ラムレザルはアモの髪を掴んだまま外に突き出した。
「やめて!!死にたくない!!」
「今まで色んなやつに会ってきたけど、お前がいちばん最低な人間だよ。人の幸せな時間を使ってまで操って、それを馬鹿にしたような態度。一番嫌いなタイプの人間だ」
「ラムやめろ!相手は女の子だぞ!?歳下の!!」
「だからなんだよ。」
「っ」
止めようとするグリス睨み付けるラムレザルの瞳には光が無かった。
「歳下の?子どもだから見逃せ?バカ言ってんじゃねぇよ。」
「無力な女の子を…「無力じゃねぇだろ。こいつは人通者だ。」
声は落ち着いているが握り拳を作っている手からは血が滴っていた。
「人を惑わして、追い込んで、外からじゃなくワタシらの内側を笑いながら蹴落とした…こういうのは自分も経験させるべきなんだよ。」
「うぅ…痛いよぉ…」
アモはぐすぐすと泣きながら助けを求めていた。
「泣くな。お前が泣いたところで死人が帰ってくるわけじゃねえんだよ。全部お前が蒔いた種だ。責任取れ」
ここまで来ると誰も彼女を止めることが出来ず下手に動けばラムレザルからの怒りを買う。
しかしここで動いたのは意外にもルドだった。
「や、めようぜ…か、母ちゃん…オレら話聞きに来ただけだ…」
「ルドの言う通りだ。ラム、少し落ち着こうぜ?提供元消したらここまで来た意味が無ぇしよ」
「……………チッ」
止められたラムレザルは乱暴にアモをそこら辺に投げ捨てると部屋を出てしまった。
「トウム!そいつのこと見ててやってくれ!」
「!ハイ!」
「ルドはこっちな。ちょっとお話ししようぜ」
エンジンはルドを連れてラムレザルのあとを追った。
「………母ちゃんに悪い事したかもしんねぇ…」
「あ?ん〜別に大丈夫じゃねえか?」
「……止めねぇとアモが死にそうだった…オレ、母ちゃんが人殺すのは見たくなくて…気がついたら…」
ルドは遠くで煙草をふかしているラムレザルをぼんやりと見つめながらそう言った。
顔を伏せてしまったルドにエンジンは頓痴気なことを言う。
「…オレはなぁラムが好きなんだよ」
「…………………はっ?」
「まず、オレより賢いだろ?んで、ナイスバディでエロいし包容力もある。たまんねぇのよ。好きで好きで大好きだから告白してんのにあいつは取り合ってくんねえからちょっとムカつくんだよなぁ。」
「…」
「な?ラムが怒りそうだろ?こういうの隠せねぇのがオレの悪い部分なんだよ。」
エンジンは《大人でも成長しないといけない所は山ほどあって、その成長に必要なのは”気付くこと”だと思う》と言った。
「オレはダメな所を昔 “気付かせてもらった” 。お前はアイツのダメな所に “気付けた” …てことはぁ。あれぇ?オレら伸び代しかねぇな」
「!」
「声掛けて中に入ろって言えば動いてくれるぞお前の母ちゃんは」
「ごめんなさいね。ラムさんちょっと気が立ってて…ここまでするつもりじゃなかったんだ。本当にごめんなさい。私でよければいくらでも話し相手になるよ。私も恋バナ大好きなの」
「あなた良いママになれそうだね」
「あは、そうかな。」
「アモのママも良いママだったよ。ママのおかげで初恋相手と出逢えたしアモの”たからもの”ができたし。天界と下界を渡る天使を拝めたのも」
「…今なんて言った?」
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