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エンジン達は車、ラムレザルは愛車であるバイクでキャンバスタウンに向かっていた。
「下界の町は全部こんな形なのか…?」
「デケェ町はな。ちぃせぇ町はお情け程度のドーム型だ。」
ラムレザルはルドに何故ドーム型なのかを説明していると入口にガラの悪い2人組がいた
ラムレザル達は2人組をスルーし堂々を入口のゲートをくぐった
「さっきの2人は?」
「この町には “そういう” 呪いがかけられてるんだ。さっきの馬鹿2人は良くない考えを持ってたから入れなかった」
「?」
「あー、そうだな…例えばこの壁。”この壁に対する攻撃を1回だけ無効にする” っつー願い?を込めて呪いをかける。するとあ〜ら不思議。壁への攻撃が無かったことに。」
「今から会いに行く奴の能力なのか?」
「そ。たしか…代々受け継ぐタイプの人器とか言ってたな」
丁度その時、曲がり角から飛び出してきた少年とラムレザルがぶつかり少年は吹っ飛ばされてしまった。
「あ、悪ぃ…大丈夫か…っておい!」
少年は立ち上がると踵を返して走り去ってしまった
「(泣いてた…?)なんだあのガキ…」
「思ったより早かったな…掃除屋」
少年が飛び出してきた曲がり角から顔を出したのはこの町の町長だった
「旦那顔色悪いな…何かあったのか?」
「ああ…実は」
《ゴブが死んだ》
「え」
町長に案内されるまま、簡素な霊安室に足を踏み入れたラムレザル一行
「”人体汚染” だ。何度も注意したのにゴブはマスクを外して絵を描いていたんだろう…」
涙ぐむ町長、ゴブを顔を見ようとゴブの寝るベッドに近づくエンジン達
「………」
「ルド」
「…?」
「ここじゃよくある死因だ。いちいち悩むな」
「だって…」
「…外行くか。エンジンちょっと外すぞ」
「ああ…」
顔色の悪いルドを連れ外に出たラムレザルは買ってきたジュースをルドに手渡した
「人体汚染って…」
「その通りだな。ゴミから出た異臭やらなんやらが人体にまで影響を及ぼす毒だ」
「ゴミから…」
「だから遠くに行く際のマスク着用義務があるんだ」
「……」
暗い顔をするルドにラムレザルは続けてこう言う
「この仕事をやるにあたってこういうのは何回も見るはずだ。慣れろ、とは言わねぇ。ただ、そういう心構えはしておけ」
ラムレザルも長いことこの仕事をしているので人の死に多く関わってきている。
ゴブのように人体汚染で亡くなる者。目の前で斑獣に踏み潰され亡くなる者。
たくさんの死を見てきたラムレザルは感覚が麻痺していた。
「それ飲んだら入ってきな。」
「おう…」
「悪いな席外して」
「気にするな…それよりもラムレザル。誰か葬儀屋を知らないか?ゴブを見送りたい」
「ああ。腕のいい葬儀屋を紹介する…それよりもそこにいるやつが次の後継人か?」
「この子はレムリン・ティサーク。新しいまじない屋だ。」
「ちぃせぇな…この町の看板としてのプレッシャーに耐え切れるのか?」
「分からない」
ラムレザルは代々受け継がれてきたペンを手に持ち安らかに眠るゴブに近寄った。
「ゴブ…もう会えねぇんだな。寂しいぜ。お前のニヤケ面もお前の心から楽しんで描いた絵ももう見れねぇなんて悲しいな。ペンの新しい持ち主のレムリンの事は心配すんなよ。町長が守ってくれるさ。…ゆっくり眠れよ」
ゴブに向けて最期の言葉を残したラムレザルは未だ涙を流すレムリンの方を向いた。
「レム坊。しっかりしろお前ゴブに認められたんだろ?お前がしっかりしないとこいつは安心して眠れねぇぞ。いいのか?こいつ化けて出たら絶対めんどくさいタイプの人間なんだからな?」
「………」
「こいつが残してったもんはお前が引き継ぐんだ。大丈夫お前なら絶対出来る」
レムリンは顔を上げてラムレザルの目を見つめた。
ゴブはラムレザルの事を人語を話すイカつい雌ゴリラだとか人の心を禁域に落としてきた奴だとか散々言っていたが人の心に寄り添って一緒に悲しめる奴とよく言っていた(あと、金の振り幅がいい)
「ッ!」
「!」
レムリンはラムレザルが差し出していた手から託されたペンを手に取ると外に飛び出して行った
「おい!アレ大丈夫なのか!?」
「大丈夫だ。もう立ち直った」
「?」
困惑するメンバーを引連れラムレザルは外に出た。
外に出ると外はお祭り騒ぎだった。
「これは…」
「レム坊なりの弔い方か。いいね派手で」
レムリンは悲しんだ顔で見送られてもゴブは喜ばないと思い、遊んで描いて楽しく弔う事にしたのだ
「こりゃ、しばらくかかんな。さすがは自由と楽しさの町だ」
「ありがとうラムレザル。レムリンの心を救ってくれて」
「救ったんじゃねえよ。ワタシは手助けしたまでだ。あそこで塞ぎ込んだままかそうじゃないか…決めるのはレム坊次第だったさ」
「これならゴブも安心して逝けるな」
「だな」