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枢空乃希
『身長差』
rzli
夕方。
キッチン。
らいと、棚の前。
背伸び。
「……っ、あとちょい」
つま先立ち。
ぐらつく。
届かない。
「なんでこん上やと……」
もう一回。
ぴょん。
届かない。
「……これくらい、いけるやろ普通」
指先、空振り。
小さくため息。
後ろ。
ロゼ、見てる。
何も言わず近づく。
手、伸ばす。
一瞬。
取れる。
「はい」
らいと、止まる。
ゆっくり振り向く。
「……今のなん」
「取っただけ」
「俺が取るとこやった」
「取れてなかったけど」
らいと、黙る。
棚を見る。
また見る。
「……あと数センチやったし」
小さい声。
受け取る。
ちょっと乱暴。
でも顔、赤い。
リビング。
ソファ。
らいと、座る。
足、少し浮く。
ぶらぶら。
ロゼ、隣。
沈黙。
テレビ、ついてる。
「……なあ」
「ん?」
「俺って、ちっちゃい?」
ロゼ、少し考える。
「うん」
らいと、固まる。
「……は?」
「ちっちゃい」
「言い直せや」
「コンパクト」
「変わらんやろ」
そっぽ向く。
足、止まる。
ロゼ、ちらっと見る。
軽く触れる。
「……届いてないよ」
「見んなや!!」
足、引っ込める。
膝、抱える。
丸まる。
ロゼ、少し近づく。
後ろから。
ぎゅっ。
らいと、固まる。
「……なに」
「収まりいいなって思って」
腕の中。
すっぽり。
「……それ褒めとらんやろ」
「褒めてるよ」
頭に顎。
「ちょうどいい」
らいと、赤くなる。
「……ちょうどよくない」
「なんで」
「もっと欲しいやん」
小さい声。
ロゼ、少し強く抱く。
「何が欲しいの」
「……高さ」
沈黙。
ロゼ、少し笑う。
「背、伸びたい?」
「伸びたい」
即答。
「なんで」
少し迷う。
「……並びたいやろ」
「今でも並んでるよ」
「目線の話やろ」
ロゼ、前に回る。
向き合う。
らいと、見上げる。
首、少し上がる。
「……ほら」
「うん」
「この感じ、なんか嫌や」
ロゼ、かがむ。
目線、同じ。
距離、近い。
「……それで合わせるん」
「だって並びたいんでしょ」
らいと、目逸らす。
「……そうやけど」
ロゼ、じっと見る。
「らいと」
「なに」
「さっきの、背伸びしながら頑張って取ろうとしてたの」
らいと、ピクッ。
「見とったん」
「ずっと」
「……最悪や」
ロゼ、少し笑う。
「可愛かった」
らいと、固まる。
「……やめろや」
耳、赤い。
ロゼ、手を伸ばす。
頭、撫でる。
「……触んな」
でも避けない。
「届かないの、悔しいよね」
少し黙る。
「……まあ」
ロゼ、少し近づく。
「じゃあさ」
「ん」
「届かない分、こっち来ればいい」
らいと、首かしげる。
そのまま。
引き寄せる。
すっと。
胸の中。
らいと、収まる。
「……なにこれ」
「これなら距離ゼロ」
らいと、固まる。
「……それは違うやろ」
でも。
離れない。
少しだけ掴む。
「……あったかい」
小さい声。
「でしょ」
顔、埋める。
「……見んな」
「見てないよ」
「見とるやろ」
「見てる」
「やめろや」
でも。
少しだけ寄る。
「……このままでよか」
ロゼ、優しく抱く。
「うん」
少しの間。
「……その代わり」
「なに」
「次は、俺が取る」
ロゼ、笑う。
「じゃあ見守るね」
らいと、小さく頷く。
「……絶対取るけん」
コメント
6件
liクン悔しがってるの流石にかわいすぎるうぅ … 😿💧rzサンの優しい意地悪お兄さん感ほんとに好き … 🫶
liくんを可愛がってるrzくんも悔しがってるliくんも可愛いし何となくrzくんは子供扱いしてそうな感じすごくあってラブすぎです🥲
かわいいかわいいかわいい… もうほんとに兄弟感が可愛いすぎるって 文字だけで絶対に尊いであろう光景が目に浮かぶ小説をかけるのすごすぎる…(言葉変かも、ごめん!) 大尊敬