時は変わり、戦の火花が京都の周辺を燃え上げようとしていた。
信長の勢力が日増しに広がる中、義昭は逃れられぬ運命に直面していた。しかし、彼には希望が残っていた。上杉謙信、彼こそが自らの命運を切り開くための希望であることを確信していた。だが、謙信が到着するまでを、信長は待ってはくれない。
義昭の命令で、京都周辺の防備は強化され、軍足の準備が着々と進められた。軍足とは、足元の重要性を意味していた。戦国時代、足元を固めることは運命を左右する。進軍を阻むため、撤退の際の安全を確保するために、義昭は新戦術を指導していた。
義昭が命じたのは、防衛だけではなかった。彼は軍足に重点を置き、京都周辺を変えるために足元を重視する戦術を練っていた。それは、武士たちが普段履いていた草鞋を革製に改良し、安定性を高めることで、長期戦に耐える力をつけるというものだった。
その日、義昭は援軍を待ちながらも、戦の準備に余念がなかった。京の城郭は、強化されてはいたものの、信長の猛攻が迫っていた。彼の軍勢は突撃を繰り返していた。義昭が気を使っているのは、正面の戦闘だけではない。信長は周囲の地勢を巧みに使い、軍を分けて包囲する策を取っていた。
「足元がしっかりしていなければ、戦は続かぬ。」
義昭はかつて、父の足利義晴から聞いた言葉を思い出しながら、指揮官たちに伝えた。戦の中で最も重要なのは、軍の進軍力であり、撤退の際の速さである。そのため、足元の安定を図り、時間を稼ぐことが必要だった。
戦術は、「軍足戦法」として伝説となり、名を挙げることとなった。しかし、それが信長にどう映るかは、また別の話だった。
信長は義昭の準備を完全に見透かしていた。信長の軍師である荒木村重は、進撃路を予測し、巧妙な罠を仕掛けた。信長は、義昭が防衛を固めるその隙間を狙い、南からの奇襲を決行する。
信長の策略によって、義昭の軍足戦法はあっけなく打破される。荒木村重の指示で、信長は進軍を仕掛け、義昭の軍の集中を一か所に引き寄せた。それによって、義昭の軍は本隊に包囲され、戦局は一転、混乱に陥った。
義昭の兵たちは次々と信長の軍に飲み込まれ、城内も戦闘に突入する。義昭はただただ、命運を天に任せるしかなかった。
だが、その時、義昭の目の前に現れたのは、上杉謙信の影だった。
謙信の軍勢が到着したのは、まさに最悪のタイミングだった。義昭が追い詰められ、窮地に立たされていたその時、謙信は堂々と京の門をくぐり抜けてきた。
その姿に、信長の軍も一瞬、動きが止まる。謙信の軍は、荒々しい風を切り裂くような気迫を持っていた。その伝説的な武将が、ついに戦場に現れたのだ。
謙信は即座に義昭の元へ駆け寄り、彼の姿を見た。
「義昭公、無事か?」
謙信の声は冷静で、だがその目には燃えるような決意が宿っていた。義昭は深く息をつき、謙信に向かって頷く。
「謙信公、来てくれたか…!これが私の最後の戦だ。」
謙信は、義昭を支えるようにその肩を掴むと、言葉を続ける。
「お前の戦いは終わらせない。信長に打ち勝ち、この乱世を終わらせるためには、私の力が必要だ。」
その言葉に義昭は力強く答えた。
「頼む!信長を…倒すんだ!」
謙信の目が鋭く光る。
「信長は、今、我が目の前にいる。」
その言葉と共に、謙信は剣を抜き、空を裂くように叫ぶ。
「上杉軍、進撃せよ!信長に正義の鉄槌を下す!」
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