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日常能力〜にちのう〜

29 - 第29話 シイの過去1/2

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2023年08月07日

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第29話 シイの過去1/2

前回までのあらすじ

2つ目ミッションをクリアした。以上。

*注意*ここから下は完全にシイ視点です。

これは、私がまだ小学2年の頃の話だ。

いつの日だったか覚えてないけど、その日は家族で車に乗って旅行に行っていた。見るもの全てが目新しくてワクワクと興奮が抑えられなかった。

「ねぇお母さん!あれ何!」

「あれは観音様だよ。しっかりと挨拶しなさい」

「わかった〜ははー」

車の中で、そんなやり取りをしていた。

交差点に入り、青信号になって進もうとしたら、突然左から車が出てきた。どうやら急いでいたらしい。

そんなことを知らない私たちは、事故にあってしまった。そこで、私達は死んだ。

「…。ここはどこ?」

「ようやく目が覚めたか」

どこ?ここ。死後の世界なのかな?

「ここは死後の世界でもなく、現実世界でもないぞ」

突然この人は私の疑問を消すかのように言い放った。

「それじゃあ、ここはどこなの?」

「ここは私の『固有力』で創った別の時間軸だ」

「固有力」?なんだそれ?

「ちょっと待って、理解が追いつかない。とりあえず、あなたの名前を教えてください」

「私の名前は『アヤメ』だ」

にちのうcv.シイ(過去)

「えっと、アヤメさん」

「アヤメでいい」

「じゃあ、アヤメ。ここはどこなの?」

「さっきも言ったであろう」

私はアヤメの家の中に入って、机を挟むような形でソファに対面して座っていた。

「その、『固有力』っていうのがいまいちわかんなくて。だって、私そんなの持ってないし」

「何を言っている。持っているではないか」

持っている?そんなの、体験したことないぞ。

「いや、持っているというか、『持たせた』の方が文法的には正しいか」

持たせた?この時間軸に来た時に?まさかそんなこと…。

「お前の家族は、死んだ」

「…」

「だが、お前だけ『固有力』の適正があった。だから、お前に植え込んだ」

植え…込んだ?まるで植物みたいな言い方だ。

「いまは、私の入れた『固有力』によってお前は動けている」

「まって、入れたって言ってるけど、私どこも変な感じしないよ?」

「頭だ。髪の毛のように植えてある」

きしょいな。

「その頭に植え込んだ『固有力』は脳まで達し、『固有力』の『主人を守ろうとする力』でお前は心臓や脳が動いているのだ」

「つまり、私は今『固有力』とやらに生かされてるの?」

「あぁ。『固有力』が取られると、死ぬ。普通の致死量のダメージでも死ぬがな」

突然、死について言及されて、私は少し冷や汗をかいた。

「お前に植え込んだ能力は『何かを入れる』だ。いつか、『何かを取り出す』と会うかもしれないが、それはお前の運命の相手だ。仲良くしてやれ」

「出会い系アプリかよ…」

つい思ったことが口に出てしまった。

「思ったんだけどさ、ここにはアヤメ1人しか居ないの?なんか家広そうだけど…」

「…。家族はいた。しかし、子供達は『固有力』を持って現実世界に行ってしまって、旦那は…死んだ」

「悪いこと聞いちゃったね」

「大丈夫だ。もう60年も前だからな」

そうか。もう60年前なのか…。…。

「60年!?」

「うわぁ!どうした!いきなり大声を出すな」

「えっ?じゃあ、え?アヤメは…何歳なの?」

「さぁ?ここに来てからもう100年以上経つんじゃないか?」

「うぅ…それじゃあ、今、何歳なの?」

「知らんな。多分100以上なのは確定だな」

えぇ〜見た目はどっからどう見ても20代前半くらいなのに?この世界はやっぱり変だな。いや、ここは今別の時間軸だから、少し違ってもおかしくないのか?

「そうだ。ここであったのも何かの縁だ。少し『何かを入れる』の使い方でも教えてやる」

そして、流されるがままに「固有力」の使い方を教わった。

にちのうcv.アヤメ

「とまぁこんな感じだな。どうだ?慣れてきたか?」

「少しはね」

「それは良かった。それじゃ、もうそろそろ現実世界にいきな」

そうか。もうお別れなのか。

「いやだ。行きたくない」

何を言っているんだ?行かなきゃダメじゃないか。アヤメを困らせるなよ。私。

「アヤメも一緒に行こう」

そんな無理なこと、アヤメが引き受けるわけないだろ。

「…。悪いね。私はここから出られないのだよ。それじゃあ、最後に1つ言っておこう」

ダメだったか。そうだよな。1つ言うってなんだろう?

「どうしてもダメになったらこう言うんだ。『チグリジア』とな」

「…。それはどういう意味があるの?」

「これは花の名前だ。花言葉に『私を助けて』と言う意味がある」

アヤメは花が好きなのかな?

「それじゃ、もう帰れ。準備が出来たら『OK』と言え」

そう言われて、最後にここに居た記憶を忘れないように、しっかり刻んでおいた。

「OK」

「よし。それじゃバイバイ」

そして、私は病院のベッドで目が覚めた。

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