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絶対辰哉
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#めめこじ
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21
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絶対辰哉
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企画への参加を決めてから一週間。
いよいよ撮影初日を迎えた。
────────
💛side
「おはようございます」
スタジオへ入ると、すでにスタッフが慌ただしく準備を進めていた。
大きなカメラ。
天井から吊るされたマイク。
モニターには今日のスケジュールが映し出されている。
Day1
・待ち合わせ
・街歩き
・カフェ
・買い物
どれも台本はない。
あるのは「恋人として自然に過ごしてください」という指示だけ。
💛「……難しいな」
思わず独り言が漏れる。
その時だった。
💜「おはよー」
聞き慣れた声。
振り向くと、深澤が手を振りながら歩いてきた。
💜「眠そうじゃん」
💛「ちょっとね」
💜「昨日寝れてない?」
💛「まぁ」
💜「俺も」
お互い苦笑いする。
普段なら何気ない会話。
でも今日は、その一つ一つをカメラが撮っていた。
────────
💜side
(もう始まってるんだ……)
スタッフからマイクを付けてもらいながら、少しだけ緊張する。
「深澤さん」
「一つだけお願いがあります」
💜「はい」
「カメラは気にしないでください」
「撮られていることを忘れるくらいでちょうどいいです」
💜「……それが一番難しいですよ」
スタッフが笑う。
「大丈夫です」
「お二人ならできます」
その言葉に、深澤は照の方を見る。
照も同じタイミングでこちらを見ていた。
一瞬だけ目が合う。
すぐに逸らした。
なんだこれ。
始まる前から変に意識してる。
────────
最初の撮影。
駅前。
待ち合わせという設定だった。
「それではお願いします!」
スタッフが離れていく。
カメラも距離を取る。
二人だけが取り残された。
💜「……」
💛「……」
沈黙。
風だけが通り過ぎる。
💜「……何話す?」
💛「いつも通りでいいんじゃない?」
💜「いつも通りって何話してるっけ」
💛「覚えてない」
💜「だめじゃん」
思わず二人とも笑った。
その瞬間。
離れた場所から監督の声が飛ぶ。
「今のいいです!」
「その自然な感じで続けてください!」
二人は顔を見合わせる。
💜「今ので?」
💛「らしいよ」
────────
街を歩く。
信号待ち。
ショーウインドウを眺める深澤。
照も隣へ並ぶ。
💜「見て」
💜「これかわいくない?」
ガラス越しに飾られた小さな雑貨。
💛「ふっか好きそう」
💜「分かる?」
💛「分かる」
会話は止まらない。
気付けばカメラの存在も忘れていた。
────────
すると監督が近寄ってくる。
「順調です」
「ですが、一つだけ」
二人は振り返る。
「もう少し距離を近くしてください」
💜「距離?」
「はい」
監督はモニターを見せる。
画面の中の二人は、肩一つ分くらい離れて歩いていた。
「恋人というより、お友達に見えるんです」
💜「まぁ実際そういう距離で歩いてるんで……」
深澤が苦笑する。
監督も笑いながら首を横に振る。
「だからこそです」
「恋人なら、自然ともっと近くなると思います」
その言葉に。
照と深澤は同時に黙った。
💜「……」
💛「……」
「少しだけ意識してみてください」
監督はそれだけ言って戻っていく。
残された二人。
なんとも言えない空気が流れる。
深澤が頭をかく。
💜「ほら」
💛「ん?」
💜「近く来なよ」
照は少し笑った。
💛「命令?」
💜「違う違う」
💜「仕事だから」
照は何も言わず、一歩だけ深澤の隣へ寄る。
肩が軽く触れそうな距離。
たったそれだけなのに。
さっきまで普通だった空気が、急に落ち着かなくなった。
💜「……近いな」
💛「ふっかが言ったんでしょ」
💜「そうなんだけどさ」
また笑う。
その笑顔を、カメラは静かに映し続けていた。
その日の撮影が終わる頃。
監督はモニターを見ながら、小さく呟く。
「演技じゃなくなる日が、一番楽しみだな」
その言葉は。
もちろん二人には届いていなかった。
コメント
1件
うわ、3話も一気に読んじゃいました…!最初のぎこちなさから、監督に「距離を近く」って言われてからの空気の変化、すごく丁寧に描かれてますね。肩が触れそうな距離で「近いな」って言っちゃう深澤と、それに「ふっかが言ったんでしょ」って返す照のやりとりにドキッとしました。最後の監督の「演技じゃなくなる日」のセリフも効いてる…これは続きが気になる。