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「…ッあはッwよくそんなこと覚えてるね~?」
その笑みは無理をしていることがわかっていた
俺らは思わず何も言えず黙ってしまった。
まだ、ということは俺を庇った傷だろうか。
なら残る傷をつけてしまったのか。
そう考えていると
「でも、この傷は…紫のせいではないし」
そういった。
俺は考えていることが筒抜けされたようで驚いた顔をしていた、
桃は微笑んで
「確かに残る傷だね、治療法なんてない。」
そう桃は右腕を抑えながら右腕を眺めていた、視線をこちらに移して、
「…それでも、誤魔化すことはできるならそれでいいんだ。」
翠が少し潤んだ瞳を見せた。
「…俺らにその傷を見せることは出来ない?」
そう翠が問うと、桃が一瞬顔を濁したが、演技は続け、微笑み返して、
「…やめたほうがいいよ。」
そんな微笑みは、あまりにもぎこちなく、見ていて悲しかった。
「ぁ~!!いました!」
突如後ろの方で瑞の姿が見えた。
「俺が呼んだ。」
そう赫が言った。俺は少しな俺が苦手なこと知ってるくせに、なんて赫を悪く思った、
でも瑞の言葉て全てが消された。
「どういうことですか~、もう、」
「急に紫くんの姿を移さず、マスコミに報道させてなんて~…回りくどいことを。」
確かにその通りだ。
瑞の言う通りもっと他の方法があったと思う。
ただ、そんなこと、今更考えてられない。
もう終わった事だし。
「…写真を撮ったのは、偶然を装った、必然ってこと?」
翠がそう聞く、
「そうだね、桃くんにお願いされた。」
流石、ちゃんと計画してるだけある。
「…桃くん、ちゃんと説明して?」
「なんであんなことさせたの、説明してくれなきゃわかんない!」
どうやら、瑞は訳も分からず協力してくれてたらしい。まぁでもマネージャーからしたら、辞めたいなんて相談されて協力しようとはならないだろうしな。
「ごめんよ?瑞。」
「謝って欲しいんじゃなくてね、なんで瑞っていう“彼氏“がいるのに~!!」
「は?」
修羅場すぎる展開にするなよ、桃。
「元ね…誤解する言い方やめてね。」
元カレか…
「…元カレ!?」
俺が時差で反応すると桃が苦笑した
「お互い好きじゃない付き合いだよ。」
そう桃が訂正した。
好きじゃないってどういう意味だ?
「どういう意味…」
「一時期桃くんね、男女問わず言い寄られて、利用されて、脅されてたの。」
「だから瑞が助けてあげるための代役!」
その慣れゆきで桃のマネージャーになったのか?有り得る話か。
これ以上の深追いは桃にとって苦しめるかもしれない。辞めておこう。
桃はこちらの様子を伺いながら話し出す、
それが癖なんだろう。
「…てかさ、桃は、あの時の事故…何か外傷とか、後遺症とかないわけ?」
桃は少し戸惑って
「……何も無い。」
そう続けた。
何も無いことは無いだろう。
だってもしそうならそんな素振りしない。
桃はそんな悲しい顔しながら話さない。
「…なんかあんだろ?」
そう赫が続けた。
でも桃は黙ったまま何も言わなかった。
「桃くん?」
不安そうな顔で瑞が尋ねても桃は目を合わせずただ黙っていた。
「…帰る」
ふと言葉を発したと思えば、帰る…?
「お前家ッ…」
「大丈夫だよ~…、泊めてくれるし、」
そんなやついたのか、なんて失礼なことを思ったが、置いておこう。
桃が突如、電話をかけて話し出した
「ぁごめん“黈ちゃん“今からそっち行く~」
《うぇ…親いるよ?》
「ぇ…ぁ~…頼りになるの黈ちゃんだけだよ」
《…わかった。今そっち行くね、》
「迎えに来てくれるの~!流石~」
《大人しくしててね?》
「は~い、大好き~!!」
…は?大好きってお前…は?
「…お前軽々しくそんなこと…」
電話を切った桃にそう言うと
「ぇ…なに…?w」
「紫は彼氏役を演じてくれただけで、」
「別に彼氏じゃない。」
そう桃が冷たく言う。
「…よくない?」
俺は思わず桃のことを妬んでいた。
でもそれは桃がすきだからとかではない。
そんなこと言いながら俺にキスしろだの、茶化してきたことにただ苛立った。
「…何なんだよお前、」
「黈に好きとか言うなら俺じゃなくて良かったじゃねぇかッ!!」
「なんで…ッ」
「…紫?」
赫が俺の名を呼んでふと気がついた、
俺、なんで泣いてんの?
腹が立ったから?それともこいつに弄ばれたから?
考えたくもないけど、桃が好きだったから?
そんな訳はない。
だから、泣くのはやめよ…。
そう考えていると黈が着き、桃と一緒に出ていこうとした時、
黈が言った。
「…桃々、一応お父さんには連絡したけど、もし“病室“が空いてないって言われても、無理しないでよ?」
その言葉はまるで、桃が“病気“みたいじゃん
「…黈ちゃん。」
黈が何も理解していない顔をしていると、
「…なぁ桃、お前、後遺症が病気とか言わないよな?」
「うぇ!?桃々言ってなかったの!?」
黈が大きな声でそう言う。
つまり桃は病気、で間違いないだろう。
そこまで言うと桃が諦めたのかため息をついて言った。
「俺の努力全部流したね、」
そう黈に言って、こちらを見て
「…俺もう死ぬんだッニコッ」
そう俺らに見せた笑顔は
泣いていた。