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#K-T
#CREATIVE BASE
#人狼
K-Takasaka
153
#K-Takasaka
光が消えた。
メバルは、冷たい床の上に倒れていた。
「痛っ……。ここ、どこ?」
顔を上げると、白い部屋ではなく、金属製の通路が広がっていた。
壁には青い照明が埋め込まれ、一定の間隔で赤い警告灯が点滅している。遠くからは、機械が動く低い音が聞こえていた。
「宇宙船……?」
ノアが通路の壁に手をつく。
「本物の宇宙船みたい。床が少し揺れてる」
「いやいや、宇宙船って! 俺たち、宇宙にいるのか?」
カキが慌てて周囲を見回す。
「ヘルメットはあるけど、宇宙服はないぞ!」
「船内なら問題ない」
レオンが冷静に答えた。
「空気がある。少なくとも、今すぐ宇宙へ放り出されることはない」
「今すぐって言い方、怖いんだけど」
リリカが苦笑する。
少し離れた場所では、K-Tが船内の地図を確認していた。壁に表示された見取り図には、いくつもの区画が描かれている。
操縦室。
通信室。
電気室。
機関室。
医務室。
中央管理室。
そして、船の中央にある大広間。
「ここはアストラ号だ」
アオノが表示を確認しながら言った。
「船内には複数の設備がある。各自にタスクが割り当てられているはずだ」
「タスクって、ゲームのやつ?」
セイジが尋ねる。
その直後、全員の手首に小さな端末が現れた。
画面には、それぞれ異なる指示が表示されている。
タスクを確認してください。
メバルの画面には、電気室で配線を確認する指示が出ていた。
カキは機関室で燃料バルブを調整するタスク。
マサカゲは中央管理室で船内地図を更新するタスク。
アオノは通信室で信号装置を調整するタスクだった。
「私、操縦室だ」
ノアが画面を見せる。
「操縦桿の出力を確認するんだって」
「僕は医務室。薬品の数を確認するタスクだね」
レオンが言った。
ルイは端末を見たまま、静かに口を開く。
「監視室で記録映像を確認する」
「私は通信室みたい」
リリカがセイジを見る。
「セイジも通信室だね」
「そうみたいだな」
セイジは明るく笑った。
「二人ならすぐ終わりそうだ」
「私も中央管理室!」
ノアが手を挙げた。
「じゃあ、マサカゲと一緒に行こうかな」
「勝手に決めるな。中央管理室は一人で十分だ」
マサカゲが言う。
「でも、誰かと一緒のほうが安全でしょ?」
ノアが首をかしげる。
マサカゲは一瞬だけ黙った。
「……好きにしろ。ただし、勝手に離れるな」
「了解!」
ノアが笑う。
その様子を見ていたメバルは、不安そうにK-Tへ近づいた。
「Kさんはどこですか?」
K-Tの端末には、操縦室へ向かう指示が表示されていた。
「操縦室だ」
「私も一緒に行っていいですか?」
「タスクが違う」
「でも、一人で行動するのは危ないですよ」
メバルが周囲を見回す。
誰もいないはずの通路。
しかし、船のどこかに、別の役職を持つ者がいる。
インポスター。
そして、姿を変えられるシェイプシフター。
K-Tは短く息を吐いた。
「分かった。途中まで一緒に行く」
「途中まで?」
「操縦室に着いたら、俺はタスクをする。お前は電気室へ向かえ」
「分かりました」
メバルは少し安心したようにうなずいた。
K-T、メバル、カキ、マサカゲ、ノア、リリカ、セイジ、レオン、ルイ、ミステー、アオノ。
十一人は、それぞれの目的地へ向かって歩き始めた。
その中で、ミステーだけは動かなかった。
「ミステー、タスクは?」
カキが振り返る。
「まだ決まっていない」
「端末を見ろよ」
「見た。だが、タスクが私を見ている」
「どういう意味だよ!」
ミステーは端末を裏返した。
画面には、文字が一つだけ表示されていた。
観察してください。
「俺たち全員を?」
「たぶん、船を」
ミステーはそう言うと、誰もいない通路の先を見つめた。
その先には、消えかけた人影があった。
黒い服を着た誰かが、角を曲がって消えていく。
「……今、誰かいた?」
リリカが尋ねる。
全員が通路の先を見る。
だが、そこには誰もいなかった。
「見間違いじゃないか?」
セイジが言う。
「いや」
K-Tが低い声で答えた。
「誰かいた」
彼はすぐに追おうとした。
しかし、船内に警報が鳴り響いた。
ビーッ、ビーッ、ビーッ。
赤いランプが一斉に点滅する。
端末の画面が赤く染まった。
通信障害が発生しました。
通信室で障害を解除してください。
「始まったな」
マサカゲが周囲を見回す。
「通信室へ向かう。近くにいる者は集まれ」
「私たち、通信室にタスクがあるよ!」
リリカがセイジとアオノを見る。
「急ごう!」
三人は通信室へ走っていった。
K-Tも後を追おうとしたが、メバルが腕をつかんだ。
「Kさん、操縦室は反対方向です」
「通信障害を先に直す」
「でも、タスクは?」
「妨害中は船の記録が不安定になる。先に直したほうがいい」
K-Tはそう言って、通信室へ向かった。
メバルも慌てて追いかける。
通信室の扉は半開きになっていた。
中には、アオノ、リリカ、セイジがいた。
壁一面のモニターに、乱れた通信波形が映っている。
「アオノ、どう?」
セイジが尋ねる。
「三つの端末を同時に操作する必要がある。僕が中央を担当する」
「じゃあ、私が右!」
「俺は左だな」
三人が端末の前に座る。
K-Tは部屋の入口に立ち、通路を警戒した。
メバルは彼の隣に並ぶ。
「Kさん、入らないんですか?」
「誰かが見張る必要がある」
「私も見張ります」
「お前はタスクをしろ」
「でも……」
メバルが言い返しかけたとき、通信室の照明が一度だけ消えた。
暗闇の中で、何かが床を擦る音がした。
カタン。
続いて、低い声が聞こえた。
「誰か、いるのか?」
セイジの声だった。
照明が戻る。
セイジは端末の前で立ち上がっていた。
「今、後ろに誰かいた気がした」
リリカが青ざめる。
「誰もいなかったよ?」
「本当に?」
「うん。私はずっと画面を見てたから」
アオノは通信装置を操作しながら言った。
「障害の原因を確認した。外部からの妨害ではない」
「じゃあ、誰かが船内から仕掛けたってこと?」
メバルが尋ねる。
「その可能性が高い」
アオノの指が止まる。
「通信記録が一部、消去されている」
K-Tの視線が鋭くなった。
「いつ消えた?」
「今だ。妨害が始まった直後に、事件前後の記録だけが消えている」
「誰が操作できる?」
アオノは画面を見つめる。
「通信室の端末。それから、中央管理室の端末でも可能だ」
その言葉を聞いた瞬間、全員が黙った。
中央管理室に向かったのは、マサカゲとノア。
そして、事件前に通路の角から消えた人物。
「マサカゲたちは、今どこにいる?」
K-Tが尋ねる。
アオノが船内マップを開いた。
「中央管理室から移動している。現在位置は……」
画面上の二つの光点が、突然消えた。
「通信が切れた」
アオノがつぶやく。
同時に、船内の警報が止まった。
通信障害が解除されたのだ。
「終わった?」
リリカが安堵した瞬間、通路の奥から声が響いた。
「誰か来てくれ!」
マサカゲの声だった。
K-Tがすぐに走り出す。
メバル、アオノ、リリカ、セイジも後に続いた。
中央管理室へ到着すると、マサカゲが扉の前に立っていた。
その顔は険しい。
「遅い」
「何があったの?」
リリカが尋ねる。
マサカゲは、部屋の中を指差した。
中央管理室の端末は、内部から壊されていた。
そして、その前の床にノアが倒れていた。
「ノア!」
メバルが駆け寄る。
ノアは目を閉じ、動かない。
その手には、小さな金属部品が握られていた。
「生きてる?」
セイジが不安そうに尋ねる。
K-Tとアオノがノアの状態を確認する。
「反応はない。だが、ゲームのルールでは……」
「勝敗が決まるまで、生き返らないんだよね」
リリカが震える声で言った。
K-Tは床に膝をつき、ノアの周囲を確認する。
「死体を動かすな」
「犯人がまだ近くにいる可能性がある」
ルイの声が、背後から聞こえた。
彼とレオン、カキ、ミステーも到着していた。
「俺たちが来るまで、ここにいたのは誰だ?」
ルイが尋ねる。
マサカゲが答えた。
「私とノアだ。だが、途中で一度だけノアを見失った」
「見失った?」
K-Tがマサカゲを見る。
「中央管理室へ向かう途中、扉が閉じた。私が開けたときには、ノアの姿がなかった。その数秒後、部屋の中で倒れていた」
「その間に、誰かが侵入した?」
レオンが考え込む。
「可能性はある。しかし、扉の認証記録が残っていない」
アオノが端末を確認した。
「記録は消されている」
セイジが、通信室のほうを振り返った。
「通信障害の記録が消えたのも、同じタイミングだ」
「つまり、犯人は通信室と中央管理室の両方を操作できる人物ってこと?」
リリカが言う。
全員の視線が、ゆっくりと動いた。
アオノ。
マサカゲ。
そして、通信室にいた者たち。
K-Tは、ノアの手に握られた部品を見つめていた。
「この部品は、通信室のものじゃない」
アオノが言った。
「中央管理室の認証端末の部品だ」
「ノアは、犯人の手がかりを残したのか?」
カキが声を震わせる。
そのとき、部屋の奥で小さな音がした。
カチッ。
誰かが、壊れた端末を操作した。
全員が振り向く。
モニターに、白い文字が浮かび上がった。
第一会議を開始します。
直後、船内のすべての扉が閉じた。
赤い照明が消え、中央管理室だけが暗闇に包まれる。
その暗闇の中で、誰かが笑った。
低く、静かな笑い声だった。
メバルはK-Tの袖をつかんだ。
「Kさん……」
K-Tは前方を睨みつけた。
「誰も動くな」
しかし、もう遅かった。
ノアを倒した犯人は、この部屋の中にいる。
そして、その犯人が誰なのかを知っているのは――
倒れたノアだけだった。
コメント
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ああ、読み終わったよ。第2話、一気に空気が変わったね。これもう完全に宇宙版人狼だね。 まずミステーの「タスクが私を見ている」って台詞がすごく好き。あれ、不気味さを一気に引き上げてる。それに「観察してください」っていう特別なタスク……彼の立ち位置が一気に気になったよ。 あと、ノアの死体がすぐ見つかる展開と、その手に握られた部品。救助じゃなくて推理を促す仕掛けになってるのがいい。「第一会議を開始します」っていうシステムの冷たい無機質さも、不安をさらに掻き立てるね。 キャラも増えてきて、誰が味方で誰が敵か分からない緊張感がじわじわ来る。続きがすごく気になるよ。作者さん、この空気感の構築、本当にうまいね。