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まるで、一見。怒っているようだけど、どこか涙がでてきそうな顔にも見えた。
「そうかー。そうかー……」
四部木さんが、芝居がかったように何度も頷いて、納得したような目をしていた。けれど、次の言葉は、
「人は美味いんだぞー」
不気味な声だった。
村の人はぼくをただじっと見つめている。
ぼくは口をいっぱい開けて、叫んだ。
「さあ、ぼくは怖くはない! これからも、こんなことを、いつまでも続けていればいいんだ! いつだって、死ねる! 死ぬののどこが悪い!」
四部木さんが再び頬をびくびくと痙攣し、自然な涙を流していた。
拳を振り上げた。
でも、四部木さんの拳は三部木さんの分厚い腕でがっしりと止められた。
拳を降ろした四部木さんは、涙を拭いてこのあばら家の奥の木枠へと歩きだした。
「お前にいいものを見せてやろう」
振り返った四部木さんの顔には、無邪気な微笑みが張り付いていた。
三部木さんは、また荒い笑い声を発した。
いつの間にか、奥の木枠から子供たちの泣き声が複数していた。
確かに、幼稚園児の声だった。
「へっへっ、これから、お前の目の前で食ってやろう。内臓も胃袋も。血も」
四部木さんがそういって、あばら家の奥の方まで来ると。
バン!
奥から何かが破裂する大きな音がした。
この世のものとは思えない笑い声が、後ろからぼくの耳をつんざいた。
ぼくは助けが来たんだと嬉しくなった。
きっと、村田先生だ。
こちらに血相変えて逃げて来た四部木さんの後ろには、散弾銃を構えた村田先生が壊れたテープレコーダーのような笑い声を発しながら追いかけだした。