テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ここは小さな、小さな王国。
自然に囲まれながらも街は活気に充ち溢れ、陽気な人々ばかりが暮らす。そして国王も王妃も民に慕われて、王子と姫という2人の子宝にも恵まれていた。
王子の名は照。御年18歳―――王族としては遅いが結婚相手を探している最中ある。そんな彼と同い年のふっかは、12才の時からメイドとして仕えていた。
洗濯が終わった衣服を両手で抱え、ふっかは姿勢を正しながら廊下の端を歩いている。
肩より長い髪を低めにお団子で結わえ、仕事の出来る女性として映る。
(……これを置けば、今日の仕事は終わり)
ふっかは優雅に歩きながら、この後のことを考える。
本来ふっかは朝から夜まで照の世話をするが、今日は夜間外出するということなので、ふっかは早めに休んで良いと言われていた。なので、照の部屋に行って洗濯物を置き、挨拶をしてから休もうと足を進めていると目的の場所に着く。
扉をコンコンと叩くが返事はない。だが、そういった場合でも中へ入って良いと照から許可はもらっているので、そのまま扉を開いて中へ入った。
王子の部屋というだけ部屋は広いが、ふっかは見慣れている。勝手知ったる様子で、洗濯物をクローゼットに仕舞い、ついでに用意しておいた外出用の服をもう一度確認する。問題ないのを確認するとベッドに近づき、昼間にしたベッドメイキングも再度チェックする。日中シーツはキレイにしたが、照が途中で昼寝でもしたのだろうか、皺がついている。
ふっかはいつもの事だと肩を竦ませながらシーツを整えていると、扉がバンッと大きな音を立てて開いた。
「ああ、ふっか!」
中へ入ってきたのは、この部屋の主であり―――ふっかが仕えている王子・照であった。
「王子、お帰りなさいませ」
ふっかは急いでシーツを整えて、立ち上がって頭を下げた。照の足音がだんだんと大きくなり、距離を保ちつつ途中で止まってくれるかと思いきや、違った。
照はそのままの勢いでふっかごと身体をベッドにダイブさせたのだ。おかげでふっかはその勢いでベッドに倒れ込んでしまう。
「いたたっ…」
照の全体重がふっかに重くのしかかり、呻きをあげた。
「ごめん、ごめん!」
急いでふっかは上体を起こすが、身体全てを退こうとはせず、まるで傍から見たら押し倒しているようにも見えた。
ふっかは照の肩を押しやって逃げようとするが、ビクともしない。むしろ必死になっている照を微笑ましく見下ろしながら、顔を近づけてくる。
「仕事、終わったでしょ?」
耳元で囁かれ、ふっかは息を呑む。
「なぁ。今日いい?」
照が色っぽく強請るように声を出し、ふっかは余計に焦りを見せる。
「い、今からお出掛けになるのでしょう…!?」
「まだ夕方。時間はまだいっぱいあるよ」
照に耳朶を甘噛みされて、ふっかは顔を真っ赤にさせて身体を捩った。
「いけません、王子…!」
「名前で呼んで」
「だから、ダメでございます!」
首を振って拒否をしたが、照には通用しない。
「ねぇ、ふっか。お願い」
じーっと甘えた視線で見つめてくるものだから、ふっかはばつが悪そうに視線を逸らす。だが、それに合わせて照も顔を近づけてくるものだから、ふっかは眉間を思いっきり顰めてプイっと顔を背け、嫌だと意思表示をする。
―――ひかる。
♡300
コメント
3件
いうちゃん!!久しぶり〜! いわふか最高!!