を変えてくれた心さんに気持ちだけでいいから言いたい。その気持ちが強かった。
和馬(夏祭り……そうだここ花火を見た場所の近くだ)
別に特別想いのこもった場所でもないが、他に行く当てがなかった。
冬なのに汗が止まらない、足が重たい、息も荒く、せっかく今日のためにセットしか髪も走ったせいでグシャグシャだ。正直こんな状態で心さんには会いたくはないが、そんなこと言ってられる暇もなかった。
ちょっとした林を抜けると開けた場所に出て、そこからは繁華街の空気など感じないほど建物が少なく、丘になっており降ると川が見えてくる。
遠目からでも分かるほど見慣れた後ろ姿。丁寧に結ばれ、風に揺られるポニテがよく似合い自然と目を奪われてしまうほど綺麗な女の子。
荒れた呼吸を整え、緊張と不安を勇気で振り払い言い慣れた名前を口に出す。
和馬「心さん…」
体が小さく跳ねたあと恐る恐ると振り向き、心さんと目が合った。心さんはびっくりした表情をしていた。
心「な、なんで君がここに…?」
和馬「それは…こっちのセリフだよ。なんで心さんはここにいるの」
心さんは口をつぐんで、居心地の悪そうに目を逸らす。
何か訳がありそうな雰囲気が漂っている。心を読まなくたって分かるほどに。
決心した表情をしてこちらを見つめて心さんは口を開く。
心「怖かったんだ」
心「君と手を繋ぐたびに気付いちゃうんだ。君はうちのことが好きって」
心「それが凄く嬉しかった。でもその度に恐怖が増していくの 」
心「嫌われたらどうしようって。能力のことは君も知ってる。でも本心を覗いて確認するほどうちは強くなくて 」
綺麗な瞳から大粒の涙が溢れる。嘘のない、本音の言葉が心さんから溢れ出る。
心「……もし、心の底ではうちの事気味悪がってたらとかそんなこと考えちゃうことが増えて」
心「うちは君からの好意を疑うようになって、その度にうちは自分のことが嫌いになって。」
心「……もう君と関わらないほうがいいのかなとか、考えちゃって…」
痛いくらいの言葉に胸が苦しくなる。気づけなかった自分の愚かさを恨みたくなる。だがそんなものは後回しだ。今やるべき事は、好きな人に想いを伝えること。
和馬「 俺は心すら読める心さんだから好きになったんだ。」
和馬「能力が原因で嫌うことなんてないよ。俺は心さんと関わりがなくなることの方が怖い」
和馬「なんなら覗いてもらったって構わないよ。その度に俺は心さんに好きを伝えるから」
少し無理やり心さんの手を握り強く想う。
和馬(俺は心さんのことが好きです。もしよければ俺と付き合ってくれませんか?)
心「……!!はい…!」