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ソマリア沖にいると言う、俊太からの衛星通信の映像は時々ブレるけど、無精髭を生やしている彼の顔がハッキリ見えた
あたしは彼が話し出すまで黙っていた、彼の両親に会いに行ったことを怒っているかなと思ったけれど、彼はとても優しい口調だった
すかさずあたしは傷ついて泣き出したフリをした
「悪かった、君を傷つけるつもりはなかった」
と謝ってくれた、あたしもスマホを除いてゴメンと謝った、だけどラインもインスタもブロックするのは酷いと言った。彼は両親に言われて無理に優しくしているのかもしれないとフト考えた
「あなたがまだ戸惑っているのはわかるけれど、でもきっといい父親になるわ」
あたしは言った
「本当に妊娠してるのか?」
パソコン画面の向こうから衛星通信越しに俊太がじっと見つめて来る
「 君がその子を産むと決めたことも尊重する」
「結婚してくれなんて言ってるんじゃないのよ?」
「わかってるよ・・・親父たちと話した。君のその立派な母親としての意気込みは充分に理解したなんていうか・・・ショックだったよ赤ん坊が出来てるなんて・・・」
「そうみたいね」
あたしは苦々しげに笑う
「本当に俺の子なのか? 」
あたしは思わせぶりな目線を送った
「まぁ・・・もちろんよ・・・あんなに愛し合ったのをあなた忘れたの?あなたったら多い日は一晩で五回も・・・」
彼が頬を染めたのがハッキリと見えた
「覚えてるよ・・・」
「あなたは何も心配しなくていいのよ、あたしは一人でこの子を育てるつもりだから
でも、もし少しでも父親として関わりたいのなら・・・
あなたにはその権利があると思ったの、だって、あなたにはこの世に血の分けた我が子が存在するのに、父親であることをあたしが隠していたら、それって酷いことでしょう?少なくとも私があなたの立場ならそう思うわ」
彼は険しい顔で頷いた・・・
沈黙が続く