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⚠️暴力描写あり⚠️





























【七海視点】


気のせいじゃない、のかもしれない。

今日も不気味な視線と足音がする。もう家はバレてるのにまだ追ってくるの?


ダメだ七海。こんなことを考えてはダメだ。


そういえば今日、椎名先輩と宇経先輩が1年の廊下に来た。多分阿部くんに用があったんだと思う。

でも会ってしまったらまた噂が加速する気がして逃げてしまった。

これが正しい選択だったと思う。向こうにも迷惑だし。早く噂が鎮火したらいいんだけどな…


「ねぇ」

七海「ひっ」


突然後ろから話しかけられた。向くのは嫌だけど向かないといけない…


「宵崎 七海ちゃん、このあと時間ある?」

七海「えっ、と、ない、です….」


嘘、嘘。すごく嘘。でも知らない人について行くのはさすがにダメだ。怖い。きっと後ろから着いてきていた人なんだろう。


「そっか。明日は?」

七海「放課後は、早く家に帰らないと行けないので。」


咄嗟に走り出してしまった。後ろから追いかけながら話しかけてくる。


「逃げないで。怖くないよ。悪い人じゃないから」


とにかく逃げて、家に入って鍵を閉めた。ドアを叩くこともノブを回すこともしなかった。


乱れた呼吸を整えながら足元に目をやり、絶望した。





七海「た、ただいま。」


そんな私の声に、キッチンに立っていた母が振り返る。


母「あら、おかえり。今日のご飯はカレーよ。」


あぁ。今日は優しい日だ。まだ父が帰ってないからかな。

カバンを片付け、部屋で制服から私服に着替える。

1階から何かが割れる音がしたけどとりあえず聞こえなかったフリをしながら風呂掃除をした。


掃除中ずっと怒号が響いていた。どうやら帰ってきたようだ。

きっとカレーはお預けだ。


母「ちょっと七海!こっちに来なさい!」


リビングに入ればそう言われ、床に座らされた。


今回のテスト。昨日渡した時は頑張ったって言ってくれたのに。


母「こんな点数で恥ずかしくないの?!私はとっても恥ずかしいわ!私の子供がこんな点数なんて!」

父「お前に似てバカに育っちまったんだろ」

母「バカはあなたでしょう?!テスト以外にも、あなたの悪い所ばっかり似て!」


父はこちらへ近づくと、私の顔を一瞥してこう言い放った。


父「顔くらい可愛く育たないもんか?こいつ本当は俺たちの子じゃないんじゃねぇのか」

母「そうねぇ。あなたも顔だけはいいのに。」

父「無理やりにでも可愛くしてやるか。こんな見栄えのない顔、可哀想で仕方がない。」


父と母は、喧嘩ばかりだけど仲が悪いわけじゃないんだと思う。だからこそ2人を邪魔する子供の存在が鬱陶しくて仕方ないんだ。産んだ時こそ喜び、育てる意思はあったんだろう。そうでなきゃとっくの昔に捨てられている。


子猫を飼って、成長したら思ってたのと違くて。

子供は意思がないから可愛いってこと?大きくなったらもう、自分の子じゃない、うちの子がこんなに可愛くないわけが無い。


頬に鈍痛が走った。ぶたれた所を抑えながらそのまま動かないでいれば今度は腹を蹴られた。

鬼のような形相でこちらへ何かを言いながら何度も何度も殴る、蹴る。


七海「カハッ、ヒュッ、スヒュッ」


呼吸が苦しい。酸素が足りない。意識が朦朧としてきた。もう顔すら認識できない。視界はぼやけ、絶えず声だと思われる音が耳に入り込んでくる。

頭がクラクラしてきた。脳が焼け付くように痛い。


父「うぇ、きたね。自分で掃除しろよ」


最後にそんな言葉が聞こえた気がした。

嘘から出たまこと【完結】

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