らっだぁ
◇
『もー!!聞いてよらだお!!』
「なに、また振られたの?」
『その通り!!しかもなんで振られたのかもわかんないの!』
災難だったねぇ、なんて言いながら私の頭を優しく撫でるのは幼馴染の猿山らだお。高校3年生だ。ついでに言うと、私は高校2年生。らだおと幼稚園も、小学校も、中学校も、まさかの高校までも同じの人間である。絶賛、4人目の彼氏に振られて傷心中。毎度の如く、らだおの家に入り浸り愚痴りまくっている。
『なんか急にさー、“ごめん、俺と別れてほしい”って言われて…』
「ふーん」
『何回目だ!これで4回目だよ!!ふざけんな!』
「そういうとこじゃない?」
…まあ、図星っちゃ図星だ。私は女の割には口が悪いし、ズボラだしで女らしいところがない。あるとすれば、料理が多少できるくらい。
『4回目だけど慣れない!しんどい!』
「頑張ったね〜ナマエ。えらいえらい」
『もう私にはらだおしかいないんだ!!』
「大袈裟だわそれは」
くは、笑うらだお。
腹が立ったのでみぞおちに1発入れてやった。多分、こういうところも私が振られる理由に入るんだろう。…理由なんて、1回も聞いたことないし、本当に予想でしかないけどね。
「んー……あ。ねえ、」
『なにー?』
らだおがなにか思いついたようで、こういうのはどーお?と人差し指を立てる。
「俺と付き合う!」
『え』
「だめ?」
『え、あー…』
「結構いい案だと思ったんだけどな〜」
やっぱだめすか、と言って、私を愛おしそうに見つめるらだお。
なに、なんだそれは。色っぽい。ていうか、私の事好きなの?でも好きとは言ってないか…いやでもやっぱり、そういうこと言うってことはさ、そーゆー…こと、じゃん。多分。
『らだおってさぁ…』
「ん?」
たらし?
そう聞こうとしたけれど、こちらを見つめる目があまりにも甘くて、言葉が詰まる。
『えと、ううん、やっぱりなにもない。』
「そ?」
『返事、は…考えさせてもらってもいい?』
「モチのロン!」
『ありがと。今日はちょっと、帰るね』
「ん、またねーん。気を付けなよ」
家が隣なのに心配してくれるらだおは普通に良い幼馴染で、もうさっきの甘い目はどこかへ消え去っていた。
『お邪魔しました』
「じゃーね〜」
◇
…ふふ。かわいーなあ。
俺が毎回別れさせてるのに、気付いてないなんて。
それに俺が告ったときも、困惑してる表情かわいかったぁ…!
だいじょーぶ、ナマエのことはおれがずぅっとまもるからね♡
◇
コメント
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ンオ!!!!!!すき