55日目
絵名がナイトコードに完全に来なくなった。
瑞希はチャットだけなら来るようになったけど、絵名は何でだろう…?
何かあったのかな…でも、昨日のチャットの様子も変だし、嫌な予感がする……。
まふゆ
2024年 11月 12日 (土)
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ゆっくり目を開ける。
一番に目に入ってくるのは見慣れた病室の天井。
ゆっくりと体を起こす。
何が起きたのか分からないまま、窓付近を見ると、花瓶に入った綺麗なチグリジアを見つける。
『……あれって確か、チグリジア…だよね』
チグリジアを見つめているとコンコンと軽くノックをされる。
『…どうぞ、』
ガラガラと扉が開き、奏と絵名と瑞希が真剣な面持ちで入ってきた。
『……皆、?』
「まふゆ、きっとまふゆも見たと思うの」
奏が私の手を握る。
そして瑞希は私の近くにある椅子に座り、口を開く。
「皆、見てるよね?同じ夢」
『……!』
その言葉にハッとする。
あれは現実じゃなくて、夢だった…?
そして絵名は私の事を優しく抱きしめる。
「…皆で、逃げよ? 」
『、!』
その優しい声は私の冷たい心を暖かく包んでくれた。
『……うん、逃げよう』
「まぁ、一時的だからね〜 」
「でも見つかったら正夢になるわよ…?」
「大丈夫、…皆が居れば、大丈夫だよ」
『…うん、』
私達は廊下に出て誰も居ないか確認する。
「…誰も居ないね……よし、走ろう、!」
静かな廊下に私達の足音が響く。
すれ違う看護師さんに注意されたりしたような気がするけど、そんなのどうでも良かった。
そして私達は*屋上*に逃げ込んだ。
扉を閉めて、見つかりにくい所へと移動する。
「はぁ、はぁ…疲れた……」
「でもこれで少しは平気じゃない?」
『うん…安心した、気がする』
「あっはは、なら良かった!」
冷たくて気持ちいい風を全身で感じる。
もう、全てから解き放たれたかった。
正夢にだけは絶対になりたくない。
だから、皆で逃げたんだ。
どこまで逃げれるかなんて事どうでもいい。
今だけは、今だけはこの幸せな空間に…
ユメに浸っていたかった
コメント
6件
「私を助けて」「誇らしく思う」「私を愛して」「鮮やかな場面」 まさにニーゴの4人の青春だなぁ
チクリジアの花言葉は 、『私を助けて』か … 。 ユメと関係してそうだな ……
うわああ、続編が気になります!