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「元貴···俺、ごめん。この前嘘ついた。本当はりょうちゃんのことが好き」
「うん、知ってた」
「一緒に住んでみて気づいたんだよ、いつも笑ってくれるところ、なんでもないみたいに気遣ってくれるところ、ちょっと抜けてるところも···」
「うん、それはりょうちゃんに言ってあげて···きっと、喜ぶ」
泣きそうな顔して目を赤くして、けど真剣に頷く若井ならりょうちゃんをこれからも間違いなくずっと大切にしてくれる。
「さ、ご飯食べよ。なんかお腹空いたし」
「うん、食べる。どうせ元貴朝ごはんも食べてないでしょ」
「まぁ、けどなんかスッキリしたらお腹空いた。いだきます」
ピンポーン···
「誰だろ?そういえば昨日高野と綾華が来てくれた」
「えぇ、あいつら何にも俺には言わないからなぁ、会いたかった」
「また会えるよ、いつでも···って、りょうちゃんなんだけど、なんで?」
若井もはてな、と首を横に振る。
この様子だと話し合って来たわけじゃない?
「どうしたの、りょうちゃん」
「ごめん、邪魔するつもりはなかったんだけどね、なんかちょっと心配で顔見に来たの···って、若井?!なんで?って2人ともご飯食べてるし!僕にはちょっとジムに行くって···もぉ!」
「あ、りょうちゃんの分も買ったの忘れてた···」
「ひどい!お腹空いた、僕も食べるから!」
俺たちのお弁当を見て僕もお腹空いたー!と騒いでから自分の分を 若井からパッと奪って椅子座るともぐもぐと食べ始める。
それを見て俺と若井は笑ってしまった。
「ちょっと、なんで笑うの!ひどいなぁ2人とも。食べないなら貰っちゃうよ」
そういいながら3人で笑ってご飯を食べる。なんでもない他愛ない話、ゲームのこと、面白い動画や音楽のこと···そこには嘘なんてない純粋に笑う友達がいた。
「じゃあそろそろ帰ろうかな」
「ありがとう、あ、りょうちゃんだけちょっと話いい?すぐ終わる」
「うん?もちろん」
「じゃ先帰ってるわ」
若井が気を利かせてさっと帰る用意をした、その背中に声をかける。
「若井!あとは、任せたから」
真剣な表情で大きく頷いてくれた。
りょうちゃんは、任せたよ。
くるっとりょうちゃんのほうに向きなおす。2人きりの部屋、今日でこの関係も終わり。りょうちゃんは嬉しくなかったかもしれないけど、付き合えて俺は幸せだった。次はりょうちゃんが幸せになって。
「···ねぇ、りょうちゃん。今まで本当にありがとう。俺と···別れてください」
「えっ···?」
「今まで俺の為にありがとう。本当に大好きだった。りょうちゃんがいなかったらこんな風に笑えてなかったかもしれない、それくらい追い込まれてた···けど、もう大丈夫。りょうちゃんの幸せを願ってる」
派手な色の髪をくしゃくしゃと撫でる。
その髪が一緒に寝ていると頬に触れてくすぐったくて、けどちゃんと隣にいてくれるって感じて心地良くて好きだった。
「僕の、幸せって···なに?なんで、急に?」
「本当に好きな人と付き合って。大丈夫、若井もりょうちゃんのことを本当に好だから。2人ならきっと上手くいく」
首をぶんぶんと横に振る。
泣きそうに表情を歪めたけど、唇を固く結んで泣くもんかと我慢してるみたいだった。
「りょうちゃんが俺を本当に愛そうとしてくれてたのは痛いほど伝わってた。けどね、俺は気づいちゃったんだ、りょうちゃんが若井のことを好きだってこと。だから今日でお別れしよう」
「···元貴のこと、大切に思ってた。同情なんかで付き合うとか言ったわけじゃない」
「そんなのわかってるよ、りょうちゃんはそんな人じゃない。けど目を閉じて考えて。今、一番一緒にいたい人は誰?寂しい夜に側にいてほしい人は?大好きって言ってほしい人は?思い浮かぶのは誰?」
俺にはそれが全部りょうちゃんだった。
でもりょうちゃんは違うよね?
だからりょうちゃんは付き合ってから最後まで俺に“好き”って言わなかった。
「なんでかなぁ?付き合うことにうんっていったのは僕なのに···!···ごめん元貴···」
「思い浮かぶのは···若井だ···」
静かな部屋に小さく、けどはっきりと···好きな人が別の名前を呼んだのが聞こえた。
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やばいです。号泣です
思わず話の流れをぶった切って「僕の幸せは♥と一緒にいることだよ」と入力してしまいそうになりました。危ねぇ···